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テロのソーシャルメディア悪用を阻止する「クライストチャーチ宣言」にTwitter・Facebookなど大手テクノロジー企業や各国が合意

by Gerd Altmann

2019年3月15日に発生したニュージーランド南部のクライストチャーチにあるモスクでの銃乱射事件を受けて、テロリストや過激派のコンテンツをソーシャルメディアから排除しようという「クライストチャーチ宣言」が、同年5月15日にパリで開催された国際会議で採択されました。各国の首脳やGoogle・Facebook・Amazonなどの大手テクノロジー企業がこの宣言に賛同し、官民が協力してインターネット上からのテロリズム排斥を誓いました。

Tech companies and 17 govts sign up to Christchurch Call | RNZ News
https://www.rnz.co.nz/news/national/389297/tech-companies-and-17-govts-sign-up-to-christchurch-call


3月15日にクライストチャーチで発生した銃乱射テロでは、イスラム教のモスク2カ所が狙われて50人が死亡しました。このテロはその一部始終がFacebookでライブ配信され、「テロリズムによるソーシャルメディアの悪用だ」という批判が多く上がりました。


クライストチャーチ宣言は、「テロリストや過激派による投稿や拡散を阻止し、危険な投稿は即時的かつ永久的に削除する」「テロリストや過激派集団に立ち向かい、適切な法整備に努める」というもの。具体的な内容は以下のページで見ることができます。

Christchurch Call
https://www.documentcloud.org/documents/6004545-Christchurch-Call.html


国際会議ではニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領が共同議長を務めました。アーダーン首相は記者会見で「あの恐ろしいテロ攻撃を受けた後、国やテクノロジー企業が協力して行動計画を策定し、最終的には地域社会をより安全にするために構築された新しい技術を共同開発すると初めて誓いました」と語りました。

Facebook、Microsoft、Twitter、Google、YouTube、Amazon、Daily MotionQwantといったテクノロジー企業も国際会議に参加し、クライストチャーチ宣言に合意しました。Facebookは合意の調印を行う前日にライブストリーミングに関する規則をより厳しくし、違反すれば1度で凍結される「ワンストライクポリシー」になることを発表。Facebookの国際問題担当ヴァイス・プレジデントのニック・クレッグ氏は、マーク・ザッカーバーグCEOは会議に出席できなかったものの、既にアーダーン首相とは数回にわたって綿密に話し合いを行っていることを明かしました。

Thank you for being here @JacindaArdern, @KingAbdullahII, @Macky_Sall, @Pak_JK, @erna_solberg, @JustinTrudeau, @theresa_may, @LeoVaradkar, and @JunckerEU, for an unprecedented joint initiative: the #ChristchurchCall to eliminate terrorist and violent extremist content online. pic.twitter.com/NLqIeWmG4V

— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron)


Microsoftの社長であるブラッド・スミス氏は「テクノロジー企業はそれぞれ、サービス利用規約の強化、ライブストリーミングへの新たな保護策の導入、技術管理と人的管理の強化、より透明性の高いレポートの発行、研究開発、危機プロトコルの設定、偏見と憎しみについての教育など、現実的な9段階の計画を立てていました」と述べました。クライストチャーチ宣言はテロリストや暴力的な過激派のコンテンツが普及することを防ぐためのものであり、その内容は各社が行っていた取り組みが基になっているとのこと。

クライストチャーチ宣言に合意した国は、ニュージーランドとフランス、オーストラリア、カナダ、ドイツ、イタリア、インド、アイルランド、インドネシア、日本、ヨルダン、オランダ、ノルウェー、セネガル、スペイン、スウェーデン、イギリスの17カ国と欧州委員会。アメリカは、全体的な目標は支持しているものの、現時点ではこの宣言に参加する立場にないとのことで、合意の意思を表明しませんでした。また、中国も合意していないそうです。

NZ PM Jacinda Ardern and HM King Abdullah II of Jordan meet with tech leaders to discuss the #ChristchurchCall to eliminate terrorist and violent extremist content online. #TechForGood pic.twitter.com/G3S5LCz2Nj

— MFATgovtNZ ???????? (@MFATgovtNZ)


アメリカのホワイトハウスは「アメリカは、オンライン上にいるテロリストや過激派の暴力的なコンテンツを最も強い言葉で非難し、国際社会と共に立ち向かった」とコメント。また、合意に参加しない理由として、表現の自由と報道の自由を挙げ、「テロリストよりも信頼性のある別のメッセージを送信することが、テロリストのメッセージ送信を打破する最善の方法だ」と述べています。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by log1i_yk

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