スマホのSIMを乗っ取る「SIMハイジャック」で初の有罪判決を受けたハッカーの懲役10年が確定

by ROBIN WORRALL

SIM スワップを用いて他人の携帯電話を乗っ取る「SIMハイジャック」攻撃を仕掛け、数十台の携帯電話をハッキングして500万ドル(約5億5000万円)以上の仮想通貨を盗み出した疑いで逮捕された大学生ハッカーが、自身の罪を認め懲役10年の刑罰を受け入れたことが明らかになっています。SIMハイジャックにより有罪判決を受けた事例は今回が初のこととなっています。

Hacker Who Stole $5 Million By SIM Swapping Gets 10 Years in Prison - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/gyaqnb/hacker-joel-ortiz-sim-swapping-10-years-in-prison

First Hacker Convicted of 'SIM Swapping' Attack Gets 10 Years in Prison
https://thehackernews.com/2019/02/sim-swapping-hack.html

2018年7月、アメリカ・カリフォルニア州で大量の携帯電話の番号をハッキングして500万ドル(約5億5000万円)以上の仮想通貨を盗んだ疑いで、ボストン在住の大学生ジョエル・オルティズ容疑者が逮捕されました。オルティズ被告はSIMハッキングを通じて入手したSNSのアカウントなども販売していたそうです。犯行の手口や、警察がどのようにして犯人を特定するに至ったかなどは、以下の記事を読めばわかります。

携帯電話番号を何十件も乗っ取って総額5億円以上を盗んだ疑いで大学生ハッカーが逮捕される - GIGAZINE

カリフォルニア州サンタクララ郡の副検事であるエリン・ウェスト氏によると、個人情報盗難13件・ハッキング13件・盗難2件の計28件で起訴されていたオルティズ被告が、2019年1月末に行われた会合の中で自身の罪状を認め懲役10年という重い刑を受け入れたとのこと。警察当局によるとオルティズ被告は「SIMスワップによる罪で初めて有罪判決を受けた人物である」とのことで、SIMハイジャックに関する事件を捜査している検察官やエージェントたちは、今回のケースが同じような手口を用いる犯罪者たちを裁くための指針として役立つようになることを願っているとしています。

オルティズ氏の訴訟を担当した代理人のひとりであるサミー・タラジ氏は、「我々は正義がなされたと思います。そして、うまくいけば今回の例はSIMハイジャックを用いる犯罪コミュニティに対する強いメッセージになります」と語っています。

by Manh Nghiem

なお、オルティズ氏と同じくSIMハッキングの疑いで逮捕された若者は複数います。19歳のXzavyer Narvaez容疑者は100万ドル(約1億1000万円)相当のビットコインを盗み出した罪に問われており、21歳のNicholas Truglia容疑者はシリコンバレーの企業幹部から数百万ドル(数億円)相当のビットコインを盗み出したことで起訴されています。そして、最も悪名高いSIMハイジャッカーのひとりである21歳のJoseph Harris容疑者は、1400万ドル(約15億円)相当の仮想通貨を盗んだ疑いがかけられています。

ウェスト氏は記事作成時点で進行中のSIMハイジャックに関する捜査の詳細は明らかにしていないものの、新しく捜査令状を出して逮捕に向けて動き出している事件もあると明かしています。加えて、「ジョエルの刑期を見れば、我々のコミュニティがこの種の犯罪を容認しないことは明らかだ」と語り、さらに「我々は責任を負うべきすべての人を探し続けます」と、SIMハイジャッカーたちへの捜査の手を緩めることはないとしています。

なお、SIMハイジャックに関する捜査はアメリカ・カリフォルニア州の複数の警察署による地域執行連合コンピューターチーム(REACT)が担当しているそうです。REACTの代理人によると、2018年にはSIMハイジャック攻撃を受けたという被害者からの報告が何百件も寄せられたそうですが、2019年に入り報告件数は徐々に減少しているとのことです。