取材

大迫力の巨大仕掛け花火も登場、世界の花火・日本の花火が楽しめる「大曲の花火 春の章」を見てきました


夏に全国花火競技大会が行われる花火の街「大曲」では、2017年に行われた国際花火シンポジウム」を機に、「世界の花火と日本の花火」をテーマとした花火大会が春に行われています。今回は、アメリカの花火会社による演出や大曲初となる地上40mに固定された直径13mの巨大仕掛け花火が見られるということで、実際に見てきました。

大曲の花火ー春の章ー2018年「世界の花火 日本の花火」
http://www.oomagari-hanabi.com/spring2018/index.html

花火の打ち上げ会場は、秋田県大仙市大曲雄物川河畔です。


花火大会会場の開場前に開催された、花火鑑賞士向けのセミナーにも参加。花火研究家の小西亨一郎氏が全国花火競技大会の歴代の作品を振り返りながら独自の解説を加えるなど、花火の知識や楽しみ方をより深めるための講習が行われました。


セミナーの後、大会会場へ。クレーンでつり下げられた巨大な円形の構造物が奥の方に見えます。


近くまで寄って撮影。直径13mの仕掛けが、地上40mの高さにつり上げられています。


写真を拡大して見ると、花火を仕込んでいる筒がいたる所に設置されているのが分かります。この仕掛けだけで、1000発以上の花火が用意されているとのこと。


この会場には、カメラ撮影用の専用エリアがあります。専用エリアで場所取りをして待っていると、FMはなびの中継ブースで、打ち合わせが行われているのを発見したので行ってみることに。


左からNPO法人大曲花火倶楽部の富樫真司氏とFMはなびパーソナリティの藤田浩士氏です。花火大会中は小西亨一郎氏も解説に加わり、実況生中継が行われます。


ラジオの中継ブースは大会本部のそばだったので、以前、型物花火作りの名人にインタビューで話を聞いた株式会社北日本花火興業今野義和氏にも会うことができました。


まだまだ開始まで時間があるので、プログラムを確認します。


19時から始まり20時10分のフィナーレまで、地元大曲の花火会社による「打ち上げ花火・創造花火の競演」、大曲の花火会社と一般社団法人日本煙火芸術協会会員による「大玉割物競演の打ち上げ」、日本の花火として株式会社丸玉屋による「花火ファンタジア」、世界の花火としてPyro Spectaculars by Souzaによる「ハリウッド万歳」などのプログラムが組まれています。


花火大会開始30分前、カメラの用意を始めます。今回は直径13mの仕掛け花火だけをアップで撮るためのビデオカメラも用意しました。


大会開始直前、辺りが暗くなってきました。


19時となり、花火大会が始まります。ELE TOKYOの協賛によるオープニング花火の打ち上げです。


最前列の目の前で「ELE」という文字が浮かびあがる仕掛け花火もありました。


続いて、地元花火会社による競演。4号玉(直径約12cm)・5号玉(直径約15cm)の中型の玉をそれぞれ10発ずつ、計20発を使い各社テーマに沿った花火を打ち上げます。最初は、株式会社和火屋による「歓迎の花束」。


響屋大曲煙火株式会社による「レトロの花束」。日本伝統の花火「和火」を多く使った作品は、やや暗めで肉眼だと独特の味のある花火として見られるのですが、カメラではその味わいを伝えることが難しい花火です。


株式会社北日本花火興業による「幼稚園児のお絵かき帳」。型物花火のオンパレードでした。


株式会社小松煙火工業「Twin Stars -対なる光、双子星-」


続いて、テーマパークやイベントでのショー花火などエンターテインメント花火の第一人者、株式会社丸玉屋による今大会注目の大仕掛けを使ったプログラム「花火ファンタジア」です。3部構成となっており、前半からワイドな大スターマインが繰り広げられます。


