光が動き虹色に輝く、想像を超える花火が打ち上がる「神明の花火」を見てきました
近年、全国区のテレビ番組でも注目の花火大会として取り上げられる花火大会の1つに「神明の花火」があります。江戸時代には「市川の花火」と呼ばれ、日本三大花火としても名をはせていましたが、明治以降はしばらくの間、花火大会が行われない期間がありました。しかし、町の復興のため「はなびの町」らしい観光イベントをと、平成元年8月7日に「神明の花火」として復活します。奇抜かつ美しい花火が次々と上がる見応えのある花火大会として近年話題の「神明の花火」ですが、平成30年8月7日に第30回記念大会が行われるということで、実際に見てきました。
神明の花火
http://www.town.ichikawamisato.yamanashi.jp/shinmei/
光が動いているように見える花火のムービーがこちら。
【神明の花火2018】競技花火「サマーでGO!」から、後半の時差式花火の連打シーン - YouTube
会場は、山梨県西八代郡市川三郷町の三郡橋下流笛吹川河畔です。
大会当日、まずは会場近くにある花火公園に隣接する花火資料館に寄ってみます。
花火資料館の中では、神明の花火の歴史や花火の仕組みを学べる資料などが展示してありました。
現在、市川三郷町では「株式会社齊木煙火本店」と「株式会社マルゴー」の2社が、打ち上げ花火の製造業社として残っており、2社とも数々の花火競技会で優勝・入賞しています。神明の花火は、この実力のある花火会社2社が地元で豪華な花火を上げるということで、全国各地から観覧客が集まってくる花火大会です。
道路を挟んだ反対側には、「1年中いつでも花火を買える玩具花火専門店『はなびかん』で懐かしい花火や新しい花火を買って遊んでみました」のはなびかんがあります。
神明の花火を見に来た人たちが早くからお店を訪れ、おもちゃ花火や花火大会の記念グッズなどを購入しています。
2018年のおすすめのおもちゃ花火を決める「おもちゃ花火コンテスト」で入賞した花火たちが集められたコーナーもありました。
手持ち花火1本からでもバラ売りで購入が可能なお店ですが、花火の詰め合わせも売っています。「花火大会の記念に」ということで1番大きな花火セットを購入された人たちと、はなびかんのスタッフで一緒に記念撮影。
開場時間の午後3時までは、まだ時間に余裕があるので、花火資料館でビデオを見たり、出会った人たちと話をしたりしながら暇をつぶします。
午後3時過ぎ、会場へ向かいます。有料エリアは席が指定されているので、急いで向かう必要はありませんが、下見のために1度入場してみます。
有料席エリアは、まだ人がまばらです。自分の席を確認して、いったん涼しい花火資料館に戻ります。
花火のプログラムを確認しつつ、夕方になるのを待ちました。
午後5時、再び会場に向かいます。食べ物や飲み物などの販売は、会場手前にある市川大門総合グラウンドにまとめられており、たくさんの人たちでにぎわっていました。
午後6時30分頃の無料エリア側の様子、まだまだ奥にも観覧場所があり、次から次へと観覧客が向かっています。
前日には激しい雷雨があり、当日も「夜に小雨があるかも」という予報でした。大会本部のテントに飾られた大きなてるてる坊主の力もあってか、結果的には雨は降らず、御利益があった模様。
花火大会が始まる前に、市川美郷町の姉妹町である静岡県賀茂郡西伊豆町から手筒花火のデモンストレーションが行われました。火の粉を浴びながらも耐える姿に、観客から拍手が沸きます。
午後7時を過ぎると辺りが暗くなってきました。
午後7時15分、カウントダウン後、ファイヤーの掛け声と共に一斉に花火が打ち上がります。
続いて、開いた時の直径が約500mにもなる二尺玉(花火玉の直径は約60cm)が会場左手側から打ち上がりました。開いた花火が風に乗って観客席側に向かってきます。
協賛会社の紹介後、音楽に乗せて連続して花火を打ち上げるスターマインが始まりました。
特大スターマインや大玉連発スターマインなど、プログラムが進んで行くと、辺りはすっかり真っ暗に。
続いてのプログラムは競技花火です。株式会社齊木煙火本店・株式会社マルゴー・株式会社山内煙火店・株式会社小口煙火・株式会社丸玉屋小勝煙火店の5社が、スターマインを打ち上げます。ただし、どの会社がどのスターマインを上げているかは、公平に審査するために打ち上げ時には非公開となっていました。
「白鳥の湖」(株式会社山内煙火店)
「打上花火のタイミングの全容~穏やかな曲にのせて~」(株式会社小口煙火)
「夏の日のあなたとの思い出」(株式会社丸玉屋小勝煙火店)は、準優勝でした。
「サマーでGO!」(株式会社マルゴー)が、優勝作品となりました。マルゴーの得意な花火の演出の1つに、星の明るさや色の変化のタイミングをずらすことで光が動いているかのように見える「時差式発光」を取り入れた花火があります。このスターマインの後半では、時差式発光の花火が次から次へと打ち上げられ、会場が大いに沸きます。
