取材

劇場型花火と聴視覚障がい者も楽しめる花火など新しい試みも行われた「大曲の花火 秋の章2018」を見てきました


8月に全国花火競技大会が行われる秋田県大仙市では、8月以外にも毎月どこかで花火が打ち上げられています。中でも5月に行われる春の章と10月に行われる秋の章は、全国花火競技大会と同じ会場で行われる大規模な花火大会で、秋の章では花火業者が一丸となって1つの物語を演出する劇場型花火が見られます。2017年の秋の章に引き続き、2018年も見てきました。

大曲の花火 秋の章 2018
https://www.oomagari-hanabi.com/autumn2018/index.html

花火の打ち上げ会場は、秋田県大仙市大曲雄物川河畔です。


10月14日、大曲駅に到着。この日は、JR東日本秋田支社のイベントで「SLこまち号」が運行されていました。


大曲駅から歩いて25分程で会場に到着。夜になると冷え込むので、観客の服装も厚めです。


有料席では花火大会のプログラムが配られていました。


プログラムには、花火師からのメッセージやどうような玉が打ち上がるかなど説明が書かれているので、明るいうちに読んでおくことをお勧めします。


午後4時30分、花火大会の前に、会場内の特設ステージにて「HEAVENESE」のライブが行われました。


日が沈むとあっという間に会場が暗くなります。


午後6時、オープニング曲として「The Hustle」が流れ始めました。テーマがエバーグリーンということもあり、まずは緑色を基調とした構成でスタートです。


後半では、さまざまな色の花火が上がりつつも、変化星の最後は緑色にするなど、緑色を織り交ぜる工夫がされていました。


大仙市長・老松博行氏によるあいさつのあと、韓国の唐津(タンジン)市と友好交流10周年を記念する大玉10連発の花火が特別プログラムとして打ち上がります。


第1幕「ディスコ花火」では、懐かしいディスコ曲に合わせて花火が上がります。最初は、アース・ウインド & ファイアーのメドレーに合わせたスターマイン。


続いて、バブル時代へ。「CAN'T UNDO THIS!!」が流れジュリアナ扇子らしき花火が空を舞っています。


チークタイムでは、プロコル・ハルム「青い影」やThe Drifters「ラストダンスは私に」に合わせ、ゆったりと花火が上がります。


最後は、「ディスコが好き」ということで「Medley Of Hit's」や「Dancing Queen」などに合わせ、豪勢な演出で第1幕を締めます。


幕間のインターバル花火として11月14日の世界糖尿病デーの周知のため、テーマカラーのブルーを基調とした花火が、Mr.Children「HANABI」に合わせて上がりました。


第2幕「創造花火劇場」は、大仙市にある花火業者による創造花火の競演です。1社目は響屋大曲煙火株式会社で、作品名は「サムライ魂(ソウル)」です。HEAVENESE「Samurai BRIDGE」に合わせて、日本古来の和火から始まり……


近代の色鮮やかな花火や時差式などへ展開する花火の歴史になぞらえた構成の作品でした。


2社目は株式会社北日本花火興業で、作品名は「-WILD BONGO-」。使用曲は「Hey Pachuco!」です。終盤、荒くれ者を表現したような右へ左へと斜め打ちでワイドに展開するボリューム満点の作品でした。


3社目は株式会社和火屋で、作品名は「TRY ME~私を信じて~」。使用曲は、タイトルの通り安室奈美恵 with SUPER MONKEY'Sの「TRY ME~私を信じて~」でした。


4社目は大久保煙火製造所で、作品名は「華演乱舞」。「Dancing Queen」に合わせて、八方咲きの花火が咲き乱れます。


最後5社目は株式会社小松煙火工業で、作品名は「Art of Dancing Star」。M.O.V.E「Gamble Rumble」のイントロの終わりに三重芯の花火が現れ、まさにアクセル全開という感じで始まります。明るい色鮮やかな星や、さらにそれらが時差式で変化するなど、新しさを感じる作品でした。


