レビュー

自分も知らなかった「心の中にあるもの」を浮き彫りにする恐るべき「IATテスト」

By Nic Taylor

社会の「常識」や「道徳」にとらわれすぎることで、人は自分が本当に心の中で思っていることを表には出せないことがあります。また、無意識のうちに心で思ったことに補正をかけてしまっているために、本人が「本当に心で思っていること」が理解できていないこともあります。「Implicit Association Test(潜在連合テスト:IAT)」と呼ばれるテストは、そんな意識と非意識の乖離という問題を乗り越えて、本当に思っていることをより正確に把握するヒントを与えてくれます。

IATテスト ホームページ
https://implicit.harvard.edu/implicit/japan/

IATは、自分が思っている「心の中」と、実際の「心の中」の乖離を理解するのに役立つテスト。このサイトでは、デモテストを実施することがで心の状態を簡易的に知ることができます。


テストを始める前に、「回答の内容によっては自分が納得できないような結果が得られることもある」ということを確認するページが表示されます。


サイトでは、「肌の色」「セクシャリティ」「ジェンダー」「年齢」「国家」「人種」「体重」の項目についてのIATを実施することが可能。


まずは試しに「国家」の項目でテストを受けてみました。このテストでは、受験者は画面に表示される単語や画像を「良い」「悪い」のどちらか、「米国」「日本」のどちらか、そしてその4つのどちらかに分類することを求められます。この分類を素早く実施することで、その際に生じる微妙な時間の「ゆらぎ」を測定して、表には出ない心の中の動きを浮き彫りにしようというのがIATの特徴です。


まずは小手調べ、ということで画面に表示される単語などを「日本」と「米国」に分類する問題が出されます。受験者は、画面中央に表示される単語や画像が、画面上部の左右にあるカテゴリーのどちらに該当するのかを一瞬で見極め、キーボードの「E」と「I」を押して回答します。


次は、画面の単語や画像が「良い」のか「悪い」のかを分類。


そして問題が進むと、画面上部のカテゴリーが「日本または良い」「米国または悪い」というふうに複合になります。この状態で受験者は画面に表示されるキーワードや写真がどちらに該当するかを分類するのですが、その際には「日本、良い」「アメリカ、悪い」というふうに、2つのカテゴリーがいつの間にかワンセットになって脳が混乱を来します。その状態で分類をさせることで、無意識の中にある自分の考えを浮き彫りにしようという、恐ろしいテストだというわけです。


実際にテストを実施してみた結果、「日本」と「米国」の2つにおける「自動的な選好」、つまり無意識的に好意や嫌悪感のようなものを抱くことは「ほとんど無い、あるいは、無い」という結果だったことがわかりました。日本人がこのテストを受ける場合、日本を「良い」、米国を「悪い」と結び付ける傾向が強めに現れるそうです。


次は「人種」でテストを実施してみました。先ほどの「国家」と同じように、画面に表示される単語や画像を「黒人の人たち」「白人の人たち」「良い」「悪い」のカテゴリーに分類する作業を進めると……


「黒人の人たちよりも、白人の人たちに対するわずかな自動的な選好」があることが判明。日頃から「人種は関係ない」と思っている編集部員にとっては、少々ショッキングな結果が浮き彫りになってしまいました。


しかし、この傾向は世界的なものであるという結果も明らかになっています。試験後の解説ページの中には、約73万回分のテストの結果を分析したグラフが表示されており、「黒人と悪い」「白人と良い」を選ぶ傾向が強めに現れているという、なんとも考えさせられる状況があることがわかります。


もう一つ、「セクシャリティ」のテストを行ってみたところ、自分では「異性愛者だ」と思っていたにもかかわらず「異性愛者よりも同性愛者に対する中程度の自動的な選好」があるという結果に。サイトに記載されているように、この結果は必ずしも決定的なものではなく、あくまでデモンストレーションとしての結果ではあるのですが、自分でも思いがけぬ結果に思わず「ハッ!」とさせられることになりました。


思わず色々と考えさせられるIAT、一度トライしてみるといろんなことを気付かせてくれるかもしれません。

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in レビュー,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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