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Googleがスマホ上で音声をリアルタイムでテキストに起こすアプリを聴覚障害者向けに開発


WHOによれば、世界中でおよそ4億6600万人が聴覚障害を抱えていて、その数は2050年までに9億人まで増えるとみられるそうです。聴覚障害者は人々の声が聞こえにくいか全く聞こえないため、会話をする際に不便が生じることが多く、コミュニケーション不足に陥ったり講演などに足が運びづらかったりします。そんな聴覚障害者を支援するため、Googleは音声をテキストに変換するアプリ「Live Transcribe(音声文字変換)」と、補聴アプリ「Sound Amplifier(音声増幅)」を開発しました。

Google AI Blog: Real-time Continuous Transcription with Live Transcribe
https://ai.googleblog.com/2019/02/real-time-continuous-transcription-with.html

Making audio more accessible with two new apps
https://www.blog.google/outreach-initiatives/accessibility/making-audio-more-accessible-two-new-apps/

聴覚障害者を支援する重要な技術に、音声を自動で字幕に変換する自動音声認識ソフトウェアがあります。いまだに多くの人々は手動での音声転記者を雇うなど大きな負担を強いられていますが、ソフトウェアが外部の音声を自動で字幕に変換してくれれば、聴覚障害者と健常者のコミュニケーションが大幅に改善されるはずです。


そこでGoogleは聴覚障害者を支援するために、音声を自動でテキストに転記してくれるAndroidアプリ「Live Transcribe」を開発しました。Live Transcribeは70以上の言語と方言をカバーしており、実に全世界人口の80%以上をサポートできるとのこと。

Googleが開発したLive Transcribeについて解説したムービーがこれ。

Android Accessibility: Live Transcribe


カメラの前に座っているのは聴覚障害者の男性。


目の前の人が口を動かしていても、何を話しているのかは聞き取れませんが……


手元のスマートフォンを見てみると、目の前で話している人の言葉がほぼリアルタイムでテキスト表示されていました。


男性はGoogleの研究者であるDimitri Kanevsky氏。幼いころに完全に聴覚を失い、それ以来音のない世界で暮らしています。


過去30年間にわたって音声認識技術や通信技術の研究を続けてきたKanevsky氏は、ほかの研究者らと協力してほぼリアルタイムで音声をテキストに転記するアプリのLive Transcribeを開発しました。


健常者とリアルタイムに近いやり取りを行うことは、人生の夢だったとKanevsky氏は語ります。


Kanevsky氏はLive Transcribeを使うことによって、仲間たちとも「会話」を楽しむことができるようになりました。


また、Live Transcribeは聴覚障害者のための大学であるギャローデット大学にも導入され、良好なフィードバックを受けているとのこと。


講義が聴覚障害者に対応した形で行われるだけでなく……


教授の中にも聴覚障害を持つ人がいます。Mohammed Obiedat氏はその一人。


Obiedat氏の2人の息子は健常者であり、まだ手話がそれほどうまくありません。


ところが、Live Transcribeを使うことによって息子の話す言葉がリアルタイムでわかるようになりました。


Live Transcribeは聴覚障害者と健常者をつなぐツールになり得ます。


Obiedat氏は「情報は力です」と語り、Live Transcribeが聴覚障害者に力をもたらすとしています。


Live Transcribeは音声データをクラウドサーバーに送信し、サーバー側で音声をテキストに変換することで高い精度でのテキスト変換を可能にします。一方で過度のデータ通信はユーザーの負担やリアルタイム変換の妨げになるため、音声データをデバイス上で最小化してからサーバーに送信しているそうです。

また、GoogleはLive Transcribeのほかにも、背後が騒々しい場合に通話音声をより明確にするアプリ「Sound Amplifier(音声増幅)」もリリースしました。このアプリは有線ヘッドフォンやイヤホンを接続したAndroidデバイスで使用可能であり、マイクの音声を増幅させてノイズを除去し、より音声を聞き取りやすくしてくれるとのこと。

なお、Live Transcribeはベータ版がリリースされており、申し込みを行うことで使用することが可能になるほか、今後発売される最新のアップデートを受けた「Pixel 3」にもプリインストールされる予定となっています。Sound AmplifierもGoogle Playストアで入手可能で、Android 9 Pie以降のAndroidデバイスで使用可能だそうです。

音声文字変換 - Google Play のアプリ


音声増幅 - Google Play のアプリ

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