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Amazonが人工衛星を用いたブロードバンドサービス構築のため3000基超の衛星打ち上げ許可を当局に求める

by NASA

Amazonが人工衛星を用いたブロードバンドサービスを計画中であることはこれまでにも報道されてきましたが、新たにアメリカの放送通信事業の規制監督を行う連邦通信委員会(FCC)に、3000基超のブロードバンド衛星を打ち上げるための申請書を提出していることが明らかになっています。

Amazon plans nationwide broadband—with both home and mobile service | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2019/07/amazon-follows-spacex-into-satellite-broadband-asks-fcc-to-ok-launch-plan/

Amazonがアメリカ全土およびその他の地域もカバー可能な、3236基ものブロードバンド用人工衛星を打ち上げる認可をアメリカ政府に対して求めていることが明らかになりました。FCCに認可を求めているのはAmazonの子会社であるKuiper Systemsで、2019年7月の第1週に申請書を提出しています。

資料によると、Kuiper Systemsは「北緯56度から南緯56度までの範囲をカバーする」ためのブロードバンド衛星を打ち上げる予定で、「アメリカ本土・ハワイ・およびアメリカ領土の顧客がKuiper Systemsのブロードバンドサービスを利用できるようになります。また、他の多くのカバーエリア内の国々もサービスを利用できるようになります。ただし、アラスカ州の大半がカバーエリアの外側になってしまうため、サービス提供外となります」と説明しています。


Amazonが人工衛星を用いてブロードバンドサービスを提供しようとしていることは、2019年の4月にも報じられていました。報道では3000基以上の人工衛星を用いて地球全土をカバーする「Project Kuiper」と呼ばれる壮大なプロジェクトの存在が明かされていました。

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Project Kuiperとして語られたのと同じように、AmazonはFCCに対して3000基以上の人工衛星の打ち上げ許可を求めているわけですが、FCCの規則では打ち上げの承認が下りてから6年以内に予定の50%以上の衛星を打ち上げ、9年以内にすべての衛星を打ち上げる必要があるため、Amazonによる人工衛星を用いたブロードバンドサービスもそれ以内にスタートすることが予測されます。

Amazonが人工衛星を用いて形成しようとしているブロードバンドサービスは、家庭用の固定インターネットサービスとしてだけでなく、モバイル向けの回線提供も予定しているとのこと。申請書によると、Amazonは自社のネットワークを携帯電話事業者が利用できるようになると記しており、小規模な地方の通信事業者がAmazonから帯域幅を購入し、モバイルネットワークのカバー率が乏しい地域でより快適なネットワークサービスを提供できるようになる可能性が示唆されています。

加えてAmazonは、「Kuiper Systemsは地上の固定通信事業者やモバイル通信事業者の努力を補完し、地理的に困難あるいは費用がかかりすぎるような地域に対してもネットワークサービスを提供可能となるため、既存のネットワークサービスの品質ギャップを埋める役に立ちます」と申請書に記述。さらに、Amazonはインターネットサービスプロバイダ向けにバックホールサービスを提供するとも説明しています。

Amazonがブロードバンドサービスを消費者向けに直接販売するのか、それとも通信事業者向けに販売するのかは定かではありません。しかし、Amazonは住宅や企業向けにイーサネット接続を提供する顧客用端末を構築すると記しています。

by Christian Wiediger

Kuiper SystemsはAmazonの完全子会社であり、その社長は同じく人工衛星を用いてブロードバンドネットワークを構築しようともくろむSpaceXの元副社長であるRajeev Badyal氏です。なお、そのSpaceXはFCCから4200基の人工衛星を打ち上げる許可を得ており、最終的には1万2000基もの衛星を打ち上げる予定です。

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Amazonは人工衛星を高度590km・610km・630kmで運用する予定で、このような低軌道に存在する衛星は、既存の衛星システムよりもはるかに短い待機時間を実現できます。そのため、既存の有線でのブロードバンドネットワークに対する「現実的な代用品になる可能性がある」と海外メディアのArs Technicaは指摘。日本では高速な固定ブロードバンド通信サービスが多くの地域で利用可能ですが、世界的に見れば先進国であっても一部の地域で高速なブロードバンド通信サービスを利用できないケースが多々あります。Amazonは「固定ブロードバンド通信サービスが届きにくい地域に(衛星ブロードバンド通信サービスを)提供することで、デジタル格差を解消する役に立つでしょう」とFCCに対してアピールしています。

なお、Amazonは申請書の中で提供されることになるブロードバンドサービスの正確な通信速度や価格帯を明記していません。しかし、「高速かつ低遅延」なブロードバンドサービスになることを約束しています。

Amazonは5つのフェーズに分けて3236基の衛星を打ち上げる予定。最初のフェーズでは578基の衛星を打ち上げ、その後商業運用を開始するとしています。ただし、Amazonは衛星が寿命を迎えたあとに軌道上のデブリを回避するために十分な計画があることをFCCに納得させる必要があるとのこと。Amazonは廃棄されることとなった衛星を軌道変更することで、大気圏内で焼却する計画のようですが、そのためには運用停止から1年ほどの時間がかかるとしています。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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