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学校の制服は義務化するべきなのか?

by Dick Thomas Johnson

学校生活は、さまざまな校則の上で成り立っています。日本では生徒の頭髪や服装を過剰に規定する校則が「ブラック校則」として近年問題となっていますが、生徒の自由と校則については海外でも積極的に議論されています。オーストラリアの学校で「制服を義務化すべきなのか?」という議題について、5人の専門家による意見が海外ニュースメディアのThe Conversationでまとめられています。

Should school uniforms be compulsory? We asked five experts
https://theconversation.com/should-school-uniforms-be-compulsory-we-asked-five-experts-121935

5人の専門家の中で唯一制服の義務化に賛成した発達心理学者のピーター・ウィルソン氏は「制服は、生徒の間での社会的地位の比較を減らすだけでなく、生徒に平等の感覚を植え付け、支援することができます」と述べています。また、「服装を自由にした場合、自分のファッションを他人が評価していると感じたり、自分の性格や地位を反映していると感じたりもします。極端な場合、学校では服装によって生徒のグループ形成が強くなります」とウィルソン氏は論じました

一方、残り4人の専門家は制服の義務化に反対しています。教育心理学者のスー・ロッフィー氏は「アメリカでは、自由が憲法上の原理として保障されているため、オーストラリアやイギリスほど制服が一般的ではありません」と述べ、「自由に服を選べることは確かに独立した思考と表現の感覚を促進しますが、これは憲法で保障される自由とのバランスを取る必要があります。また、学齢期の子どもたちは、学校の外でも、服や娯楽の選択、興味などで自分の個性を表現する機会があります」と主張しています。ただし、ロッフィー氏は、学校の制服が生徒に規律を守らせるために役立つ一案であることを認めています。

by Giuseppe Bognanni

行動心理学者のジェフリー・トーマス氏は「学校の帰属意識に関する文献は豊富にありますが、帰属意識を芽生えさせるための手段として学校の制服はまったく言及されていません。生徒が学校についてどう感じるかは、生徒と教師の間で支援的で敬意のある関係が形成され、達成感を得ることによって決まります。教師が『画一的な規則に従わない』という理由で生徒を罰すると、敬意のある関係を持続させることは危うくなります」と論じ、制服導入に反対しています。

教育学者のヴィクトリア・ローリング氏は「確かに服装を統一することによって、生徒の経済格差を曖昧にすることができるかもしれません」と述べた上で、「しかし私の調査によると、たとえ制服を着ていても、髪型や化粧の仕方、バッグやアクセサリーなどで依然として経済格差は表面化します。こうした要素は階級・性・文化に関連した意味を持ち、権力の階層や差別に役立ちます。そのため、制服を着るだけでは社会階級の差をなくすことはできません」と論じています。

by Florian Ramel

また、ローリング氏は画一的な服装によって、ジェンダーの多様性を制限してしまうと指摘。少数派が校則違反取締りの矢面に立たされ、処罰されてしまうことで、「権力の座にある人々に特権を与える」という文化に貢献してしまうと批判しています。

法学者のレナイ・バーカー氏は制服の義務化に反対しながらも「制服は強制されてはならないが、最低基準を設定するべきです」と主張しています。バーカー氏はオーストラリアの機会均等法に「学校は学生の服装、外見、行動に関する合理的な基準を設定し、施行することができる」と定められていることに言及し、学校は画一的な政策の適用について広い裁量が与えられている点を指摘しています。学校の宗教的・文化的多様性を考慮した柔軟性が学校に求められ、多様な背景を持つ生徒が適切な服を一緒に着ることができるようにするべきとバーカー氏は述べました。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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