Amazonが「反労働組合」的なトレーニング動画をWhole Foodsのチームリーダーに送っていたと報じられる
Amazonが2017年に買収した高級スーパーマーケット「Whole Foods Market」の労働者の一部がAmazonのやり方に反発し組合を作ろうとしていることが2018年9月6日(木)に報じられました。その3週間後、AmazonがWhole Foodsのチームリーダーたちに送った「反労働組合」についての45分トレーニングムービーがリークされました。
Amazon's Aggressive Anti-Union Tactics Revealed in Leaked 45-Minute Video
https://gizmodo.com/amazons-aggressive-anti-union-tactics-revealed-in-leake-1829305201
Amazon Sends 'Anti-Union' Video to Whole Foods Team Leaders: Report | Fortune
http://fortune.com/2018/09/26/amazon-anti-union-video-whole-foods/
Amazonは2017年に1兆5000億円で高級スーパーマーケットの「Whole Foods Market」を買収しました。買収後、ジェフ・ベソスCEOの宣言通りにWhole Foods の人気商品が値引きされ始め、新生Whole Foodsの客足は買収前に比べて25%増加。AmazonはWhole Foodsの実店舗を商品を保管しておく「流通ノード」として利用でき、新業態によってビジネスチャンスを広げられることから、過去最高の買収額でしたが、金額に見合う投資だったとみられています。
しかし、2018年9月6日(木)、Whole Foods Marketの一部の労働者たちが新生Whole Foodsの方向性に懸念がある、として組合を作ろうとしていることが報じられました。労働者グループがWhole Foodsの社員に宛てた書簡は、「過去1年にわたって、Whole Foods Marketで解雇や店舗のポジションの整理が行われたことはチームメンバーの生活を脅かし、彼らを不安にさせました」という言葉から始まり、新生Whole Foodsの行動が労働者の士気を落としたとことが述べられました。そして、全社員を対象とする15ドル(約1700円)の最低賃金や企業年金制度、有給、育休、健康保険控除額の減額の要求などについても述べられています。
Whole Foods Workers Push to Unionize - WSJ
https://www.wsj.com/articles/whole-foods-workers-push-to-unionize-1536235201
そして、上記の報道に続き、AmazonがWhole Foodsのチームリーダー宛にあるムービーを送ったことをGizmodoが報じました。
Gizmodoが入手したムービーは6つのセクションに別れており、ムービーの中で語り手はムービーが「労働者をうまく組織するために必要なツールを与えること」を目的していると語っています。そして、フルフィルメントセンターで働くアニメキャラクターは「私たちは反労働組合ではありませんが、ニュートラルでもありません」と語ったとのこと。この「ニュートラルではない」ということの意味を、Amazonは「組合は、顧客や株主、そして関係者の最大の関心事ではない」「Amazonのビジネスモデルは『速さ』『革命』『顧客第一』の上に築かれており、それらは通常、組合とは関係のないもの」「最も重要な点への見方を損なえば、自分や同僚、全ての人の職の安全が脅かされる」という言葉で説明しています。
これがムービーのスクリーンショット。Gizmodoは、ソースの匿名性を保つためにムービー自体については非公開としています。
また、ムービーでは、チームリーダーに対し、職場において人が離れていったり、組合が作られようとしている時の「警告サイン」についても言及されているとのこと。この中で、チームリーダーは架空の従業員の発言が「警告サイン」であるか「無邪気なやりとり」であるかを選ぶよう求められ、それによると「シフトの作業後に休憩室をぶらつき勤務表を求める」「賃金が足りないと不満を言う」という行為は「警告サイン」に分類されるそうです。
また、「同僚が組合に参加したとしてもあなたの職場が脅かされることはありません」としつつも、「しかし、組合を持たれることがどのように革命や『顧客第一』の理念を傷つけ、最終的に職場の存続を脅かすのかについて、話す必要があります」とAmazonは説明しています。
なお、Gizmodoの取材に対し、Amazonは以下のようにコメントしています。
「従業員がよりよく働くことができ、何百というマネージャーが同僚とオープンで直接的な会話を持てるようにし、気遣いがあり開放的な環境でお客様の代わりに革命を起こせる流通ルートを作ろうとする会社の望みを、Gizmodoが問題視していることに我々は当惑しています。記者は明らかに、自分の都合のいい部分だけをムービーから抜き出しており、これは私たちの『従業員はキャリアの機会をどのように作るか』という考えに沿うものではありません。アメリカにおいて、フルフィルセンターでフルタイムで働いた時の賃金は現金・株式・インセンティブボーナスを含め、時間外労働抜きで時給15ドルを超えています。それに加え、キャリアチョイスプログラムを通じ、健康保険・眼科保険・歯科保険、退職、育児休暇、技術トレーニングといった福利厚生を得ることができ、プログラムには1万6000人が参加しています。私たちは、誰かが私たちのフルフィルメントセンターの1つに見に来ることをお勧めします」
・関連記事
Amazon労働者が巨大セール「プライムデー」に合わせてストライキを決行 - GIGAZINE
Amazonの本社で飛び降り自殺が起きたことについて従業員200人が匿名アプリで本音を暴露 - GIGAZINE
Amazonの労働者を檻に入れるかのような特許が話題に - GIGAZINE
Amazon倉庫の労働者はトイレ休憩すらまともに取れないと実際に倉庫で働いた記者が指摘 - GIGAZINE
Amazonドライバーは激務のため「ペットボトルの中におしっこ」を強いられている - GIGAZINE
Amazonの出荷倉庫で働く労働者が野外テントで寝泊まりしているケースが判明 - GIGAZINE
Amazonで面接を受けるとこんなことが起こる、という体験レポート - GIGAZINE
Amazonが無限に企業を拡大していくことに成功した「ピザ2枚ルール」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