サイエンス

イカの皮膚に触発された「液体窓」開発、太陽光の量や波長を制御して住宅の消費エネルギーを半減&真夏の熱波遮断も可能に


「太陽光の明るさを室内に取り込みつつ、熱は遮断する」という機能を備えた「液体窓」がトロント大学の研究チームによって開発されました。液体窓の開発には「イカの体色を変化させる能力」を参考にしたとのことです。

Multilayered optofluidics for sustainable buildings | PNAS
https://doi.org/10.1073/pnas.2210351120


‘Liquid windows’ inspired by squid skin could help buildings save energy
https://www.utoronto.ca/news/liquid-windows-inspired-squid-skin-could-help-buildings-save-energy

テレビの映像や水族館などで「体の色をコロコロ変化させるイカ」の姿を見たことがある人は多いはず。イカの皮膚には色素細胞と呼ばれる色付きの細胞が存在しており、色素細胞の拡張・縮小によって体の色を変化させています。研究チームはイカの「細胞の大きさを変化させることで光の反射をコントロールする」という能力に着目し、「構造を変化させることで光を制御する窓」の開発に取り組みました。


研究チームが開発した窓が以下。窓は液体を送り込めるシートで構成されており、ポンプで内部に液体を送ることで「窓を通過する光の波長」をコントロールでき、「暑い日には太陽光の明るさだけを取り込み、熱を発生させる波長は遮断する」といった動作を実現できます。


研究チームによると、液体窓で室内に届く太陽光の波長をコントロールすることで、照明や暖房、冷房などに必要なコストを最大50%削減できるとのこと。今後、研究チームは「建物全体をカバーできるサイズへ拡張」「無害かつ低コストな材料を用いる」「AIを用いて液体流入量を最適化する」といった作業に取り組む予定です。

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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