時差式発光の変化の様子を1枚の写真にまとめてみました。1→4の順番で星の色の変化で動きが現れます。実際にはもっと細かく滑らかな変化をしています。
実際にどのような花火が打ち上がっているかは、以下のムービーで確認できます。
【神明の花火2018】競技花火「サマーでGO!」から、後半の時差式花火の連打シーン - YouTube
「紫陽花~やさしい光に照らされて~」(株式会社齊木煙火本店)は、3位でした。齊木煙火本店の特徴の1つとして、色の鮮明さと色の変化があり、色の変化する花火を長時間露光で撮ると虹色の光の跡(写真下部)を残すものも。このほか、八方咲きと呼ばれる種類の花火(写真上部・次の写真上部)のバランスの良さにも定評があります。
競技花火が終わると、特大スターマイン・二尺玉の打ち上げと、プログラムは進んでいきます。
超特大スターマインでは、西城秀樹さんを追悼する花火が打ち上がりました。「ヤングマン(Y.M.C.A.)」が流れると会場からは手拍子も聞こえてきます。
YMCAを叫ぶ場面では、それぞれのアルファベットの花火もタイミングを合わせて一緒に上がっていました。
メッセージ花火のコーナーでは、職場仲間の結婚のお祝いや家族へのメッセージなどが読み上げられ、花火が打ちあがります。神明の花火のファンのグループによるメッセージ花火では、マルゴー・齊木煙火本店から会場がどよめく程の気迫を込めた複雑な時差式発光をする花火が上がりました。
ここまででプログラムの約半分、ここから終盤に向けて、さらにスケールアップしていきます。
「神明の花火30周年記念特別プログラム」では、三重芯以上の多重芯の大玉や、打ち上げ場所の端から端までワイドに使った超特大のスターマインが打ち上がります。
最後は、尺玉を30発同時に打ち上げてからの……
二尺玉と、神明の花火の全てのコンテンツを詰め込んだスターマインでした。
まだまだ、神明の花火は続きます。特大スターマインや二尺玉の打ち上げ。
超特大スターマインでの千輪。
続いて、神明の花火の見どころの1つ、テーマファイヤーです。2018年のテーマは「世界に届け『神明花火』平和への祈~ありがとう30周年 あなたと共に~」となっており、打ち上げの担当はマルゴーです。Two Steps From Hellの「Victory」をBGMに、花火が打ちあがります。
中盤では、四角い形の花火が上がっていました。しかも、時差式発光で光がぐるりと回ります。
次から次へとザラ星も吹き上がり盛り上がってきました。
通常のスターマインであれば、ここで終わってもいい、と言える程の盛り上がりとなっていますが、まだまだ続きます。
鮮やかな色彩から一転、青を基調とした幻想的な雰囲気に。
派手に終わるのではなく、静かに幕が下ろされていきます。通常のスターマインは、3分以内にまとめられることが多いのですが、テーマファイヤーは約5分半、1つの物語が花火で表現されているようでした。
実際の花火の様子は、以下のムービーで確認できます。
【神明の花火2018】世界に届け「神明花火」平和への祈り - YouTube
続いて、この日最後の二尺玉が打ち上がります。
いよいよグランドフィナーレ、2018年の担当は齊木煙火本店です。BGMは、Two Steps From Hellの「Never Give Up On Your Dreams」でした。序盤からいきなり時差式発光の大玉も登場。
オレンジ色に統一された花火によって、朝焼けのような雰囲気に。
続いて、美しい八方咲きと、下からのザラ星の打ち上げが続きます。煙がこもってきているため、色が拾えていないのが残念です。
虹色に変化する花火が、次々と目の前に現れます。
虹色の花火が降り注いでくるかのような花火もありました。
終盤に入り、1度に上げられる花火の量も増えてきます。
錦冠へと花火が変わりました。絶え間なく次々と打ち上げられるために、空一面が金色に染まっていきます。
最後は、一斉に大玉も上がりまばゆい光と大音響で、グランドフィナーレの締めくくりとなりました。会場からは拍手が沸き起こります。
実際の花火の様子は、以下のムービーで確認できます。
【神明の花火2018】グランドフィナーレ - YouTube
神明の花火が終了しました。神明の花火では、花火師と観覧客とのエールの交換が行われます。対岸の花火師は赤い発煙筒を、観覧客はスマートフォンの画面やペンライトを花火師に向けて振っています。
始めから終わりまで1時間45分のプログラムでしたが、あっという間に終わってしまいました。花火師に向けて、地元の人たちや花火ファンの声援が至る場面で聞こえ、花火師と観覧客との一体感が味わえる花火の町ならではの花火大会でした。
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