取材

観客の心を温かくする花火ショー、秋田県男鹿市で行われた世界一優しい花火大会「男鹿日本海花火」を見てきました


8月は、花火大会の開催が最も多い月ということで、全国各地で花火大会が行われています。中でも8月14日になまはげで有名な秋田県男鹿市で行われる男鹿日本海花火は「世界一優しい花火大会」を目指している花火大会とのこと。この花火大会をプロデュースする株式会社北日本花火興業は、スマイルやドラ猫など面白い花火を見せてくれる花火会社としても有名です。一体、男鹿日本海花火とはどのような花火大会なのか、実際に見てきました。

男鹿日本海花火
https://oganavi.com/hanabi/


なお、GIGAZINEでは今回の大会をプロデュースしている北日本花火興業の花火職人で、カエルなどの型物花火の第一人者である今野義和氏のインタビューを過去に実施。花火にかける今野氏の熱い気持ちや、男鹿日本海花火をどのようにプロデュースしているかなど、以下の記事で確認できます。

スマイルやドラ猫など会場から拍手や笑い声が聞こえる型物花火、その型物花火作りの名人・今野義和氏に「花火に込められた想い」を聞いてきました - GIGAZINE


場所は、秋田県男鹿市船川港船川海岸通1にあるOGAマリンパークです。


花火大会当日、会場に向かう途中にある男鹿総合観光案内所の巨大なまはげに歓迎を受けつつ、男鹿市に入ります。


「寒風山に登ると絶景が見られますよ」とのことなので、寒風山に寄ってみました。


花火大会会場も一望でき、ここから花火を撮影する人たちもいます。


展望台の売店で「男鹿塩ソフトクリーム」が売られていたので買ってみました。


男鹿塩の塩気もしっかり味わえ、その後バニラの甘さがやってきます。「広大な景色の中でソフトクリームを食べる」というのも気持ち良いシチュエーションです。


午後3時半、花火大会会場へ到着。まだ、イベント開始まで時間があるので、近くを散策してみます。2018年7月1日にリニューアルされた男鹿駅。


道の駅おがも2018年7月1日にオープンしたばかりの新しい道の駅です。


道の駅の中にあるジェラート店GAOでは、行列ができていました。「ソフトクリーム しょっつる味」が気になったので購入します。


しょっつるは秋田の特産物の魚醤です。うま味たっぷりの濃厚なだしの味がしっかり味わえました。


午後5時頃、会場のOGAマリンパークへ向かいます。


会場内では、すでに多くの人が場所取りのために集まっていました。


今回は、この花火大会を良く知る花火鑑賞士の人たちから「前のほうで見るのが一番」というアドバイスを受けたので、マス席(6人・駐車券付・税込15000円)で一緒に花火を鑑賞します。写真左側には、会場に来る途中に寄った寒風山が見えます。


花火鑑賞士試験の講師や「大曲の花火 秋の章」のプロデュースなど花火の専門家でもあり、ソムリエの資格も持つカネトク卸総合センター株式会社代表取締役社長の小西亨一郎氏も、この花火大会を見に来ていました。


午後6時25分、ステージでなまはげ太鼓が始まります。


演奏の合間に、なまはげが観客席に降りてきます。近くで見ると大人でも「怖い」と思うほど迫力があり、泣き出してしまう子供もいました。


午後6時45分頃、マス席はゆったりとスペースが取られているので余裕がありますが、他の有料エリアや後方の無料エリアにはぎっしりと人が集まっています。


花火が始まる前に、プログラムを確認。この男鹿日本海花火では、毎年テーマに沿った内容のプログラムが組まれており、2018年のテーマは「スポーツの祭典~光と平和のアスリート~」となっています。夏季・冬季オリンピックでおなじみの競技の種目がずらりと並んだプログラムです。


午後7時、花火開始30分前からナビゲーターのチャーリー・ホイ(保泉久人)氏と太田久美子さんによるアナウンスが始まりました。ボランティアで参加されている人たちへの感謝や、地震などが行った際の避難の仕方など、丁寧な説明で他の花火大会とはひと味違った温かい雰囲気で始まりを待ちます。


