取材

女子高生たちがボードゲームに興じるアニメ「放課後さいころ倶楽部」のすごろくや祭トークイベントレポート


2019年8月3日(土)、東京都台東区の東京都立産業貿易センター台東館でボードゲームの祭典「すごろくや祭2019」が開催されました。

老若男女、幅広いプレイヤーが様々なゲームに興じたほか、2019年10月から放送予定の、ボードゲームを題材として扱ったアニメ「放課後さいころ倶楽部」の原作漫画を描いた中道裕大さんと、アニメのシリーズ構成・脚本を担当する前川淳さんによる対談が行われました。

『放課後さいころ倶楽部』公式サイト
http://saikoro-club.com/

会場となった都立産業貿易センター台東館。浅草寺近くで、背後には東京スカイツリーが見えます。


「すごろくや祭」は7階展示室で開催されました。


「すごろくや祭」入口


会場マップはこんな感じ


中道さん(左)と前川さん(右)


MC:
まずは「放課後さいころ倶楽部」というのがどういう作品か、というところから教えてください。

中道裕大さん(以下、中道):
京都を舞台に女の子3人がボードゲームと出会い、ボードゲームを通していろんな人と遊んだり、いろんな出来事が起きたりします。……説明しろといわれたら言葉に詰まってしまいますが(笑)、いわば、「美味しんぼ」の山岡士郎を社交的、内気、理知的の3人に分けて女子高生にして、題材を食べ物からボードゲームにしたものが「放課後さいころ倶楽部」です。


シリーズ構成・前川淳さん(以下、前川):
わかりやすい!

中道:
ありがとうございます。

MC:
アニメ「放課後さいころ倶楽部」でシリーズ構成を担当する前川さんは、ボードゲームの大ファンだとのことです。そもそも、「シリーズ構成」というのはどういうお仕事なのですか?

前川:
アニメの脚本は複数の脚本家で書くことが多いので、そのシリーズ全体の大筋を考えてどういう展開にするのかと流れを決めて、第1話で作品の方向性を示し、他のサブライターの人に「この話を書いてください」と割り振って、全体を見ていく仕事です。まさに「シリーズの構成役」です。

中道:
脚本を書くだけではないんですね。

前川:
「メインで脚本を書く人」イコール「シリーズ構成」と誤解されることがありますが、必ずしも一致はしません。シリーズ構成だけをして、脚本は担当しないという人もいます。ほとんどの例では脚本も書くので当てはまりませんが、基本的には、シリーズ構成と脚本は「別の役職」です。

MC:
お二人は、アフレコの現場は見に行ったことがありますか?

中道:
1話から何度か見学させてもらっています。

前川:
僕も、毎回ではないですが、行けるときには行っています。

中道:
アフレコのことでいうと、コミックスの最新14巻のオマケマンガに初アフレコの様子を描きました。漫画家には「アニメ化が一番の夢」という人がいて、僕もそうだったんです。声優さんに、自分のキャラに声を当ててもらう、その場にいるということに感動しました。そのあと、動いている絵を見ながらのアフレコで、自分の絵が動いているのは涙なしには見られなかったです。「よくぞここまで」と。

前川:
そこまで感動してもらえるなんて、いい原作者の方で良かったと思います。ありがたいです。

MC:
アニメに期待していることはなんですか?

中道:
「期待」と言われると難しいですね……。「アニメになること」が1つの夢で、それが叶ったので、それ以上のことというのは……。

前川:
すでに「期待する」とかそういう段階じゃないからですよね。実際に、すでにアニメの制作は始まっていますし。

中道:
そうですね。きっとアニメに対して、原作者が一番甘い目で見ているんじゃないかなと思うぐらいです。なのでもう、これ以上に望むことなんてないです。

MC:
前川さんはアニメの脚本を書く上で注力した点、ここを見て欲しいという点などありますか?

