世界最大の石油企業が「環境破壊を知りながら投資家をだましていた」として訴えられている

by Enrico Strocchi

2018年10月、世界最大の石油企業であるエクソンモービルが、「環境破壊によるリスクを知っていたにもかかわらず、投資家にその情報を隠していたのは詐欺行為にあたる」としてニューヨーク州から訴訟を起こされ、2019年10月に裁判が始まります。エクソンモービルも徹底的に抗戦する構えを見せているこの裁判は、石油企業に対する責任を追及するものとして大きな注目を集めています。

Exxon Accused of Pressuring Witnesses in Climate Fraud Case | InsideClimate News
https://insideclimatenews.org/news/06082019/exxon-climate-fraud-investigation-witness-pressure-investors-new-york-attorney-general

New York Attorney General Sues ExxonMobil Over Alleged Climate Change Fraud
https://www.esquire.com/news-politics/politics/a28636123/exxonmobil-lawsuit-climage-change-new-york/

2018年10月24日、アメリカのニューヨーク州検察は、「気候変動に関して投資家を欺く情報開示を行った」として、エクソンモービルを連邦地方裁判所に提訴しました。

米エクソンモービルをＮＹ州が提訴－情報開示で投資家欺いたと主張 - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-25/PH55N66KLVR701

エクソンモービルが、化石燃料によって大気中の二酸化炭素濃度が危機的なレベルに上昇することを正確に予想していたにもかかわらず、企業利益のために世論を誘導していたことは、2019年5月に明らかになっています。ニューヨーク州は、エクソンモービルがこうした気候変動を予測し、規制がますます厳しくなって経済リスクも高くなることがわかっていたにもかかわらず、その事実を投資家に公開しなかったのは詐欺的行為だと訴えました。

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2019年8月2日にニューヨーク州が新しく裁判所に提出した(PDFファイル)書類によると、検察側はニューヨーク州の主張を支持する投資顧問や株主に証人を依頼する書簡を送っているとのこと。彼らが証言することを選択した場合、エクソンモービル側も裁判所に召喚される可能性があります。

さらに、その書類提出を受けて、エクソンモービルが証人となる人物を脅迫するような内容の手紙を送りつけたとInside Climate Newsが報じています。ただし、法学者のアーロン・カプラン氏は、「エクソンモービルから証人に送られた手紙の内容は非常に攻撃的ですが、脅迫となる境界線を越えるかどうかは解釈によるものであり、徹底的にやりあうことを単に主張しただけの内容ととることもできます」と語りました。

なお、石油企業が気候変動と絡めて訴訟を起こされるのはこれが初めてではありません。2018年にはカリフォルニア州のサンフランシスコ市とオークランド市が、エクソンモービル・シェブロン・ロイヤル・ダッチ・シェルなど石油企業5社を訴え、気候変動の責任と補償を問いました。しかし、「人類はこれまで石油から多くの利益を享受してきた」という理由で、2市による訴えは棄却されました。

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