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Apple・Google・Facebookなど大企業が租税回避地にしてきたアイルランドが法人税引き上げを決定


アイルランドが2021年10月7日に、経済協力開発機構(OECD)加盟国を含む140カ国が協議を進めてきた国際的な法人税のルールである「OECDの包括的枠組み」に加盟することを発表しました。これにより、多くの多国籍企業がアイルランドを租税回避地として利用し多額の法人税を免れてきた状況に変化が訪れると期待されています。

gov.ie - Ireland joins OECD International Tax agreement
https://www.gov.ie/en/press-release/59812-ireland-joins-oecd-international-tax-agreement/

Global tax deal inches closer as holdout Ireland agrees to sign up
https://www.cnbc.com/2021/10/07/ireland-corporate-tax-rate-.html

Ireland ends 12.5% tax rate in OECD global pact | Ireland | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2021/oct/07/ireland-poised-to-drop-125-tax-rate-in-oecd-global-pact

Apple・Google・Facebookなどをはじめとする大手IT企業はこれまで、アイルランドに2つの子会社を設立しライセンスの受け渡しなどを通じて課税を免れる「ダブルアイリッシュ」という手法を通じて多額の法人税を回避したとして非難されてきました。

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by Jakob Esben H.

また、ダブルアイリッシュが2020年に禁止された後も、12.5%と他国よりかなり低い法人税率により、アイルランドは引き続き多国籍企業から租税回避地として人気を集めてきました。こうした状況への不満を背景に、OECD主導で世界140カ国が大企業の法人税率を最低15%にする枠組みについて協議を進めてきましたが、低税率を大企業を誘致する手段として利用してきたアイルランドが難色を示したことで、完全な合意には至りませんでした。

2021年10月までの解決を目指して各国が協議を続ける中、アイルランドのパスカル・ドナフー財務相は10月7日に、「アイルランド政府は本日、デジタル化に伴う税の課題に対処するための新しい税の取り組みに関する『OECDの包括的枠組み』に署名することを決定しました」と発表しました。

ドナフー財務相によると、当初の規定には年間売上高が7億5000万ユーロ(約970億円)を超える多国籍企業の実効法人税率を「最低でも15%」とすることが盛り込まれていましたが、協議により「最低でも」の文言が撤廃され「15%」になったとのこと。アイルランドはこれまで、法人税率が15%を超える可能性に含みを持たせる条項に反対してきましたが、その懸念が解消されたことを受けて、今回の合意が実現しました。


新たな最低税率は、10万人以上の従業員を抱えるアイルランドの多国籍企業56社と、40万人以上の従業員を抱える外国の多国籍企業1500社に適用されるとのこと。一方、年間売上高が7億5000万ユーロ未満の企業に対する税率は引き続き12.5%に設定されます。

OECDは今後、早ければ2023年の導入を目指して、最終的な調整に入る予定です。ドナフー財務相は、「私たちはここ最近、さまざまなイノベーションの恩恵を目の当たりにしてきました。特に、新型コロナウイルスのワクチンはアイルランドの経済社会が正常に再開することを可能にしてくれました。このようにイノベーションは重要なものであり、税制がこれを支援することは理にかなっています。今回の合意でそのことが認められ、正しい税制が実現することをうれしく思います」とコメントしました。

なお、法人税率が9%と低いためアイルランドとともに合意に反対してきたハンガリーは、まだ今回の枠組みに署名していませんが、ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は10月6日に「実施期間を10年とする取り決めが固まれば、前向きに検討します」と発言しています。また、OECD本部を擁するフランスのブリュノ・ル・メール経済財務相は「国際的な税制協定成立までの道のりはあと1ミリです」と話しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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