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「スーパーマリオ」をARで再現して遊ぶにはどうすればよいのか?AR版マリオの制作過程の一部始終が公開中


拡張現実(AR)や複合現実(MR)は、すべてを仮想空間で構成する仮想現実(VR)と異なり、周囲に存在する現実の環境と仮想の空間を重ねて体験する技術です。Microsoft HoloLensなどのARデバイスだけではなく、AppleのARKitやAndroidのARCoreなどスマートフォンでもARを簡単に体験できるようになり、日常に身近な技術となっています。そんなAR技術を駆使して、Abhishek Singh氏が2016年に「スーパーマリオブラザーズ」のステージをそっくり現実に再現し、HoloLensを使って実際に体験しながら遊ぶことができるムービーを公開しましたが、どうやって「リアルマリオ」を制作したのか、その過程をTwitterで公開しています。

実際にARでスーパーマリオの世界を遊ぶとどんな感じになるのかは以下の記事を読むとよく分かります。

AR(拡張現実)でスーパーマリオの世界と現実を重ねて遊ぶとこんな感じになる - GIGAZINE


HoloLensのデモ内で白いキューブを見た時に、ふとスーパーマリオブラザーズのブロックを思い出したというSingh氏。「これでマリオを作ったらどうなるのだろう」というところから制作をスタートしたとのこと。しかし、マリオに登場するキャラクターやオブジェクトのボクセルモデルで満足するものがなかったことから、Singh氏はFusion 360で全て1から制作したとのこと。


ゲームのプログラムはC#で書き、コースは1-1のものを忠実に再現。人間のスケールにあわせると、コースの全長は110メートルにも及ぶそうです。


実際の「スーパーマリオブラザーズ」ではキノコをゲットすると巨大化しますが、Singh氏が制作するマリオはあくまでもARなので、自身が大きくなることは不可能。しかし、巨大化を演出するために、プレイヤーの周りにあるオブジェクトのサイズを小さくすることで巨大化したように錯覚させる工夫を行ったそうです。


また、ゲームでは自分の身長の2倍以上もジャンプし、空中に浮かぶブロックを叩くマリオですが、現実ではそれほどまでのハイジャンプは不可能。そこで、ジャンプして実際に届いていなくてもブロックが反応するように調整しているそうです。


もちろん、体験しているユーザーの身長が重要となるため、ゲームを始める前に入力する必要があるとのこと。


HoloLensを着用している本人にはマリオの世界が見えていますが、端から見ているとこんな感じ。たまたま犬の散歩で通りがかった人が「何をしているんだ?」とばかりにSingh氏を見つめています。


現実でマリオを遊ぶためには、全長110メートルもあるコースを妨げないまっすぐの空間が必要になります。また、日差しが強すぎたり他に歩行者がいると正しく遊べないため、Singh氏はデモプレイを行う場所の選定に苦労したとのこと。最終的に選んだのはニューヨークのマンハッタンにあるセントラル・パークで、早朝にテストプレイと撮影を行ったそうです。また、110メートルも距離があることで、道を進むにつれて現実との座標のズレが蓄積されていくため、コースのデータを6メートルごとに分割し、進行に合わせてロードし、順番に表示させるという工夫を行っているとのことでした。


そうして実際に作り上げたAR版「スーパーマリオブラザーズ」のプレイムービーは以下。制作開始から完成まで4~6週間かかったそうです。Singh氏が公開したムービーは再生回数190万回を超え、100以上の記事に取り合げられたそうです。

Super Mario Bros Recreated as Life Size Augmented Reality Game - YouTube


・おまけ
Abhishek氏は、映画「ザ・リング」に登場するサマラ(貞子)が映画さながらにテレビからはい出てきて追いかけてくるムービーを2018年に公開しています。


貞子がテレビ画面から飛び出すように出現して……


撮影者を追いかけてきます。


必死に長い廊下を逃げて振り返ると姿はなく、さすがにここまで逃げれば追いかけてこないかとばかりに安心していると……


曲がり角をスムーズにクリアして撮影者を追いかけてくる貞子の姿。


再び逃げようと振り返りますが、既に回り込んだ貞子が撮影者に向かってゆっくりと手を伸ばします。


Ken Rutkowski氏が紹介したこのムービーは、iOSのARフレームワークであるARKitとUnityを使って2018年に制作したとのこと。現実を強化するARコンテンツはホラーとの親和性の高さがよくわかるムービーとなっていて、「ARホラーコンテンツ」の普及に期待したいところです。

なお、Unityの公式アカウントはこの貞子ムービーに対して「悪夢をありがとう!」とコメントしていました。

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in ソフトウェア,   動画,   映画,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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