iPad向けのPSDが使えるフル機能版「Photoshop CC」が2019年リリース決定、プロトタイプの動きはこんな感じ

Adobeがアメリカ・ロサンゼルスで開催中の開発者会議「Adobe MAX 2018」で、iPadに特化したPhotoshop CCを2019年にリリースすることを明らかにしました。すべての機能を開放したフル機能版Photoshop CCをiPadで利用可能になります。

Adobe Unleashes Wave of Imaging Innovation | Adobe Blog
https://theblog.adobe.com/adobe-photoshop-aero-gemini-dimension-photoshop-cc/

デスクトップ＆モバイル版のPhotoshop製品一覧 | Adobe CC
https://www.adobe.com/jp/creativecloud/photoshop-ecosystem.html

AdobeはiPadで使えるフル機能版のPhotoshop CCを2019年にリリースすることを正式に発表しました。これまで、iPadで使えるPhotoshopにはPhotoshop Mix、Photoshop Sketch、Photoshop Fix、Photoshop Expressがありましたが、いずれも機能を選別した簡易版という位置づけで、何よりも「PSDファイルを扱えない」という欠点がありました。これに対して、2019年にリリースされるiPadに特化したPhotoshop CCは、レタッチや合成、スポット修復、描画モードなどのデスクトップ版ツールやワークフローを完全に利用可能。レイヤーや解像度も同じで、Adobeいわく「デスクトップで作業しても山の頂上でもPSDはまったく同じ」だとのこと。

フル機能のPhotoshop CCがiPad上で動くイメージはこんな感じ。

Discover Adobe Photoshop on the iPad - YouTube


Adobeによると、約18カ月前に2人のPhotoshopエンジニアが「本物のPhotoshopコードをiPad上で実行する」というクレイジーなアイデアを提案したのが開発のきっかけだとのこと。チーフプロダクトオフィサーのScott Belsky氏はアイデアの実現にゴー・サインを出し、プロジェクトが開始。アイデアに触発されたデザインチームはPhotoshopのUIの再考を始め、数カ月後にはiPad上で起動するPhotoshopが誕生したそうです。

デスクトップ版

iPad版

PSDファイルが扱えるiPad向け完全版Photoshop CCは、当然ながらデスクトップとiPadでの作業をシームレスに同期可能。「デスクトップで作業を開始し、外出先で作業して、家のソファーに座って仕上げる」という使い方が可能です。

デスクトップ版で使い慣れたツールだけでなく、Apple Pencilやタッチ操作が可能で、携帯性などiPad版ならではの利点があります。

レイヤーや各種ツールなどのUIは、タッチスクリーンに合わせた最適化が施されるとのこと。

すでにThe Vergeが開発中のiPad向けPhotoshop CCに触れています。

How Adobe is bringing “real Photoshop” to the iPad - The Verge
https://www.theverge.com/2018/10/15/17969754/adobe-photoshop-apple-ipad-creative-cloud

操作する様子は以下のムービーで確認可能。

Photoshop for iPad hands-on: an exclusive look - YouTube


iPad向けPhotoshop CCには、「touch modifier」と呼ばれるツールが画面左下に表示されるそうで、iPadのUXを高める独自UIがあります。なお、Adobeによると、将来的にキーボードショートカットやジェスチャーコントロールも組み込む予定だとのこと。

Adobe MAX 2018ではiPad向けのフル機能版Photoshop CCが2019年にリリースされるという発表だけで、価格や購入モデルについては未定です。なお、Belsky氏は「すべての製品はマルチサーフェスシステムでなければなりません」と述べている通り、デスクトップとモバイル端末との垣根を取り去る方向でAdobeは動いている模様。そのため、Android向けのフル機能版Photoshopや、iPad向けPhotoshop CCのタッチ操作を前提とするUIがMicrosoft Surfaceに適用される可能性もありそうです。