×
サイエンス

「運動した」と思えることが健康にとって重要


運動不足を自覚して健康のために運動しなければと思いつつも、思うように運動に時間を割けずにいると思い悩むことがあるかもしれません。しかし、健康のためには運動したことと同じくらい「運動したと思えること」が重要だという研究報告があります。

BBC - Future - How your mindset determines your health
http://www.bbc.com/future/story/20180410-how-your-mindset-determines-your-health

スタンフォード大学で組織心理学について研究するオクタビア・ザート氏は、かつてカリフォルニア大学の大学院に入学したとき、熱心にジムに通う同僚に囲まれていました。ロンドンに住んでいたころはサイクリングをよくしており自分は健康だと考えていたザート氏でしたが、アメリカでの新生活で同僚たちに囲まれると急に自分が健康ではないように感じたそうです。このような経験を持つザート氏は、「他人よりも運動していない」と感じることが健康にどのような影響を与えるのかを研究することになりました。


ザート氏は過去21年分の資料を使って合計6万1000人について、各人がどれくらい運動していたか、そして同じ年齢の他人と比べて運動量についてどのように考えていたのかを、健康な状態から死ぬまでの期間にわたって調べました。被験者の健康に寄与した可能性のあるさまざまな要因を分析したところ、同じ程度の運動を行っていた人同士でも、「他人に比べると自分は運動不足だ」と感じていた人は、他人よりも運動していると考えていた人よりも若く死ぬ傾向があることを発見しました。つまり、「運動している」と感じるかどうかが健康に大きな影響を与えていることがわかったというわけです。

また、2007年に行われた研究では、事実の認識を変えることによって、健康に良い影響を与えられることもわかっています。スタンフォード大学のアリア・クラム博士は、ホテルで掃除やベッドメイキングをする従業員に対して、ホテルでの仕事は適度な負荷のあるエクササイズに相当することを説明し、普段行っている労働が健康維持のための運動にあたることを理解させました。4週間後、従業員の健康を調査したところ、ほとんどの人の体重が減り、血圧が下がるという効果が確認されたとのこと。つまり、普段自分が意識せずに行っている運動量を正しく認識したことが、実際に健康へ良い影響を与えたことがわかったというわけです。

これらの研究からは、健康増進のためには「運動しているという事実」だけでなく「運動しているという認識」が効果的だということがわかります。なぜ、運動の認識が健康に重要なのかについては、いくつかの理由が考えられます。

1つは、「ストレス」による影響。健康のために運動をするのが良いことだと理解している人は、運動していないと考えることでストレスを感じることがあります。このストレスが、健康へ悪影響を与えているのではないか?ということが原因として考えられます。


2つ目の理由は、精神的理由による負の連鎖が挙げられます。2015年の研究では、「他人に比べると運動していない」と考える人は、それから1年後に運動している可能性がますます低くなる、ということが判明しています。つまり、運動していないと考えることは運動をますます遠ざける結果をもたらしやすいというわけです。

3つ目の理由は、プラセボ(偽薬)効果。「病は気から」ということわざ通りに、健康だと思えば健康になり、逆に健康ではないと思えば実際に健康ではなくなるというプラセボ効果が働いている可能性が指摘されています。


以上の研究からは、運動によって効果的に健康増進を図りたい人は、「自分は運動をしている」と認識することが重要だと言えそうです。また、他人と比べることで自分は運動不足ではないかと負い目に感じることは避けるべき。BBCは、ウルトラマラソンに参加するような同僚との運動に関する会話をうまく避けつつ、自分が普段している運動を感謝するように心がけることが健康には大切かもしれないとまとめています。

・関連記事
「今年こそはやせる」と誓った人が30分のトレーニングで効果的に脂肪を燃やす方法を科学的に説明 - GIGAZINE

ジム通いは不要、肩ひじ張らずにゆるゆる運動するための6つの方法 - GIGAZINE

あなたが運動を続けられないのは友だちのせいかもしれない - GIGAZINE

たった1分の激しい運動をエクササイズに組み込むことで運動時間を5分の1に短縮できることが判明 - GIGAZINE

「週末だけの運動」も「毎日の運動」も体に与える影響はほぼ同じだということが判明 - GIGAZINE

運動は老化を遅らせることができるのか? - GIGAZINE

運動は13種類ものがん発症リスクを減少させる - GIGAZINE

・関連コンテンツ

in サイエンス, Posted by logv_to