取材

雪が積もった合掌造りを見たくて冬の白川郷へ行ってきた


見渡す限りの雪景色の中に、点々と散らばる合掌造りの古い家々。求めていた幻想的な世界が広がっていました。岐阜県白川郷の合掌造り集落は富山県五箇山とともに、1995年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。インバウンド効果もあって現在は外国人の方にも人気の観光地でした。

こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。地元の福岡にいた頃は、雪なんて1年に1度積もったらいい程度でした。特別な日になりますから、テンション上がります。小さな頃は雪が積もると犬のように外を駆け回っていました。手元に原付きがあった頃は山奥に探検にもでかけました。だからこそ、雪景色にはただならぬ憧れがありました。

◆白川郷へ
そこでやってきた年末年始の連休。福島まで出かけたお盆休みに続いて、青春18きっぷを利用して短い旅をしてきました。2019年の年末はどこにいるか見当が付きません。だったら、冬らしい雪景色を見に行きたい。心まで洗われるよう真っ白な世界。そういうことで青森まで行く東北大遠征と迷いましたが冬の白川郷に決定。

1月4日、モグラ駅こと土合駅を通過する上越線を再度利用して新潟県長岡市まで。あとは西へ西へ列車を乗り継ぎます。上越市の直江津駅より西はえちごトキめき鉄道、富山県に入るとあいの風とやま鉄道となるため青春18きっぷの区間外ですがやむなし。夜は富山市の呉羽駅近くのネットカフェでおやすみ。


1月5日、高岡市の高岡駅まで移動して朝から大仏にお参りしました。この高岡駅から白川郷まで「世界遺産バス」と呼ばれる観光路線バスが出ています。今回は「高岡→白川郷」「白川郷→高山」がセットになった「白川郷・五箇山 ルートきっぷ」を3980円で購入。白川郷までが1800円、高山までが2470円なので少しお得になります。朝8時10分の便に乗車。白川郷には10時20分頃に到着。五箇山でも途中下車できましたが、今回は集落の規模が大きい白川郷にしぼって観光してきました。

白川郷観光協会
https://shirakawa-go.gr.jp/

少し歩いて飛び込んできた風景。


◆合掌造り
茅葺(かやぶき)の屋根が特徴的な合掌造りの家屋は、どこか懐かしくなるような日本の原風景を今に伝えています。諸説ありますが、外から見た屋根の形が手と手を合わせた合掌にもみえることから合掌造りと呼ばれるようになったとか。その中でも富山県の五箇山、岐阜県の白川郷の合掌造り集落はユネスコの世界遺産にも登録され有名となっています。今回の白川郷は岐阜県白川村の荻町地区の集落になります。

一般的な合掌造りの家屋。Vの字を逆にした切妻屋根となっています。


連なる合掌造りの家々。


欲をいうなら屋根にもっと雪のある光景を見たかったのですが、年始だとこのくらいかもしれません。1月後半や2月だともっと雪があったかもしれませんが、そのあたりになると休みが取りづらいというジレンマ。


屋根の先から垂れるつらら。


倉庫のような家屋も合掌造り。


集落にある明善寺本堂は合掌造りでありながらも入母屋屋根という他とは違った形をしていました。


合掌造りの家屋が点在する集落。


集落を少し離れた郊外の家屋も合掌造りでした。


集落内のメインストリート沿いには飲食店やお土産物屋さんが続きます。


五平餅はこの地の名物。甘辛じょうゆがかかった中身はお餅とご飯の中間のような食感。おやつのような主食のような、なんとも不思議な食べ物でした。


荘川に架かる「であい橋」もなかなか絵になる風景。


白川郷の集落を流れる荘川は日本海側の富山県に流れていきます。


中国からであろう中年女性グループがカメラの前で雪をすくっては上に投げすくっては上に投げ、キャッキャッしながら戯れていました。天真爛漫。気取らないし飾らない。今を全力で楽しんでいるような笑顔を見せていました。名古屋で働いているというスリランカの若い男たちはそれぞれがモデルのようにポーズを撮って写真に熱中夢中。白川郷は日本人だけでなく外国人にも人気の観光地になっていました。

◆和田家
白川郷の合掌造り集落では、何軒かの家屋で入館料を払って内部を見学することができます。私は最初に目に留まった和田家を訪問。江戸時代には庄屋を務めたという由緒あるお家柄。江戸時代末期に建てられたともいわれる家屋は国の重要文化財にも指定されています。

かなり大きな合掌造りの家屋でした。


妻側から見た和田家。


中に入って、畳の間。


ふすま絵は松に鶴という縁起もの。しかも夫婦鶴?