前川:
僕は有名な原作ものの脚本やシリーズ構成も手がけていて、一般的な話をすると「面白ければ原作がいい、つまらないと脚本のせい」と言われる宿命ですので、そうならないようにしたいなと思っています。本作の場合、ボードゲームを「ちょこっと」出すのではなく、ちゃんと出すというのがポイントです。僕自身もボードゲームが好きなので、本作はそこが面白いなとやる気をかき立てられました。お話の中でゲームの紹介がある一方で、女の子たちの話も進んでいくので、限られた1話の時間の中でドラマとゲームとのバランスを取って脚本にするのが大変でした。ゲームを頭から最後までやるわけにはいかないので、ルール説明と、アニメだけ見てもどんなゲーム化をわかるぐらいまでやろうと考えました。しかし、ゲームの要所要所だけを取り上げるにしても、前後のつながりがありますから、将棋でいう「棋譜」のように、原作をもとにして初手から最後までのゲームの進行を作って、そのうちどの部分をアニメの中で使うかということを考えてやっていきましたので、そこは期待していただいていいと思います。


中道:
アニメを見ただけでもある程度どんなゲームかわかるぐらいになっているということですね。

前川:
「ゲームが面白そうだな」と思ってアニメを見ていたら、それだけでインスト(説明)が終わっている、ぐらいになっているはずです。あとは、すごろくやさんでゲームを買えばすぐに始められます(笑)

中道:
PV再生の準備が整うまでちょっと雑談でつなぎますが、前川さんは「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」のシリーズ構成をされていたんですよね。

前川:
さっき裏でその話もしていたんですが、本当にここで使うなんて(笑)

中道:
ネットミームでも知られている「もうやめて!とっくに羽蛾のライフはゼロよ!」というセリフも……

前川:
僕が書きました。

中道:
これはぜひ紹介したいなと思ったんです。前川さんは「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」をやって、プリキュアもやっているので、この作品にはピッタリだなと。


前川:
実は、プロデューサーと出会ったのもボードゲームがきっかけで、それが仕事につながっているんです。さっき、棋譜の話が出ましたけれど、それは「遊☆戯☆王」でも同じやり方をしていて、デュエルは一通りの流れを作った上で、試合に当てはめています。他に僕が書いたものでは「テニスの王子様」も、同じように試合全体の流れを考えた上で当てはめていました。

MC:
ではここで「放課後さいころ倶楽部」のPVをご覧ください。

TVアニメ「放課後さいころ倶楽部」特報PV - YouTube


中道さんと前川さんも一緒に鑑賞


MC:
PVには「マラケシュ」「ごきぶりポーカー」「インカの黄金」が登場しました。これは、どういったゲームなんですか?

中道:
「マラケシュ」は、プレイヤーがじゅうたん商人となり、自分の番になるとコマの周囲にじゅうたんを置いていき、他のプレイヤーがコマを動かしてじゅうたんの上に止まったらお金を受け取るというゲームです。口頭だけで説明するのは難しいですね。

前川:
動かす商人コマのアッサムさんがかわいいんですよ。

中道:
ゲームを教えてくれた人が「黄色いじゅうたんが薄焼き卵みたい」と言っていたのが印象的で、作中で最初にプレイするゲームになりました。

前川:
僕らは脚本打ち合わせが終わったあとに、作中に出てきたゲームを一通りプレイしています。マラケシュはそこで初めてプレイしました。

中道:
マラケシュはそれほどメジャーな方ではない、ちょっとマニアックな方に入るゲームですから、プレイしたことがなくても不思議はないです。「ごきぶりポーカー」ならメジャーですけれどね。この場でマラケシュをプレイした人はいますか?……(会場の挙手数を見て)さすがの方々なので、3分の1ぐらいはいますね。このゲームは「放課後さいころ倶楽部」のブースで遊べます。

MC:
ゲームにまつわるエピソードみたいなものはありますか?

