Appleが1000億円でIntelのスマホ向けモデムチップ事業を買収しようとしていると報じられる

AppleとQualcommの関係悪化により、AppleはiPhoneやiPadで採用していたQualcomm製モデムチップを排除し、Intel製のモデムチップを採用したことがQualcomm幹部の証言により明らかになりました。その後、AppleはiPhone向けに独自のモデムチップを開発しているのではとまで報じられるようになっていたのですが、新たにウォール・ストリート・ジャーナルがApple内部の情報筋から入手した情報として、「AppleはIntelのスマートフォン向けモデムチップ事業を10億ドル(約1000億円)で買収しようとしている」と報じています。

Apple in Advanced Talks to Buy Intel’s Smartphone-Modem Chip Business - WSJ
https://www.wsj.com/articles/apple-in-advanced-talks-to-buy-intels-smartphone-modem-chip-business-11563830356

Apple in 'advanced talks' to acquire Intel's modem business - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2019/07/22/apple-acquire-intel-modem-talks/

ウォール・ストリート・ジャーナルが独自に入手した情報によると、AppleとIntelはスマートフォン向けモデム事業の買収について「高度な協議」を続けているとのこと。AppleはIntelのモデムビジネスが取り扱う「特許」および「開発スタッフ」に対して、少なくとも10億ドルを支払う予定だそうです。

報道によると、買収取引自体は2019年7月の第5週にまとまる可能性があるようですが、話がまとまらずに買収の件がなくなることも考えられると伝えられています。AppleはIntelのモデム事業買収よりもQualcommとの和解を優先していたそうですが、この交渉が決裂してしまったため買収劇が実現する運びとなった模様。なお、IntelはApple以外の企業に対してもモデム事業の売却を検討していたそうですが、「最もふさわしい買い手」はAppleであったため、結局2社は協議を再開することとなったと関係者は伝えています。

しかし、2019年4月にAppleがQualcommと和解して「泥沼の法廷闘争」を終結させたことを発表。

AppleがQualcommと和解して「泥沼の法廷闘争」を終結させたと発表、和解金は約6700億円との説も - GIGAZINE

当初は2020年に発売予定のiPhoneではIntel製の5Gモデムが採用されると報じられていたわけですが、Appleと「5G分野で他社を先行する」Qualcommが和解したことから、Intelは5Gモデムチップ事業からの撤退を発表していました。

ここまでの流れから、AppleはQualcomm製の5GモデムチップをiPhoneに採用する予定であることがわかりますが、同時にAppleは独自にモデムチップを開発中であるとも報じられています。「Qualcommと和解したなら不要では？」と感じるかもしれませんが、モデムチップを独自開発することでQualcommなどの特定の企業への依存度を減らすことが目的のようです。

AppleはiPhoneのために独自にモデムチップを開発中か - GIGAZINE

なお、アナリストたちはAppleが2020年のiPhoneでQualcommとSamsungの5Gモデムチップを採用すると予測しています。

また、ウォール・ストリート・ジャーナルはAppleがIntelのモデムチップ事業を買収することで、「長年の開発作業」を救うことができると主張。「Appleはスマートフォンの販売台数が世界的に安定しているため、自社端末をさらに差別化するためのチップ開発に取り組んでおり、それがこれまで収益を支えてきたiPhone事業を圧迫している」と指摘。この開発面の行き詰まりは、Intelのモデムチップ事業を買収することで解消されるのではと予測しています。