メモ

トウモロコシ中心の生活が文明を終わりへと導いた

by Prasad SN

気候変動でビールの価格が高騰したり味が悪くなったりする可能性があることが示されており、気候変動は人の食生活にも影響を及ぼすものとみられています。過去の文明が気候変動にどのような影響を受けたのかを調べていたノーザンアリゾナ大学の研究者は、新たに、マヤ文明の崩壊の一因として「上流階級のトウモロコシ嗜好」がある可能性を示しました。

The Role of Diet in Resilience and Vulnerability to Climate Change among Early Agricultural Communities in the Maya Lowlands | Current Anthropology: Ahead of Print
https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.1086/704530

Maize-centric diet may have contributed to ancient Maya collapse
https://phys.org/news/2019-07-maize-centric-diet-contributed-ancient-maya.html

この研究はマヤ文明の遺跡の1つであるカル・ペチに埋葬された50の遺体を調査したもの。ノーザンアリゾナ大学の人類学者であるClaire Ebert氏らが放射性炭素年代測定のAMS法によりカル・ペチの遺体が埋められた時期を調査した結果、遺体は先古典期中期(紀元前750~400年)から古典期後期(紀元後800~850年)の間のものだということが判明しました。

さらにペンシルベニア州立大学の人類古生態学・同位体地球化学ラボでEbert氏は遺体の骨に含まれるコラーゲンの炭素と窒素の同位体比を測定し、遺体が生前に何を食べていたのか、食生活が時間の経過と共にどう変化していったのかを調べました。この結果、トウモロコシなどのC4植物の食事における割合が増加していったことが示されました。

by Krisztian Tabori

先古典期から古典期前期の時代には、上流階級も平民も、トウモロコシ以外の植物や狩猟によって得た動物を含む多様な食生活を送っていました。多様な食生活からなる複雑な社会システムがあったため、干ばつによってトウモロコシ農業が打撃を受けた時も他のものを食べるなどして危機をしのぐことができました。

しかし、階級社会が発達し人口が増加した古典期後期には農業が強化され食料源をトウモロコシに頼るようになりました。この時期は上流階級が暮らす都市中心の人々と、都市周辺の人々で炭素値が異なることも判明しています。上流階級の炭素と窒素の同位体パターンは極めて限定的であり、「これはマヤ文明の終わりまでトウモロコシベースの食事に特化されていたことと一致します」とEbert氏は述べました。上流階級は平民に対してトウモロコシの生産を増やすように命じ、干ばつに弱いトウモロコシに依存した結果、社会システムが古典期後期の干ばつを堪え抜くことができなくなったとEbert氏はみています。

by Jayson Roy

「社会全体の食の好みに伴い農地が強化され環境が悪化したこと、そして人口増加によって、当時の社会システムは柔軟性が低く回復力のないシステムになってしまいました。過去において社会の回復力を増進させる要素が何だったかを理解することは、相互接続する私たちの時代に突然、劇的な変化が生じた場合の役に立ちます」とEbert氏。2019年現在、気候変動によって多くの農業が影響を受けるとみられており、過去の文明の衰退から学ぶことは多いはずです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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