第3部では、いよいよ大仕掛けが発動。実際の様子を確認することができます。

「日本の花火」から大仕掛け花火に注目【2018大曲の花火 春の章】 - YouTube


打ち上げ花火が打ち上がる中、まずは円に沿って花火が吹き出してきました。


直後に、紅色の花火が豪快に噴出。


同時に吹き出すだけでなく、右回り・左回りと吹き出すことで鼓動を感じさせるような演出も。


カラフルな中間色の花火もグルグルと渦を巻いているかのように吹き出してきます。


実際に会場全体を捉えて見てみるとこのような感じ。仕掛け花火だけで会場の4分の1、約100mの幅となっています。


外周だけでなく、中心に仕掛けてある筒からも花火が吹き出していました。


飛び出した後、時間差で光る花火を使った演出もあるなど、1つの大仕掛けから何パターンもの演出を楽しめます。


客席から驚きの歓声が絶えない素晴らしいエンターテインメント花火ショーでした。


続いては、大曲の花火会社と日本芸術協会会員による「大玉割物競演」第1部です。各社2発ずつ、芸術作品とも言える至高の花火が打ち上がります。写真は、各社2発目に打ち上げた自由玉を集めてみたものです。


さらに大曲の花火会社による「創造花火競演」へと続きます。1番目は、株式会社小松煙火工業による「夜空に輝く一等星」。


株式会社北日本花火興業「CRYSTAL -大地にそそぐ光の結晶」


響屋大曲煙火株式会社「ヒカリのネバーランド」


株式会社和火屋「アイスブルーの華」


再び、大曲の花火会社と日本芸術協会会員による「大玉割物競演」第2部が行われました。同じく各社2発目に打ち上がる自由玉を集めてみました。


大玉割物競演の最中、遥か遠くで花火が打ち上がるのが見え会場がざわめきます。後から聞いたところ、結婚式場の花火が打ち上がっていたとのこと。まさに花火の街大曲らしいハプニングでした。


そして、春の章のテーマである「世界の花火」。今回は、アメリカ・カルフォルニア州の花火会社Pyro Spectaculars by Souzaの演出による花火が上がります。作品名は「ハリウッド万歳」で、その名の通りhooray for Hollywood(ハリウッド万歳)をオープニングBGMに花火が打ち上がり始めました。


続いてツァラトゥストラはかく語りきなど、聞き覚えのあるハリウッド映画のサウンドトラックが次々と流れます。


最後は、同色の小玉を複数同時に上げ、次に別の色のものを同時に上げるということを繰り返す海外の業者の演出らしさを感じる締めとなりました。


いよいよフィナーレ、テーマは「東方見聞録『黄金の国ジパング』を目指して」です。株式会社丸玉屋の大型の仕掛けによるダイナミックな日本の花火、そして、世界の花火として誰もが知っているハリウッドの名作のBGMに合わせたぜいたくな花火を楽しんだ後ですので、地元大曲の花火業者合同によるフィナーレの花火にも期待が膨らみます。まずは、八方咲き・紫色の幻想的な千輪など、美と技を感じる花火から始まりました。


ゆっくりと落ちてくる緑と紫の葉落と大玉とのコラボレーション。


後半に入るとBGMの盛り上がりに合わせ、会場の幅をフルに使った超ワイドな演出も。


ラスト前には、錦冠の連打で黄金の国が目の前に現れたかのよう。


最後は、大量のフラッシュで会場全体が昼間のように明るく見えました。終了とともに会場からは拍手と歓声が沸き上がります。


「うち~どめ~」の口上の後、錦冠の一斉打ちで大曲の花火春の章は終了となりました。


ここからは、大曲の花火の名物花火師とのエール交換です。南こうせつ「満点の星」が会場に流れ、花火師は赤のトーチを、観客はペンライトやスマートフォンなどを振って、お互いのエールを交換します。


夏の全国花火競技大会は斜め打ちが禁止されているなど競技用のルールのもとで行われていますが、春の章では打ち方も自由ですので、ワイド感も増しています。めったに見ることができない海外の花火業者の花火や最先端の花火に加え、地元大曲の総力を結集した質の高い花火が見られるなど、大変お得な花火大会でした。

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in 取材, Posted by darkhorse_logmk

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