中道:
こうやってマンガに描いておいてなんですけれど、マラケシュは難しくて、僕はまだ「これだ」という勝ち方がわかっていません。頭のいい人には「ガチゲーだよ」って言われるんですけれど、そこまでは至っていなくて。ただ、雰囲気がかわいくて遊べるなと思っています。

前川:
じゅうたんを見ているだけでも楽しいですよね。「ごきぶりポーカー」は僕、この仕事が来る前に買っちゃいました。わかりやすくいえば「ダウト」みたいなゲームで、相手がカードを出したときの宣言を本当か嘘か見破り、同じ害虫を4匹か、害虫8種類を集めてしまうと負け、というものです。これは結構メジャーですよね?(声に応じて多数の挙手があり)別バージョンで「いかさまゴキブリ」というのもあって。


中道:
カードを隠してもいい、いかさまありのヤツですね。

前川:
あれはすごく盛り上がります。作中で美姫ちゃんたちが遊んだのは、いかさまなしの「ごきポ」でしたけれど。僕は最初、何の虫が描かれているのかわからないカードがあって、そもそも虫なのだろうか?と悩んだりしました(笑)

中道:
「ごきぶりポーカー」は、僕が伊集院光さんのラジオでボードゲームの存在を知って、最初に買ったゲームの1つです。「後輩とやって面白かった」という話を聞いて、東急ハンズに行ったら「ごきぶりポーカー」と「カタン」があったので両方買いました。その日、飲み会があったので両方持ったまま行って、ルールも何も知らないけれど簡単そうだからと、その場で「ごきぶりポーカー」をやった記憶があります。今は確実に勝つ方法を見つけました。

前川:
見極めましたか。

中道:
すべてを語ると時間がかかりますけれど、これを言っておけばセーフティというのを見つけました。……と言っておいて、何かは教えないという(笑)。気になる方は、僕と遊びましょう。でも、最初にやった時は「恐怖」を感じたんです。なんだかわからないけれど、ウソをついてだましていくというところが怖くて、ずっとパスしていました。「人狼」もこの「ごきポ」も、うまくウソをついた人が偉いというゲームですごいですよね。ウソはついちゃダメなものなのに、積極的にウソをついていくのがいいなんて。

前川:
なんていい人なんだ……。

中道:
もちろん、僕もこれまでウソをつかないできたわけではないですが(笑)、積極的にウソをつくことはないので、そこにポテンシャルを感じました。

前川:
ボードゲームは「放課後さいころ倶楽部」を描く前から好きだったんですか?

中道:
描き始める1年ぐらい前から「なにかマンガのネタはないか」と調べていました。そうしたら、面白いゲームが多々あるし、これはマンガを読む人に受け入れてもらえるんじゃないかと感じました。それこそ、僕より前に「遊☆戯☆王」がヒットしていましたし、囲碁や将棋のマンガ、麻雀マンガもあったので、これは「アリ」じゃないかなと。


前川:
目の付け所もですが、こうしてがっつりとボードゲームが出てくるマンガというものがなかったので、面白いなと思いました。

中道:
いまで連載開始から6年ぐらいですが、連載を始めたころというのは「ドミニオン」が出て、ちょうどボードゲームの認知度が上がっていた時期だったんです。もしも僕が「放課後さいころ倶楽部」を描いていなかったら、きっと誰かが別のボードゲーム漫画を描いて、いまごろアニメ化されていたんじゃないかと思っています。

MC:
「インカの黄金」はどういったゲームですか?

前川:
これはいわゆる「度胸試し」ですね。

中道:
はい、「チキンレース」です。これもプレイしている人は多いですよね?(会場、挙手多数) いいゲームです。

前川:
これもシナリオ会議のあとにやったのが初プレイでした。ちょうど面白さがわかってきたというぐらいのところで終わっちゃって、まだまだやり込めていません。

中道:
プレイヤーは探検隊になって洞窟に潜り、お宝を集めるんです。でも、洞窟にはお宝だけではなく障害物もあって、規定数の障害物が出てくると持っていたお宝が没収されてしまうので、そうなるより先に引き返してお宝を確保しなければいけません。でも、そうやって戻る人が増えると、手に入るお宝の分量が増えるので、どこまで行くのか、どこで戻るのかという駆け引きなんです。僕は「インカの黄金」は早いうちに買って何度もプレイしているので、「自分は強い」といえるんですが、プレイしてアツくなってくるとついつい突っ込んじゃうんですよね。

前川:
中道さんはギャンブルはするんですか?

