大学卒業生の3分の2近くが「大学教育について後悔している」という調査結果

by sreza24595

大学へ進学することにより就職の選択肢が広がり、生涯収入がアップするというのは非常に一般的な考えですが、同時に大学進学にかかるコストが学生にとって大きな負担となっているのも事実。報酬調査サイトPayScaleの調査によると、アメリカでは多くの大学卒業者が教育ローンの返済に苦しんでおり、大学で学位を取得した人々のうち3分の2が「大学での教育に後悔がある」と回答していることが明らかになっています。

Biggest College Regrets - Compensation Research | PayScale
https://www.payscale.com/data/biggest-college-regrets

Two-thirds of American employees regret their college degrees - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/two-thirds-of-american-employees-regret-their-college-degrees/

アメリカではより高い生涯収入を得るため、あるいは安定した職業に就くために大学で教育を受けるべきだという考えが一般的です。2019年3月にはアメリカの名門大学で大規模な裏口入学ビジネスが運営されていたことが発覚しており、いかにアメリカでは大学を卒業することが重視されているかがわかります。

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ところが、PayScaleが2019年4月から5月にかけて行ったオンライン調査では、回答した24万8000人のうち学士号を取得した人々の約66％が「大学での教育に後悔がある」と回答。後悔の理由として最も多かったのは「学生ローン」の27.1％であり、続いて「専攻分野」の12.2％、その次が僅差で「大学での人的つながり」となっています。

アメリカのニュース制作会社CBSニュースは、何百万人もの学生が学生ローンに苦しんでいる現状が大学教育に対する後悔につながっていると指摘。2019年に卒業した大学生のうち70％が学生ローンを借りており、学生1人あたりの返済残高は約3万3000ドル(約350万円)となっています。

若い大学卒業生はローンの返済に追われて資産形成が難しく、家などの資産を購入するのが遅れているとのこと。また、時には子どもや孫が背負った学生ローンを高齢の親や祖父母が肩代わりするといった事例もあり、62歳以上のアメリカ人は860億ドル(約9兆2000億円)以上の学生ローンを、社会保障制度による収入から支払っているそうです。

このような現状を受けてアメリカでは学生ローンに対する問題意識が強まっており、2020年の大統領選挙で民主党からの候補指名を狙うバーニー・サンダース上院議員が「金融取引に新たな税金をかけて学生ローンの帳消しを行う」といった政策を発表する動きにもつながっています。

by Alexander Mils

また、PayScaleは世代別に大学教育への後悔を尋ねた結果も公開しています。アメリカにおいて1980年代～1990年代中盤までに生まれたミレニアル世代(ジェネレーションY)は最も大学教育を後悔する割合が高く、実に71.3％もの人々が何かしらの後悔を抱えている模様。続いて1960年代～1970年代に生まれたジェネレーションX世代は後悔している人の割合が62.7％にまで減少し、第二次世界大戦後から1960年台前半に生まれたベビーブーム世代では、半数以上が大学教育を後悔していないという結果になりました。

さらに大学教育を後悔する割合は、専攻した分野によっても違うことが判明。「工学」「コンピューターサイエンス」「経営学」といった高収入な職業に就きやすい分野の学生や、「教育学」を専攻した学生は後悔する割合が少なく、「人文学」「社会科学」「物理・生命科学」「美術」といった高収入の職業を得にくい分野の学生では、大学教育を後悔する割合が高い模様。

加えて「大学ローンについて後悔しているかどうか」を専攻分野別に調べた内容も発表されており、後悔する割合が高い分野は「健康科学」「美術」「社会科学」「教育学」の順に並んでおり、後悔していない順に「数学」「工学」「コミュニケーション学」と続いていました。