オックスフォード英語辞典の編纂に関わったひとりの天才と殺人鬼の実話を描く映画「The Professor And The Madman」予告編
12世紀半ば以後の英語をすべて採録することを編集方針とし、1884年2月1日から編纂が開始され、1928年4月19日にようやく全10巻の完全版が発行された世界最高の英語辞典が「オックスフォード英語辞典(OED)」です。OEDの編纂に深く関わった2人の男性についてサイモン・ウィンチェスターが記した驚くべき実話「博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話」を元にした実写映画「The Professor And The Madman」の予告編が公開されています。
The Professor And The Madman Official Trailer - YouTube
どうやら先ほどの通り魔に大切な人を射殺されてしまった模様。そして「受刑者番号742はブロック2に収監されました」という声が鳴り響き、通り魔は無事逮捕されました。
再び場面は変わり、大図書館の中で何かの作業が行われています。
「我々は過去20年間にわたって辞書を作ろうとしてきました。これが並外れて変わった行いであることは理解しています」
「そしてマレー教授こそが、我々の前に立ちはだかる問題の解決策であり、救いでもあります」と、プロジェクトにとっての希望の光として紹介された人物こそ、本作の主人公であるジェームズ・マレー教授。演じるのは「マッドマックス」シリーズや「リーサル・ウェポン」シリーズでおなじみのメル・ギブソン。
「そんなタスクは実現不可能だ」と、OEDは実現不可能な試みであると批判する男性。
その助けこそ、予告編の序盤で殺人を犯し収監された通り魔のW・C・マイナー博士。マイナー博士を演じるのは、映画「ミスティック・リバー」でアカデミー主演男優賞を受賞したショーン・ペン。
「OEDに採録して欲しい単語を探して読んでもらい、紙に書いてもらうようお願いします」という声が鳴り響く中、淡々と紙に文字を書く作業を続けるマイナー博士。マイナー博士は牢獄の中からOEDの編纂作業に協力していたという人物です。
そしてマレー教授とマイナー博士が対面するシーン。マレー教授は「あなたと出会えたことを誇りに思います」とマイナー博士に向けて語りかけます。
「私が人生で追求してきたことのすべては、OED編纂のためにあった」と、自身の人生をかけてOED編纂に取り組んでいることを明かすマレー教授。
殺人を犯したマイナー博士は「あなたは私が狂っていると思っているのだろう」と何者かに語りかけ……
「私には本だけが必要なんだ」と、自身にとって本がなくてはならないものであることを明かします。
新聞には「アメリカの殺人鬼がOEDに泥を塗る」という見出し。OED編纂に協力してきたマイナー博士の存在が白日の下にさらされることに。
OED編纂チームと対立してでもマイナー博士の功績を隠匿すまいとするマレー教授。
狂気のマイナー博士はなぜ殺人を犯し、そしてOED編纂に参加したのか……?
「私は本を読むことで、ここから離れて本の裏表紙から世界の果てへと飛んでいくことができる」
独房から抜け出し通路で看守と1対1で向き合うマイナー博士。一体何が起こっているのか?
「The Professor And The Madman」
「The Professor And The Madman」はクロアチアでは2019年3月7日に公開されていますが、主演のメル・ギブソンが制作会社のボルテージ・フィルムを告訴しているため、アメリカでの公開日は未定のままとなっています。なお、原作の「博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話」は文庫版およびKindle版がAmazonで販売中で、AmazonのカスタマーレビューやWEB本の雑誌の評価を読めば、原作がどのようなものかイメージをつかめます。
博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF) | サイモン ウィンチェスター, Simon Winchester, 鈴木 主税 |本 | 通販 | Amazon
オックスフォード英語大辞典に関わった人物の物語。最初、翻訳がとっつきにくく読みにくい部分があったりしたため、少し読み進めるのに時間がかかりました。
しかし、この冷静な作者の、そして翻訳者の視点がこの物語を大変深いものとしています。
そうしていつの間にか、この壮大な歴史と友情の物語に引き込まれてしまいました。
殺人を犯し狂人とされ、一生精神病院から出ることのなかったマイナー博士と財をなげうってまでも辞典編纂にあたったマレー博士。
往復する書簡の中で二人の人物は、辞典を作成することにかけて並々ならぬ友情をはぐくんでいきます。
いかに辛抱強く、ひとつひとつの語彙を集めていったのか。
その集中力と熱情には目を見張るばかり。
このマイナーの成した偉業には、ただ驚くばかりです。
英国の辞書編纂の歴史を知る、というだけではなくそこにどんな人物が関わり完成までの苦労があったのか、というドラマチックでもある部分も大変面白い。
読んでいくにつれ、生きている、生きていた証を残しておきたいというマイナー博士に熱い気持ち。
印象に残る一冊でした。
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