午後7時30分、「花火を楽しむ前に、ご先祖様に、亡くなった方々に、手を合わせましょう」というアナウンスがあり、「合掌の花火」が上がりました。


合掌の花火が終わると「なまはげ下山!」のアナウンスと共に、なまはげたちが聖火台のある丘へ「聖火」を運んでいきます。


「点火」の声とともに、仕掛け花火によって聖火台と聖火が現れました。


「開会式」では、オリンピックのファンファーレと共に、5大陸を表す五輪のシンボルが打ち上がりました。


続いて、安室奈美恵の「Hero」に合わせて、開会式をイメージした花火が打ち上がります。


最初の種目は「ボクシング」です。ロッキーのテーマをBGMに、「これがパンチのイメージ」とアナウンスも入りつつ、赤コーナー・青コーナーからと次々とパンチの応酬が始まります。


終盤では、赤色と青色を使った7号玉(開いた時の大きさ約250m)が連発で上がりました。


次の種目は「セーリング」です。ロッド・スチュワートの「Sailing」をBGMに、白い帆をイメージした花火が次々と上がります。


終盤には、8号玉(開いた時の大きさ約280m)も上がりました。


「スキー」では、シュプールを描きながら滑り下りるスキーヤーを表現。上部から順番に花火が開いていくことで、本当に山を滑っているかのような動きまで表現されていました。BGMは、広瀬香美の「ゲレンデがとけるほど恋したい」です。


続いての競技は「自転車」。Jプロツアーの公式ソングJAM Project「AREA Z~Song for J-Riders」が流れると「左手をご覧下さい。北日本花火興業の花火師たちが人力で疾走する自転車のホイールを表現しています」とアナウンスが聞こえました。すると、左手から5人の花火師たちが仕掛け花火に火をつけつつ、赤い発煙筒をグルグル回しながら走っています。


自転車のホイールを表現するかのように、1つの花火から2つの輪が現れました。


最後は一斉打ちで締め。


続いてはメッセージ花火のコーナー。恋人や家族に向けてのメッセージが読み上げられ、花火が上がります。


「毎年、男鹿の花火では10組以上のプロポーズがあり、結婚されている」というアナウンスがあり、プログラムには載っていないプロポーズ花火のコーナーがサプライズイベントとして始まりました。ステージの明かりがともされると、1組のカップルが現れ、2人のなれ初めが紹介されます。「この男鹿の花火で告白し、付き合いが始まってから3年、今日ここでプロポーズを行います」という内容のアナウンスがあり、彼氏から「絶対に幸せにすることを約束します。結婚してください」とプロポーズの言葉が彼女に向けられると、会場内から拍手が沸き起こりました。結果は……


「よろしくお願いします」との返事、見事成功です。


ハートの花火も打ち上がり、観客の歓声と花火が2人を祝福します。


次は、秋田のプロスポーツチームを応援するコーナー。まずは、サッカーのブラウブリッツ秋田では、サッカーボールの型物花火とチームカラーの青色を基調にした花火が打ち上がります。


続いて、ラグビーの秋田ノーザンブレッツ。ラグビーボールの型物花火とチームカラーの赤色に合わせた花火が打ちあがりました。


最後は、バスケットボールの秋田ノーザンハピネッツ。チームのマスコットキャラクター「ビッキー」が打ち上がります。秋田弁でカエルのことを「ビッキ」と呼ぶとのこと。


続いての種目は「野球」です。この日、第100回全国高等学校野球選手権記念大会の2回戦で、秋田県立金足農業高校が勝利した報告のアナウンスで会場が盛り上がる中、栄冠は君に輝くが流れ、高校野球をテーマにした花火が打ち上がります。


