人間には無意識レベルでウソを見抜く力が宿っているという結果が明らかに

By Brian murphy
相手がウソをついているかどうかを見抜く時、私たちは相手の視線や声のトーン、体のしぐさなどに注意して見抜いているつもりですが、実際にはもっと深い無意識のレベルで相手のウソを見抜いていることを示す研究結果が発表されました。
Some Evidence for Unconscious Lie Detection
http://pss.sagepub.com/content/early/2014/03/19/0956797614524421.abstract
The Search for Our Inner Lie Detectors - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2014/04/27/business/the-search-for-our-inner-lie-detectors.html
◆ウソを見抜く能力の実験
この研究を実施したのは、カリフォルニア大学バークレー校・ハースビジネススクールの司法精神医学者であるリアン・テン=ブリンク博士です。博士はまず、以前からの手法を用いた実験を行いました。
・実験1
実験には72名の男女が被験者として参加し、最初に90秒のムービーを見せられます。ムービーの内容は「誰かが封筒から100ドル札を抜き取って盗んだ事件について、12名の容疑者が身の潔白を訴えている」というもので、6名は実際にお金を抜き取った者がウソをついており、残りの6名は本当に無実である、という内容となっています。
被験者は、このムービーを見た後に誰がウソをついているか、または本当のことを言っているのかを回答。すると、ウソをついていることを見抜いた確率は約43%、そして本当に無実であることがわかった確率は約48%と、理論上の確立である50%を下回るものとなったことがわかりました。
・実験2
第2の実験は、無意識の力が判断に影響を与えるのか検証するためのもの。検証には潜在連合テスト(IATテスト)の手法が用いられ、被験者が無意識レベルで感じていることを明らかにすることを目的とした実験が行われました。
この実験では、被験者はスクリーンに17ミリ秒という極めて短い時間だけ表示される容疑者の写真を一人ずつ見せられ、それぞれの容疑者に対して直感的に感じる単語を選びます。選択する単語は「untruthful(不誠実)」や「dishonest(不正直)」、「deceitful(うそつき)」などを含む「deception-related(ごまかしに関連した)」単語のグループと、「honest(正直)」や「valid(正当)」などの単語を含む「truth-related(真実に関連した)」単語のグループに分けられ、被験者が潜在的に感じた印象を目に見える形にするものとなっています。

17ミリ秒だけ表示される顔写真は目には見えない画像のため、いわゆる被験者の深層意識に働きかけるサブリミナル効果の影響を検証するテストになっています。この試験の結果では、実験1よりもウソをついていること、無実であることを見抜いた確率は明らかに向上したことが明らかになり、人間には意識による認知以外の無意識のレベルでもウソをついている人を感じ取る能力が備わっていることを示す事例となりました。
だたし、この実験結果からは科学的に明らかに重要な傾向が見てとれるものの、まだ明確な結論を提示するという段階ではないとのこと。無意識の力にはウソを見抜く力も備わっていることを示す結果が示されているわけですが、なぜこの無意識の力は意識のレベルの下に埋もれてしまうことになったのでしょうか?テン=ブリンク博士はその理由を「生存していくために、われわれはお互いにウソを使うこと、そして社会の中で生きていくというのは、ささいなウソを受け流していくということを学んできたから」だと推測しています。
◆「ウソ発見器」への応用
それならば、はたしてこの無意識のパワーを開発してウソ発見の精度を上げることに活用することはできるのでしょうか?これは、今までの「ウソ発見器」の研究開発の長い歴史と密接に関連するものであり、まだ賛否両論が多く残る分野となっています。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校の客員教授であり、虚偽検出科学のエキスパートであるベラ・デパウロ博士によると、「ウソをつく人が見せる手がかりは、とてもおぼろげなものです」と、その難しさを語ります。自身の研究結果を含めて、無意識の力を活用できることを示す兆候は見受けられるものの、一方ではこの仕組みが本当に効果的なシステムになることについては懐疑的な立場を取っています。

By James Carroll
テン=ブリンク博士はウソ検知の精度を高めるための研究を進めているのですが、博士が着目しているのはウソをついている側ではなく、ウソを見抜く側に見られる変化というのが興味深いポイント。ウソを見抜く側の被験者には、血流の変化や発汗量を測定するセンサーが取り付けられており、体が本能的にウソを見抜く反応についての研究が行われています。
将来の「ウソ発見器」は、ウソをついている側についているのではなく、それを見る側の人に取り付けられるようになるのかもしれません。
・関連記事
「クスリで真実を自白させる」ことは本当に可能なのかを検証したムービー - GIGAZINE
あなたも聞いたことがあるかもしれない、女性がウソをつく時の10のフレーズ - GIGAZINE
履歴書に絶対書いてはいけない10個のウソ - GIGAZINE
無意識のうちに罪を犯していないかチェックできる「プチ犯罪チェッカー」 - GIGAZINE
リムジンでやってきた女の「宝くじが当たったからみんなにおごってあげる」宣言でショッピングモールが大混乱 - GIGAZINE
軍歴詐称を調査する元兵士達の実態 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in メモ, サイエンス, Posted by darkhorse_log
You can read the machine translated English article Obviously the result that human beings l….