中道:
ほとんどやらないです。

前川:
アツくなっても冷静に戻れる人がギャンブル向きだっていいますよね。僕も、アツくなってくると突っ込んでしまうタイプで、自分自身でギャンブルには向いていないと自覚しているので、やらないようにしています。

中道:
なんだか、麻雀に似たところもありますよね。役満を目指せるけれど「いや、それは無理だ」と諦めて安い手に行くか、それとも狙っていくか。……僕は狙いにいきます。

前川:
僕もです(笑) そういう、行くか戻るかの駆け引きがうまく盛り込まれているなと、原作を読んだときに感じました。この仕事をいただいて最初に読ませてもらったとき、ゲームが無理なくお話に絡み合っているという印象がありました。決して強引に絡めたものではなかったので、シナリオにするときにも助かりました。

中道:
当初は、ゲームからインスピレーションを得てお話を作ることが多かったです。でも、だんだんとキャラクターが増えてくるとストーリーを展開させる必要があるので、「この展開に合うゲームは何だろう」と探すことも出てきました。

前川:
話が先行しちゃいますもんね。

中道:
でも、そればかりでもいけないと思って、最近はゲーム主体の話も盛り返して入れるようにしています。

MC:
お二人が最近注目しているボードゲームを教えてください。

中道:
「ボードゲーム」のカテゴリに入るか微妙ですが、マーダーミステリーゲームです。おおむね、殺人事件が起きてその犯人が誰なのかを当てる、「脱落がない人狼」みたいなゲームです。自分がどんな人物なのかというカードを最初に渡されるので、その内容を把握し、それからみんなで話し合って犯人を推理していく、推理小説のロールプレイです。中には「あなたが犯人です」というカードを引く人もいるんです。

前川:
僕もやりました。「台本のある人狼」みたいな感じですよね。


中道:
中国や台湾で流行しているゲームで、これからは日本でも増えてくると思います。僕はこれをやってみて、自分でもなにか書いてみんなにやってもらいたいなと思いました。

前川:
僕は「テラフォーミング・マーズ」と、あと最近は「アグリコラ」にも足を突っ込みました。でも、やる時間がなかなかなくて(笑) 1回で数時間ぐらいかかるんです。農業の話で、みんなで畑を耕したり家畜を飼ったりしてお金を貯め、家族を食べさせつつ農場を広げていくんですが、奥が深いです。

中道:
家族にちゃんとごはんを食べさせないと大きなペナルティを受けるんです。

前川:
「テラフォーミング・マーズ」の方は、火星を開拓していくゲームで、拡張キットも出て盛り上がっています。僕は、テラフォは初期マップならかなりいけるという自信があります。

MC:
最後に、ファンに一言ずつお願いします。

中道:
「放課後さいころ倶楽部」、まだ詳しい放送開始日時は言えませんが、2019年10月放送というところまでは発表されました。いま8月で、9月が終わったらもう始まっちゃいます。ぜひ見て、出てきたボードゲームを遊んでもらえれば、それだけで僕はハッピーです。今日はありがとうございました。

前川:
僕もオンエアを楽しみにしています。この作品によってボードゲームをやる人がじわじわ増えて、ボードゲーム人口が増えたらいいなと思っています。





会場には「放課後さいころ倶楽部」ブースが設けられ、作中に登場するゲームが遊べるようになっていました。


作品のメインビジュアルはこんな感じ


3人の女の子がボードゲームに彩られた楽しい日々を過ごすお話です。


人付き合いが苦手で引っ込み思案な武笠美姫(声:宮下早紀)


京都に引っ越してきた転校生・高屋敷綾(声:高野麻里佳)


クラス委員長でボードゲームショップ「さいころ倶楽部」でバイト中の大野翠(声:富田美憂)


ちなみに、入場時にこのような折りたたみの「どこでもスツール」がもらえて……


トークイベント時やゲームプレイ時に活用されていました。


老若男女が様々なゲームに興じた会場の様子はこんな感じ









ゲームで好成績を残したりすることでコインがもらえて、集めた枚数に応じてプレゼントが手に入ります。


ゲームコーナーのほかにショップもあり、先行販売や値引き販売が行われていました。



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in 取材,   動画,   マンガ,   アニメ,   ゲーム, Posted by logc_nt

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