アメリカに留学した学生の40％はアメリカ人大学生と仲良くならない

by Fabio Barbato

アメリカに留学する学生の数は年々増加していますが、一方で「アメリカの大学に通う留学生のうち40％は仲のいいアメリカ人学生がいない」ということが過去の調査からわかっています。東アジアからやってきた学生には特にこの傾向が強いとのことですが、なぜ留学生たちは壁にぶちあたるのか、Quartzが留学生たちの生の声をまとめています。

40% of foreign students in the US have no close friends on campus: The culture shock of loneliness — Quartz
https://qz.com/31376/40-of-foreign-students-in-the-us-have-no-close-friends-on-campus-the-culture-shock-of-loneliness/

調査によると、アメリカの留学生の数は年々増加しており、2014年～2015年にかけての増加は前年に比べて3％だったのに対し、2015年～2016年にかけては前年比で7％増になりました。2016年の留学生の数は過去最大の76万4495人に達しており、そのうち56％は中国・インド・韓国・サウジアラビア・カナダ出身だったとのこと。

「外国の言葉で勉強し文章を書く」というのはもちろん困難の伴うことですが、それ以上に留学生たちの壁になっているのが人間関係におけるやりとりです。「A True Liberal Arts Education」という本の著者の一人であるYongfang Chenさんは自身の体験から、「あらゆる質問について『標準的な答え』が用意されている国の出身であるため、私はたとえ自分が納得していないことでも人々と議論したことがありませんでした。しかし、ボードン大学ではこの『答え』を再考するように迫られ、居心地の悪い思いをしました」とインタビューの中で語っています。中国には日本のセンター試験にあたる「gaokao」という統一試験が存在し、中国の学生たちはgaokaoのために極度の集中を求められますが、テストや学校の成績から総合的に判断されるアメリカの学生たちには、このようなあり方は理解されづらいようです。

by Vancouver Film School

また、別の文化的な側面によって、アメリカの学生と隔たりを感じる留学生も存在します。例えばサウジアラビアからやってきた女子生徒は、母国での決まりのために女性の教授から、女性たちと並んで授業を受ける必要がありますが、このような留学生も他の学生と隔たりやすい様子。もちろん、出身国による学生たちの違いは多様で、「中国からの学生はインドからの学生に比べて中流家庭出身が増えている」といったバックグラウンドの違いも見られます。また、かつては大学院に進むためにアメリカにやってくる留学生が多かったのですが、近年では大学進学のためにやってくる学生も増えています。大学院生と大学生の違いは大きく、人間として成熟した状態で構造化された環境で学ぶ大学院生に比べて、大学生はそれぞれの文化での「ティーンエイジャー」像を反映していることが多いため、全くの新しい環境になじめない、ということも問題としてあると見られています。

そのため、勉強だけでなく、パーティーのような娯楽でさえ、不快になったり脅威を感じたりする留学生もいます。ブラウン大学に在籍するアフリカ出身の学生の中には「パーティーは友人と話す場所であるのに、アメリカでは誰も会話せずに踊ってお酒を飲んでいちゃついてばかりいる」と語る人もいたとのこと。また、アメリカでの会話の難しさについて「アメリカ人はポリティカル・コレクトネスに非常に気を遣うが、ヨーロッパ出身の自分はかつて鈍感で思っていることをそのまま口に出していました。ここには人種や宗教などについて、ものすごく繊細で話すべきでないことが存在します。それが何なのか、理解するのに時間がかかりました」と語るノルウェー出身の学生もいます。

by DEAD HIPSTER

上記のようなコミュニケーションの壁にぶち当たることによって、留学生は次第にアメリカ人学生ではなく、同じ留学生と行動を共にするようになります。インドネシアからやってきた学生の一人は「彼らは私にとってなじみのないことについて会話します。結果として、留学生は互いに固まるようになるのです。今日も食堂では留学生と一緒に座っていたし、アメリカの学生たちに混ざるのはためらいがあります」と語ったとのことです。