ヨットの形をした「海のドローン」が海上を航行する理由とは?
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無人航空機の「ドローン」は配送や地形調査などで活用されていますが、海上には太陽電池やGPSなどの多くの機器を搭載したヨット型の「海のドローン」が航行中です。ブルームバーグがYouTubeで公開しているムービーでは、海のドローンが何を目的に海上を航行しているのか、その理由に迫っています。
The Robots Roaming the High Seas - YouTube
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サンフランシスコ湾の海上を、誰も乗っていない1隻のヨットが航行中。このヨットは海のデータ収集しており、多くの人々にとって、まもなく大きな利益をもたらすことになると予想されています。
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このヨットを管理しているのは、リチャード・ジェンキンスさん。
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ジェンキンスさんは挑戦が好きな人で、このヨットに関わる前はランドヨットの世界最速記録に挑んでいました。
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ジェンキンスさんは当時を振り返り、「記録を打ち立てる前は、時速116マイル(187km)が世界記録でした。当時の私は、この記録の更新を最低限の目標として設定していました」と話しています。
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ジェンキンスさんは1年ほどで記録を更新できると考えていたそうですが、実際に記録を更新するまでに10年の年月を必要としました。
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そして、ジェンキンスさんは、2009年に世界最速となる時速203kmで走行することに成功します。それ以降、この記録は記事作成時点でも破られていません。
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次の挑戦は、無人のヨットを使って世界を一周することでした。
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ジェンキンスさんは「無人のヨットが世界一周したことは一度もありません。これに成功すれば、最初に実現した記録として残ることになります」と語っています。
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そして、ジェンキンスさんは、世界一周することも可能なロボット式のヨットを作り上げ……
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2013年には、世界初の自律航行可能な無人船舶を海に送り出し、サンフランシスコからハワイまで航行させることに成功します。
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この実績が評価されたジェンキンスさんは、投資家から9000万ドル(約100億円)の出資を受け、カリフォルニア州のアラメダに無人ヨットを作る企業「Saildrone」を設立。
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Saildroneは、もともと航空機のハンガーとして作られた建物を使っており、この建物内には、GPSや太陽電池などの多くの機器が搭載された20隻の無人ヨットがあります。
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このヨットは数カ月間航行することができ……
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センサーやカメラなどで得られた情報を、衛星を介してリアルタイムに閲覧することが可能です。
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2018年現在、Saildroneは新しい活動を始めています。
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それは、太平洋にある「White Shark Cafe」と呼ばれる地域を調査することです。
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White Shark Cafeには、ホホジロザメが集まって数カ月間過ごすことがわかっていますが、その理由はよくわかっていません。科学者たちはその理由を知りたいと考え、Saildroneに協力を依頼しました。
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「私たちは、誰も知らないホホジロザメの生態を調べるために、スタンフォード大学に協力して、無人ヨットをWhite Shark Cafeに向かわせます」
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このようなミッションには、無人ヨットは理想的と考えられています。無人ヨットは研究用に使用される大きな研究船よりもコストも安く、さらに水素イオン指数(pH)、クロロフィル、湿度、放射線量、風速、温度などの測定機器を搭載しており、海面付近で測定できる数多くの情報を収集することができます。
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これらの情報は、多くの人に影響を与える「天候」を調査することにも役立ちます。
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「正確な気候データや気象データには、無限の価値があります」とジェンキンスさん。
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「私たちが、サメの調査以外に大きな関心を寄せているのは、これらの無人ヨットをハリケーンの中に送りこみ、情報を得ることです。これが実現できれば、ハリケーンの強さや上陸地点の予想がより正確になります」
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「得られた情報は、人々の安全を確保する目的に使用できますが、これ以外に天候による金融市場への影響を最小化することにもつながるので、大きな価値があります」
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しかし、普通のヨットの帆では、ハリケーンの風に耐えることができません。
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そこで、Saildroneの無人ヨットは、ジェンキンスさんが以前ランドヨットで使用していた「硬くて垂直な帆」を採用しています。
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さらに、ヨットの推進力を制御するために帆の後ろに小さなタブが取り付けられました。
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このタブは、強風などでヨットが制御不能になることを抑える効果を持っています。そして、通常のヨットが姿勢を制御できないような場面に遭遇したとしても、ロボットがヨットの状態を容易にコントロールできるようになるため、的確な航行が行えるようになります。
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この日は、ジェンキンスさんが2隻の無人ヨットをWhite Shark Cafeに向かわせる日です。
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サンフランシスコ湾には、あまり風がないため、ヨットが自律航行するために十分な風を得られるポイントに着くまで、船でけん引します。
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タブレット端末で風の状態を確認したジェンキンスさんは「今なら十分な風もあるし、航海を開始できますね」とブルームバーグの記者に語り……
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「じゃあね」とヨットに語りかけながら、けん引ロープをほどきます。
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すると、ヨットは自ら目的地に向かって航行を開始。ジェンキンスさんは「無人ヨットは既に完全自律モードで航行しています」とヨットの状態を教えてくれました。
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ブルームバーグの記者は「無人ヨットは、これまで20万海里(約37万km)を航行していますが、事故はなかったのですか?」と質問すると……
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「はい、4年間無人ヨットを稼働させて、傷一つありません」と回答するジェンキンスさん。
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すると、記者は「あなたの無人ヨットと衝突しそうになった船は、ヨットに呼びかけても何の反応もないので、船員はパニックになると思います。実際大丈夫なんですか?」と無人ヨットが、近隣の船とコミュニケーションを取れないことで事故を生む可能性はないのかと、少し意地悪な質問を投げかけます。
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これに対し「船が近くにいても、ヨットは安全に行動するようになっています」と無人ヨットの安全性に自信があるジェンキンスさん。
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「これらの無人ヨットが提供してくれるデータは、私たち人間が持っている海のデータをより確かなものにしてくれるでしょう。いずれ、地球の理解を変えることにつながるでしょう」とブルームバーグの記者は語り、ムービーを締めくくっています。
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