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Microsoftのフライトシミュレーターを没入型マルチディスプレイでプレイできるよう改造した猛者が現る


Microsoftが開発したフライトシミュレーターの「Microsoft Flight Simulator」を、3つのモニターをつなぎ合わせた没入型マルチディスプレイでプレイできるよう改造したのがGoogleで開発者として働くWayne Piekarskiさんです。1989年に登場したMicrosoft Flight Simulatorのバージョン4を改造し、本物のフライトシミュレーターのようなコックピット風のスペースでプレイする様子がムービーで公開されています。

Wayne Piekarski | Modifying Microsoft Flight Simulator 4 to run on three immersive monitors
http://www.tinmith.net/wayne/blog/2017/06/immersive-flight-sim-4.htm

PiekarskiさんがMicrosoft Flight Simulatorを改造して作り出したフライトシミュレーターがどんなものなのかは、以下のムービーを見れば一発でわかります。

Flight Simulator 4 from 1989 running on three 42" immersive monitors (578) - YouTube


よりモニターに近い位置から撮影されたムービーもあります。3つのモニターを使ってコックピット内から見える広い視野を再現しており、モニターのつなぎ目部分も違和感なくシームレスに表示されていることがわかります。

Flight Simulator 4 from 1989 running on three 42" immersive monitors (804) - YouTube


Piekarskiさんは発売当時、知人からMicrosoft Flight Simulatorバージョン4(FS4)を紹介されたそうです。3D空間をまるで航空機に乗っているかのように飛び回ることができるシミュレーターに感動したというPiekarskiさんは、そこから3Dグラフィックスに興味を抱くようになったそうです。しかし、当時のPiekarskiさんは14インチのブラウン管モニターしか持っておらず、これでは正面の小さな視野しか確保できなくなってしまうため、シミュレーターで航空機を飛ばすことは「とても困難だった」と語っています。モニターが小さく航空機の左右が見えないため、重要なサインを見逃すことも多かったそうです。


当時からモニターが小さすぎるということに気づいていたPiekarskiさんは、商業用のフライトシミュレーターについて調べたそうですが、それらは高すぎてとても個人で購入することができるものではなかったそうです。それから数十年経過した2017年、Piekarskiさんは3台の42インチモニターを用いて没入型屋内フライトシミュレーターを作成します。

Piekarskiさんが作成した没入型屋内フライトシミュレーターの写真などは以下のページで見ることができます。

Wayne Piekarski | Immersive Home Flight Simulator Using X-Plane 11


この没入型屋内フライトシミュレーターでFS4をプレイするため、PiekarskiさんはエミュレーターのDOSBoxを使用。FS4の解像度は640×350ですが、フルHD(1920×1080)モニターに表示すると「低解像度でも驚くほど素晴らしい」とのことで、これほど素晴らしいシミュレーターであったことは「14インチのブラウン管モニターでは気づかなかった」とまでPiekarskiさんは記しています。

また、エミュレーターのDOSBoxは古いアナログPCのジョイスティックのエミュレーションをサポートしているため、操縦桿とスロットル・レバーを使ってFS4をプレイすることも可能になったそうです。この時点で「グラフィックはそれほどでもないものの、スムーズなフレームレートで動作かなりクールだった」とPiekarskiさんは述べています。

しかし、1989年に発売されたFS4は1つのモニターしかサポートしていないため、Piekarskiさんが作った没入型屋内フライトシミュレーターの3つのモニターのうち1つしか使っていない状態でした。FS4はRS-232ケーブルでのマルチプレイヤーモードをサポートしていたものの、1989年のDOSマシンはネットワーク機能などもサポートしていなかったため、複数のモニターにシミュレーターの映像を表示することは「絶望的に思えた」とのこと。


FS4はOSをあまり使用せず、データはすべて保護されていない状態でメモリに直接書き込まれていたそうです。そのため、メモリダンプからFS4内の航空機に関するXYZ軸情報や機首方位のピッチング値などを特定することもできるのではと想定。そこで、航空機の状態が保存されているメモリ位置を特定することで、エミュレーターでそれらの情報を傍受し、UDPパケットをネットワーク経由で他のインスタンスに送信して、同じメモリ位置に情報を書き込むことができるようになったとPiekarskiさん。

また、FS4にはキーボードショートカットがあり、それを使って視点を正面から左右に切り替えることもできます。視野の変更はキーボードのショートカットを押した場合のみで、特定の角度に変更することはできません。これとメモリダンプして入手した航空機の状態に関するデータを組み合わせる形で3つのモニターに表示する「航空機からの視野」を調整。ただし、モニター間境目部分に大きなギャップができてしまったため、左右の映像を細かく調整する必要があった模様。Piekarskiさんは3つのモニターに出力される映像の配置をwmctrlxdotoolを使って自動化し、必要なキーストロークを送ることができるスクリプトを書いたそうで、これにより自作のフライトシミュレーターでFS4をプレイできるようになったとのこと。

Flight Simulator 4 from 1989 running on three 42" immersive monitors (572) - YouTube


なお、Piekarskiさんは没入型マルチディスプレイでFS4をプレイできるようにするために自作のパッチを当てたDOSBoxを作成し、ソースコードをGitHub上で公開しています。

GitHub - waynepiekarski/fs4-dosbox: DOSBox Modified For Immersive Multi-Display Microsoft Flight Simulator 4


また、FS4のデータについては以下のページからダウンロード可能です。

Microsoft Flight Simulator 4: FS4 Webport (Introduction)


・おまけ
Piekarskiさんのように自ら没入型マルチディスプレイ&スクリプトまで作成してしまうというのは珍しい例かもしれませんが、2019年1月17日に発売された「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」のプレイヤーにはリアルさを追求してJHMCSを購入して臨場感をプラスしている人もいます。

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in ソフトウェア,   乗り物,   動画, Posted by logu_ii

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