座りっぱなしの生活が健康だけではなく人格にも大きな影響を与えるという研究結果
社会人になってからどうしても運動する機会が減ってしまい、その上休日でも座っている時間のほうが長いという人は多いはず。座りがちの生活は、長期的に見ると肉体だけではなく精神的にも悪い影響を及ぼし、活発性低下の悪循環をもたらすという研究結果が報告されています。
Being a Couch Potato May Change Your Personality - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/being-a-couch-potato-may-change-your-personality1/
Physical Activity and Personality Development over Twenty Years: Evidence from Three Longitudinal Samples
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5892442/
人間の性格を特徴付ける特性を、「神経症的傾向」「外向性」「開放性」「誠実性」「調和性」の5つに大きく分類する「ビッグファイブ理論」という考え方があります。この理論では、「神経症的傾向」は不安・敵意・抑うつ・傷つきやすさなど、「外向性」は温かさ・活動性・群居性など、「開放性」は空想・アイデア・感情など、「調和性」は信頼・優しさ・慎み深さなど、「誠実性」は良心性・秩序・慎重さなどにつながるといわれています。
これまでの研究では、外向性・開放性・誠実性・調和性がより高い人は普段から活発的で運動習慣を持つ人が多い傾向があるとされてきました。つまり、普段から活発に体を動かすかどうかという「身体の活発性」は、性格から大きく影響を受けるということがわかっていました。
モンペリエ大学のヤニック・ステファン氏率いる研究チームは、1990年代から20年かけてアメリカ全土で行われた、運動習慣と健康に関する膨大なアンケート調査結果に注目し分析を開始。その結果、長いスパンで見ると身体活動と人格の変化には関連があるということがわかりました。特に、20歳以上の人格形成に「運動不足」が大きく関連しているということが明らかになったとのこと。また、身体の活発性が低いほど、社会的相互作用や社会的・宗教的志向の傾向が低下する可能性も示唆されています。
さらに、あまり運動しなくなることによって「外向性」「調和性」は急激に低下し、長期的な機能低下や抑うつ症状が見られることもあったそう。ステファン氏によると、こうした変化は長期間にわたって蓄積されるため、長い目で見ると運動習慣の変化が人格の変化にも大きな影響を与えるとのこと。例えば、生活の中で座りっぱなしの時間が多い人は、「外向性」「調和性」「開放性」が低下しやすいため、長期的に見ると身体の活発性の低下が加速する悪循環が生まれる可能性があります。
私たちの活発性に大きな影響を与える人格の特性は介入によって変化しやすいとみられているため、性格の変化によって生活の活発性が高くなり、それに伴って性格もまた変化していく可能性があります。例えば、日常生活で座りっぱなしだという人が「座る時間を意識的に減らす」という行動を長期間続けた場合、その効果が蓄積され、より運動を促すような人格に変化していく可能性がある、とステファン氏は論じています。
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