サイエンス

「散歩をすると健康で、賢く、そして幸せになる」と脳科学者が提唱する理由とは?

By monkeybusiness

「適度な運動は健康に良い」とことはもはや常識といえますが、運動が脳に与える影響はまだまだ研究段階です。そんな中、「運動は脳に良い影響を与える。その中でも最も一番良いのは『散歩』」だとダブリン大学トリニティ・カレッジで脳科学を研究するシェーン・オマラ教授が主張しています。

‘It’s a superpower’: how walking makes us healthier, happier and brainier | Life and style | The Guardian
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2019/jul/28/its-a-superpower-how-walking-makes-us-healthier-happier-and-brainier

オマラ教授の「運動は脳に良い影響を与える」発言の論拠になっているのが2018年に発表された「運動と人格形成に関する20年間に渡る調査(Physical activity and personality development over twenty years)」という論文です。この論文は、8000人以上の被験者を「日常的にどの程度運動しているのか」で分類して「性格がどう変化したか」を追跡調査したもので、研究チームは「運動しないと外向性や調和性が急激に下がる」と結論づけています。この論文は以下の記事で詳しく説明しています。

座りっぱなしの生活が健康だけではなく人格にも大きな影響を与えるという研究結果 - GIGAZINE


そのほかにも、運動は脳に良い影響を与えるという研究結果が複数報告されています。

運動は脳の記憶領域を活性化させ、運動を継続すると記憶に良い影響を与えるという可能性がある - GIGAZINE


運動はアルツハイマー病患者の脳を改善する可能性がある - GIGAZINE


オマラ教授は、脳の神経細胞を成長させる脳由来神経栄養因子(BDNF)や脳細胞に酸素や栄養素を運ぶ血管内皮増殖因子(VEGF)は有酸素運動によって生成されるため、運動は健康に良いと解説しています。

以上の理由から運動は脳に良い影響を与えることがわかりますが、オマラ教授は運動の中でも脳に与える影響に関して「散歩が最適」だと主張しています。オマラ教授が散歩を推奨する理由の1つは「日常に取り入れるのが簡単」ということ。散歩には高価なトレーニングウェアは不要で、ジムに通う必要もありません。また、脳に重要なのは「継続的な運動」とのこと。人はジムで激しく運動した後は活動性が下がってしまう傾向があるため、オマラ教授は日常的に継続できる散歩が優れてると考えているわけです。

By photobac

また、オマラ教授によると「散歩中は脳が活性化している」とのこと。人間は迷わないように風景で道を覚えて脳内地図を作成したり、他人・車との衝突を避けるために周囲を警戒したりと複数の処理を脳内で同時に行うため、脳が活性化して認知機能に良い影響が与えられるとのこと。オマラ教授はどの程度の運動強度で散歩するべきかについて、時速5km以上を保って最低でも30分は歩くことを推奨しています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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