囲炉裏は合掌造りの家屋では欠かせない場所でした。調理や暖房だけでなく、薪や炭を燃やした煙が家屋の柱や梁、屋根の茅に行き渡って防腐、防虫効果の役目を果たします。


樽や釜やら生活道具が置いてあった階段途中の中二階。


2階は広大な屋根裏部屋でした。天井が低いので生活空間というよりは秘密基地のようです。


この2階では蚕(かいこ)の飼育が行われます。蚕を育てて繭から生糸を作る養蚕業は、幕末から昭和はじめにおけるこの地の主産業でした。合掌造りの特徴ともいえる切妻屋根は、蚕を育てるために風と光を取り入れるための工夫。


建物内から見た合掌造りの骨組み。


このように縄を結んで合掌造りの骨組みは作られていました。釘(くぎ)や鎹(かすがい)といった金属は使われておりません。


◆雪のある景色
合掌造りだけでなく、雪のある景色には思わず足が止まります。個人的に見慣れていないからこそ、積もった雪は何気ない日常を特別へと変えてくれました。

誰かが作った雪だるま。


雪積もる柿の木。


お地蔵さん。


雪覆われた神社。


雪と生活する村。


◆荻町城跡展望台
合掌造りの集落が一望できる荻町城跡展望台は、今回の白川郷観光のハイライトでした。和田家手前に高台に上っていく道があります。有料のシャトルバスも運行されていましたが、大人気のため歩きで往復しました。雪か氷か転びそうになっていた人もいたので、足元にはご注意下さい。

歩きだと途中の景色がも楽しめます。


展望台からの景色。求めていた世界が広がっていました。


メインストリート中心とした合掌造りの集落。どの家屋も同じ向きで並んでいるのは、屋根の雪を溶かすために日照時間を最も長く取れるようにしたためだとか、風の抵抗を最小限に抑えるためだとかいわれています。


きびしい大自然の中、肩を寄せ合うように集まる人の家。


昔は自転車に乗っていたので気になる峠道。


展望台付近も雪に覆われた世界が続いていました。


概ね満足のゆく観光でしたが反省点として靴がびしょびしょになりました。小雨ぱらつくあいにくのお天気もありますが、晴れていても雪は解ければ水になりますし、防水がしっかりとした靴を履いていくべきでしょう。インドネシアからの旅行者はホテルが貸してくれたという長靴を履いていました。また、折り畳み傘も持っていくべきでした。集落内でもビニール傘は売っていますが、荷物が一つ増えます。だから、使わないときには鞄にしまえる折り畳み傘がベターかと。

◆高山
気の済むまで歩き回ったところで白川郷を後にします。時間制限を嫌って予約を後回しにしていたら、ちょうどいい時間のバスは満席。15時15分発の予約なしで乗れるバスを待つことにしましたが列には大勢の人。どうなるのかハラハラしましたが、なんと臨時便を出すバス会社の神対応。ほどなくして、バスに乗り込むことができました。

福島県の会津若松市、熊本県の人吉市など、内陸ながらも単独で市となった場所は地理マニア的にたまりません。隣接する市がないのならなおさら。そういった点で岐阜県の高山市は憧れの地でした。今でこそ高山市は市町村合併で飛騨市や下呂市に挟まれていますが、かつては岐阜県飛騨地方唯一の市でした。さらに古くは飛騨国の中心都市。江戸時代から街なみ残る「飛騨の小京都」として、高山市は観光業も盛んです。臨時便のおかげで時間に余裕もできたので、少しの時間ですが高山の街も歩いてみました。

JR高山駅。


小京都と呼ばれる古い街なみ。なぜか、ボスニアの首都サラエボを思い出しました。どちらもあいにくの曇り空の下で、歴史ある建物が連なるストリートがシンクロ。山々に囲まれた街というのも共通。


道脇になぜか巨大な釜。


こちらも不思議だった神棚のある建物。


くすりやさん。


古さにかえって格を感じたお茶を扱うお店。


自転車日本一周時に五箇山と白川郷は訪問していました。5月でしたので緑の山々に囲まれた田舎。のんびりしたくなるようなほのぼのとした空気が流れていました。一転して今回は1月、冬の訪問となりました。雪に覆われた白川郷は幻想的な美しさを秘めていました。このような閉ざされた地で代々暮らし続けてきた昔の人たちを尊敬してやみません。

夏でも冬でも白川郷はおすすめできます。特別では古き良き日本の田舎の景色が今に伝わる場所でした。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
Instagram https://www.instagram.com/shuto.takuya/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)

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in 取材, Posted by logc_nt

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