金属バットのヒット音の後、吹奏楽の演奏でヒットファンファーレからハイサイおじさんという流れに。曲に合わせて、おじさんの花火も打ち上がりました。


応援が盛り上がるにつれて、花火も豪華になっていきます。


「カーリング」では、西田美津希の「Stand Up!」をBGMに、カーリングのハウスやストーンなどを表した花火が次々と打ち上がりました。


「フェンシング」では、左から右から虎の尾のように打ち上がる「トラ」を使って、フェンシングの戦いを表現。


「フィギュアスケート」では、2018年平昌オリンピック羽生結弦選手が、フリー演技で使用した「SEIMEI」に合わせて、花火が打ちあがります。


ザギトワ選手の演技を表現したパートでは、公益社団法人秋田犬保存会からザトキワ選手へ送られた秋田犬も打ち上がりました。


「シンクロナイズドスイミング」、プールから飛び出し水しぶきを上げている様子。


いよいよプログラムも終盤へ。「サーフィン」では、花火もスケールアップし、目の前で高く上がる花火は、覆いかぶさってくるかのような迫力で見ることができます。


「アーチェリー」では、ウィリアム・テル序曲より「スイス軍隊の行進」に合わせて、花火が打ちあがります。終盤では、さまざまな種類の花火が次々と上がり、北日本花火興業の花火の大行進というような豪勢な演出でした。


「マラソン」では、炎のランナーのテーマに合わせて、大玉が次々と上がります。


目の前いっぱいに花火が広がります。風が穏やかになったために、煙がとどまるようになってきました。


いよいよ、フィナーレです。「体操ニッポン」をテーマにゆずの「栄光の架橋」に合わせ花火が上がります。


錦冠からのラストシーンへ。


最後は、大玉と会場端から端までの一斉に上がるトラで締めくくりなのですが、大玉が煙の中へ。惜しいラストとなりました。


掲載されているプログラムでは以上で終了となるのですが、会場から「アンコール」の声と手拍子が始まりました。男鹿日本海花火では、アンコール花火が定番となっており、アンコール花火に向けてのアナウンスが始まります。「アンコール花火の打ち上げ前に、ボランティアで集まった75人のスタッフへ拍手をお願いします」と促されると会場からは拍手が沸き起こりました。続いて、来年に向けてボランティアの募集や募金への呼びかけの後、「We Are The Champions (Ultra Club Mix)」に合わせてアンコール花火が打ち上がります。


北日本花火興業・今野和義氏へのインタビューで、今野氏が言われていた「この日、花火を見に来たお客さんたちが、無事、家に帰ることができますように」というメッセージが込められたカエルの花火が、アンコール花火で登場。15匹ほど打ち上がっていました。


実際にカエル花火が打ちあがっている様子は、以下のムービーで確認できます。

お見送りカエル花火連発シーン【男鹿日本海花火2018】 - YouTube


コンサートのアンコールそのものを再現した演出で、お得感満載の花火でした。


本当に最後ということで、「打ち止め」を知らせる花火が上がります。「今年も素晴らしい花火を見せてくださいました北日本花火興業に、皆様どうぞ大きな拍手をお願いします」というアナウンスがあると、会場からは大きな拍手が沸き上がりました。


大会終了後、チャーリー・ホイ(保泉久人)氏は、会場出口のお立ち台に乗ってお客さんに来場のお礼や募金への呼びかけを行っています。


観客全員が会場を後にするまで見送りを続けるチャーリー・ホイ(保泉久人)氏。


何よりも男鹿日本海花火のすごい所は、広場を埋め尽くしていた人たちが帰った直後にもかかわらず、ゴミが全く落ちていないことでした。


イベントの始めから終わりまでナビゲーターが、丁寧に内容を伝え、各種目で秋田出身選手の応援コメントを添えていたり、ボランティアスタッフや観客への感謝の言葉を述べたりするなど、気遣いが随所に見られる花火大会です。花火をプロデュースする北日本花火興業のエンターテインメント性との相性も良く、「観客席から聞こえてくる笑い声と拍手が、世界一優しい花火大会であることを表している」そのような花火大会でした。

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in 取材, Posted by darkhorse_logmk

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