メモ

不正に人種差別的インターネット・ミームに使われてきた「カエルのペペ」にニュースサイトが160万円を支払って決着


長らく作者の意図とは異なる人種差別的なインターネット・ミームに使用されてきたキャラクター「カエルのペペ」の作者マット・フュリー氏が、1万5000ドル(約160万円)の支払いと今後ペペを一切使用しないことを条件に、右派系ニュースサイトと合意していたことが明らかになりました。

Infowars Agrees to Part Ways With Pepe the Frog - The New York Times
https://www.nytimes.com/2019/06/10/us/pepe-frog-infowars-alt-right.html

InfoWars Agrees to Pay Pepe the Frog Creator $15,000 in Copyright Settlement - VICE
https://www.vice.com/en_us/article/vb9x73/infowars-agrees-to-pay-pepe-the-frog-creator-dollar15000-in-copyright-settlement

「カエルのペペ(Pepe the Frog)」は2005年に公開されたウェブ漫画「Boy's Club」に登場するキャラクターでしたが、その後インターネット・ミームとして人気になるうちに、インターネット上での人種差別的な投稿やオルタナ右翼運動に利用されるようになりました。作者のフュリー氏はそんなペペのイメージを回復すべくインターネット上で活動を行いましたが、2017年5月には「魂だけでも取り戻す」ということだったのか、作者自ら「ぺぺの葬式」を実施。

ヘイト目的で使われ続けた「カエルのペペ」、作者が奪還を断念して公式で葬式を行う - GIGAZINE


しかし、その後もペペの奪還を諦めていなかったフュリー氏は、オルタナ右翼のアンダーグラウンドサイトThe Daily Stormerに対し著作権侵害の停止を求める訴えを起こし、2018年7月にはThe Daily Stormer上にある40以上もの記事の取り下げを勝ち取っていました。

人種差別サイトに利用された「カエルのペペ」の奪還についに成功、ネオナチサイトが画像を全削除 - GIGAZINE


フュリー氏はさらに2018年3月、右派系論者としても知られるラジオ番組司会者アレックス・ジョーンズ氏が保有するニュースメディアInfowarsを提訴し、ペペのポスター販売を停止させています。

これが実際にInfowarsがオンラインで販売していたポスターです。トランプ大統領の顔が大きくデザインされたポスターの左上にカエルのペペが描かれています。


ペペを巡るフュリー氏とInfowarsの訴訟問題はポスターの販売停止にとどまらず、これまでInfowarsがポスター販売で得た利益にも及びました。当初は争う構えを見せていたInfowarsですが、2019年6月10日には和解に転じ、フュリー氏に対してポスターの利益1万4000ドルに1000ドルを追加した合計1万5000ドル(約160万円)の支払いと、当該ポスターの在庫をすべて破棄し、今後一切ペペを使用しないとの条件を認める合意に達したとのことです。

この合意についてInfowarsはサイト上で「フュリー氏に対し、1万5000ドルの『ライセンス使用料』を支払うことにした」との声明を発表。同声明では「ライセンス料はフュリー氏が求めていた200万ドル(約2億1000万円)の損害賠償金に比べればはるかに安く、今後必要になる潜在的な裁判費用やフュリー氏が裁判に費やした資金なども考慮すれば、明らかにアレックス・ジョーンズの戦略的勝利だ」と声高に宣言しています。

一方、フュリー氏の弁護士で、前述のネオナチサイトに対する裁判でも弁護士を務めたルイス・トンプロス氏は「1万5000ドルはライセンス使用料ではありません」と否定し、「ポスターの販売停止とポスター販売によるすべての利益の引き渡し」を求める当初の目的は達成されたとの見方を示しました。


トンプロス氏はさらに、「最も重要なポイントは、Infowarsがもう二度とペペを使って活動をすることができない点にあります。我々の戦いはまだ決して終わっていませんが、Infowarsに対する勝利は我々の最大の目標でした」と語り、今回の決着がペペを巡る戦いの大きな節目となったと述べました。

なお、かつて「#SavePepe」というハッシュタグを使ってペペの奪還を試みていたフュリー氏は、1万5000ドルの一部を本物のカエル保護団体「Save the Frogs!」に寄付する予定だということです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ヘイト目的で使われ続けた「カエルのペペ」、作者が奪還を断念して公式で葬式を行う - GIGAZINE

人種差別サイトに利用された「カエルのペペ」の奪還についに成功、ネオナチサイトが画像を全削除 - GIGAZINE

ネオナチのオンラインコミュニティは独自のソーシャルメディアを利用して肥大化しつつある - GIGAZINE

掲示板redditがオルタナ右翼を閉め出す - GIGAZINE

Facebookを追い出されたネオナチや人種差別主義者などはネット上で新たな活動の場を見いだしている - GIGAZINE

89歳の「ナチスばあちゃん」がホロコースト否認で禁錮2年を言い渡されて行方をくらますも逮捕される - GIGAZINE

差別的主張や陰謀論を唱える人気コメンテーターのYouTubeチャンネルが停止されてしまう - GIGAZINE

Twitterが陰謀論を唱える活動家のアカウントを永久凍結処分 - GIGAZINE

Wikipediaが右派系のサイトを「信頼性に欠ける」として情報ソースに使用することを禁止 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.