創作花火劇場が終わると、今回、新しい花火の演出として注目していた視聴覚障がい者のための花火「命火(いのちび)」のコーナーとなりました。東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部の委託によるプロジェクトです。

実際にどのような花火か以下のムービーで確かめることができます。

聴視覚障がい者のための花火「命火(いのちび)」【大曲の花火秋の章2018】 - YouTube


「視覚に障がいがある人も、聴覚に障がいがある人も、健常者も一緒に楽しめる花火を作る」をテーマに、花火と一緒に物語がスピーカーから流れます。目の前に上がっている花火とセリフを重ねる事で、打ち上がっている花火の状況の説明をストーリーの一部として融合させている工夫がされていました。写真の場面では「江戸時代から続く暗い線香花火のような暗いオレンジ色の花火、和火」というようなセリフが流れていました。


聴覚障がい者には、振動を伝える機材も用意されていたとのこと。物語と合わせて花火の種類などが学習できるレクチャー花火としても楽しめるものでした。


続いて、第3幕「伝統割物と斬新自由玉」です。全国花火競技大会で最高賞である内閣総理大臣賞を受賞した9社の花火が打ち上がります。株式会社小松煙火工業「茜空」


野村花火工業株式会社「キラキラ万華鏡」


有限会社菊屋小幡花火店「バタフライ・ガーデン」


株式会社山﨑煙火製造所「流星群」


株式会社山内煙火店「寂錦菊」


株式会社北日本花火興業「天空のユートピア」


株式会社磯谷煙火店「ミラーボール」


株式会社紅屋青木煙火店「昇り曲付夕映えの椰子」


イケブン「昇り付多重芯菊先潮音」


第4幕フィナーレ花火「007 大曲より愛を込めて」は4部構成となっており、始めは007のテーマ「The James Bond Theme」と合わせてオープニングを再現。血で赤く染まる場面を再現したような花火も見られました。


第2部は「007ダイヤモンドは永遠に」。シャーリー・バッシー「ダイヤモンドは永遠に」をBGMに花火が上がります。ダイヤモンドや宝石の輝きを点滅する花火で表現したり、ボンドガールとの恋などを表現した花火が上がりました。


第3部は「007死ぬのは奴らだ」。ポール・マッカートニー&ウイングス「Live and Let Die」では、緩急のある曲調に合わせ、アップテンポの場面ではカーチェイスやボートの水しぶきなど、右から左、左から右へとスピード感あふれる展開となり、最後は幅いっぱいに広がる花火の演出となりました。風が弱まり煙がたまりだしてしまったのが残念です。


最後は「007ゴールドフィンガー」。映画からトランプのいかさまを暴くシーンを模したトランプのマークの型物花火がきれいに見えました。


最後は、錦冠の連打で夜空が金色に染めてからの、締めの一斉打ちとなりました。


終幕「打ち留め」この日1番の大玉である二尺玉(直径約60cm)の「昇銀竜錦冠菊緑小割浮模様」が1発打ち上がり、この日のプログラムは終了となりました。


最後は花火師と観客との光の交信です。花火師は赤い発煙筒を振り、観客はペンライトなどを光らせて振っています。これまでは、光の交信に演出などは行われていなかったのですが、今回、初めて光の交信中に炎が噴き上がりました。


夏の全国花火競技大会では伝統を守り、秋の章では新しいものを積極的に取り入れチャレンジするという明確な方針があり、夏では見せていない大曲の花火の演出も見られます。合わせて、内閣総理大臣賞を受賞した各社の芸術的な花火玉も見られるお得な花火大会です。

この「大曲の花火 秋の章 2018」の全編は、以下のムービーで確認することができます。

【全編720p】大曲の花火 秋の章2018 「花火劇場~エバーグリーン~」Omagari Fireworks Autumn Chapter - YouTube


秋の章が行われた翌日の10月14日には、花火鑑賞士の試験が行われました。2018年度は、82名の受験者が現役花火師や花火の専門家による講義を聴いた後、試験に挑んでいました。

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in 取材,   動画, Posted by darkhorse_logmk