「コーヒーのことを考える」だけで覚醒度が上昇してより具体的な思考ができるかもしれない
コーヒーを飲むとスッキリした気分になったり、思考能力が上がったりすると感じる人は多いはず。実際にコーヒーを飲まなくても、「コーヒーの香りを嗅ぐ」だけで脳の働きが活発になるという研究結果もありますが、研究者らは「コーヒーのことを考える」だけでも覚醒度が上昇し、より具体的な思考ができるようになることを突き止めました。
Coffee cues elevate arousal and reduce level of construal - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1053810018303350
Being Prompted To Think About Coffee Elevates Your Physiological Arousal And Focuses Your Mind, No Ingestion Required – Research Digest
https://digest.bps.org.uk/2019/04/12/being-prompted-to-think-about-coffee-elevates-your-physiological-arousal-and-focuses-your-mind-no-ingestion-required/
モナシュ大学のマーケティング研究者であるEugene Chan氏とトロント大学のSam Maglio心理学准教授は、コーヒーのことを考えるだけで人間に影響がおよぶのかどうかを確かめるため、実験を行いました。
オンラインと研究室の双方で行われた実験には合計で数百人が参加し、実験では実際のコーヒーといった飲み物は使われなかったとのこと。実験の中で参加者らは複数のグループに分割され、コーヒーまたは紅茶について考えるタスクを与えられました。
あるグループはコーヒーについて宣伝するスローガンを考えさせられたほか、別のグループでは紅茶について宣伝するスローガンを考えさせられました。また、コーヒーまたは紅茶を飲むことの利点についての記事を読まされるグループもあり、それぞれがコーヒーまたは紅茶について考える状況を作り出されたとのこと。
その後、研究チームは参加者らの心理的な覚醒度を測るため、自己申告によって注意力の高さや活力、興奮度合いなどを参加者に申告させたほか、参加者の心拍数も計測したそうです。また、物事をどれだけ具体的に考えられるかの尺度である「解釈レベル」を測定するため、さまざまな事柄を具体的に考えたのか、それとも抽象的に考えたのかをテストして計測しました。
結果として、コーヒーについて考えさせられた参加者は、紅茶について考えさせられた参加者と比較して、自己申告および心拍数に基づく覚醒度が高いことがわかりました。さらに解釈レベルの面においても、コーヒーについて考えた参加者はより具体的で集中した思考を見せたとのこと。
研究者たちによると、コーヒーを考えたことによる覚醒度の上昇や認知の変化は、カナダやアメリカに子どものころから住んでいた参加者にだけ確認されたそうです。日本や韓国、中国といった東アジア諸国から移民した参加者については、コーヒーによる影響が確認されませんでした。
by rawpixel.com
今回の結果について、研究者は「食べ物や飲み物は実際の飲食によって栄養や喜びを提供するたけでなく、頭に思い浮かべるだけで人々に影響を与える可能性があります」と述べています。その一方で今回の実験ではあくまでもコーヒーと紅茶について比較されているだけであり、「コーヒーを思い浮かべることが人々を覚醒させて具体的な思考をさせる効果を持つ」のではなく、「紅茶を思い浮かべることが人々を落ち着けて抽象的な思考をさせる効果を持つ」という可能性もあるそうです。
Chan氏とMaglio氏も、今回の研究は継続的なフォローアップ調査が必要だと認めており、「私たちは今回判明した基本的な効果を再現する、さらなる研究を待っています」と述べています。
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