3Dプリンターを使って安価に自動航行可能な船をMITが開発、大量生産も可能に

3Dプリンターで製作でき、無人での自律航行が可能な船をマサチューセッツ工科大学(MIT)のMITコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)で所長を務めるダニエラ・ルス氏らの研究チームが開発しました。開発した船が実用化されることで、アムステルダムや、バンコク、ヴェネツィアのように水路の発達した都市での渋滞緩和が見込めます。
Fleet of autonomous boats could service some cities, reducing road traffic | MIT News
http://news.mit.edu/2018/fleet-autonomous-boats-service-cities-reducing-road-traffic-0523
MIT Develops Fleet of 3-D Printed Autonomous Boats
http://compositesmanufacturingmagazine.com/2018/05/mit-develops-fleet-of-3d-printed-autonomous-boats/
2018年現在において、水路は道路の交通量を減らすため、主に物資を運搬する役割を担っています。しかし、水路であっても交通量が増加すれば渋滞が発生するため、物資の運搬がスムーズに行えなくなるという問題を抱えています。
そこで研究チームは、物資の運搬を夜間に無人ボートが行うことができれば、道路や水路の渋滞をさらに緩和できると考えて、自律航行可能なボートの開発に着手しました。
研究チームによって開発されたボートは、4m×2mの長方形の船体となっており、船体を作るために必要なパーツは全て市販の3Dプリンターで作成されています。なお、3Dプリンターによるパーツの作成には約60時間、部品の接合部分にはガラス繊維が使用されているとのことです。
ボートには、電源、Wi-Fiアンテナ、リアルタイムキネマティックGPSモジュール、慣性計測装置(IMU)、ミニコンピューター、マイクロコントローラーが搭載されており、1cm単位で位置を認識することが可能です。また、ボートの動力となる4つのスラスター(赤枠)が船体の各辺の中央に配置されており、細かい制御が可能になると研究チームは説明しています。

また、ボートを自律航行させるためには、使用用途に合わせたプログラミングが必要になりますが、数時間程度の作業を行うことで、実運用に耐えられるレベルの航行が可能になるとしています。
実際にボートが走行している様子は、以下のムービーで確認することができます。
Printable autonomous boats - YouTube

ムービー内のボートは、点線の位置を進むようにプログラミングされています。実際に航行を開始すると……

指定されたコースに沿って、方向転換しながら進んでいきます。


流れのないプールだけでなく、流れのある場所でも指定したコースに合わせて航行可能です。


今回開発されたボートはあくまでも自律航行が可能であることを示したものとなっており、実際に物資や人を運搬することはできません。そこで、研究チームは今後のステップとして「人や物資などをのせたときの質量変化に対応できるコントローラーの開発に着手していきます」と述べています。
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