iPad上で油絵や水彩画と同じ「塗り重ね」や「色混ざり」を実現するお絵かきツール「Adobe Fresco」が発表される
Adobeは2019年6月17日、iPadなどのタッチデバイス上で動作するドローイング&ペインティングアプリ「Adobe Fresco」を発表しました。Adobe製品に広く使われているAI機能のAdobe Senseiを活用し、幅広い描画表現が可能なツールとなっているそうです。
Our Upcoming Drawing and Painting App has a New Name: Adobe Fresco | Adobe Blog
https://theblog.adobe.com/our-upcoming-drawing-and-painting-app-has-a-new-name-adobe-fresco/
Adobeは「絵を描くことは創造的リテラシーを育成するための基本です」と述べ、多くの人にとって創造性の始まりは絵を描くことだと主張。絵画や彫刻、映画、建築などは絵を描くことからスタートしており、Adobeは多くの人が創造性を伸ばす手助けをしたいとしています。
そんなAdobeが発表したのが、iPad上で多彩なお絵かきが可能となる新アプリ、Adobe Frescoです。Frescoとは世界中で広く使われた絵画技法である「フレスコ」に由来しているとのこと。フレスコ画はまず壁に石こうを塗り、まだ石こうが生乾きの状態で水や石灰水で溶いた顔料を使って絵を描きます。
石こうが固まる前に素早く描かなければならないという点は、「インスピレーションを受けたらすぐに行動する必要がある」というAdobeの考えと重なる部分があるそうです。そのため、iPad上でドローイングが可能になりデスクトップから創造性を解放する新たなアプリの名称を、Adobe Frescoと名付けたとのこと。
by Steven dosRemedios
実際にAdobe Frescoがどのようなアプリになっているのかは、以下のムービーを見るとわかります。
First Look at Adobe Fresco - Adobe's Drawing and Painting App | Adobe Creative Cloud - YouTube
iPadらしきスクリーンの上に描かれているのは、鉛筆のようなタッチで描かれた人の目。
次に描かれたのは、スタイリッシュな女性の姿。左の方にはカラーパレットが表示されています。
繊細なチョウの絵を描くことだけでなく……
デジタルツールならではのコピー&ペーストも可能。
「Live Brushes」と呼ばれる機能では、水彩画のブラシでペイントすれば隣接する色が混ざり合い、着色部分に水を重ねれば色合いを薄めることが可能になります。Adobe Frescoの開発チームは、油絵や水彩画ではどのようにキャンバスに顔料が吸収されるのかや、顔料がどのように乾いていくのかを、化学的性質まで分析。これらの分析結果をAdobe SenseiのAI技術と組み合わせることで、驚くほどリアルな油絵や水彩画の表現を再現することが可能な「Live Brushes」の作成に成功したそうです。
また、油絵ブラシを使えば実際の油絵のように塗り重ねたり、顔料の隆起を表現することもできるそうです。
また、Adobe FrescoはPhotoshopとの連携も実現しており、お気に入りのPhotoshopブラシをAdobe Fresco上で利用したり、アプリケーション間でファイルを移動して描くことも可能。PDFでの出力も可能で、 Adobe Illustrator内での編集も容易です。
記事作成時点ではAdobe Frescoはベータ公開となっており、一般公開は2019年の後半が予定されています。もしもベータ公開のAdobe Frescoを利用したい場合は、以下の申請フォームから申し込みが可能です。
Be a part of Adobe Fresco | Adobe Landing
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