インタビュー

スマイルやドラ猫など会場から拍手や笑い声が聞こえる型物花火、その型物花火作りの名人・今野義和氏に「花火に込められた想い」を聞いてきました


花火大会の花火を見えていると、時折、スマイルや星の形をした花火が打ち上がっているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。そのような花火を型物(かたもの)花火と言いますが、その型物花火の第一人者・北日本花火興業の今野義和氏に「どのような発想で花火を作っているのか」「型物だけではなくスターマインにも込められたメッセージ」など、花火作りに込められた想いを伺ってきました。

株式会社 北日本花火興業
http://www.knhk.org/

秋田県大仙市にある北日本花火興業の事務所に到着。


社屋の反対側は、稲刈りを終えた田んぼが一面に広がっています。


2017年3月に行われた「新作花火コレクション」の翌日に、同じ場所から撮影したもの。この時は、一面の銀世界でした。


案内された応接室には、賞状やトロフィーなどが所狭しと飾られています。


株式会社北日本花火興業代表取締役、今野義和氏。会社は明治32年(1899年)創業、義和氏で4代目。ハートやスマイル、猫などの型物(キャラクターもの)の第一人者としても知られています。


平成21年の全国花火競技大会「大曲の花火」では、最優秀賞の内閣総理大臣賞を受賞、他各地の競技会で優勝・入賞するなど、数々の実績を誇る花火会社です。


◆型物(キャラクター花火)の名人
インタビューの前日、2017年10月14日に行われた「大曲の花火 秋の章」では、北日本花火興業ならではの形の整った型物花火も見ることができました。

花火ミュージカル・ライオンキング第1章【大曲秋の章2017】 - YouTube


GIGAZINE(以下、G):
よろしくお願いします。昨日の秋の章・秋田の風景でのなまはげや秋田犬、花火ミュージカルではライオンや動物たちの型物がたくさん上がり、見ていて楽しかったです。

今野義和(以下、今野):
サバンナに居るとは限らないですけれども(笑)。猫、ウザギ、熊、タヌキなどキャラクターものを連打しました。

G:
今野氏の作成する型物(キャラクターもの)の花火は形がきれいで名人と言われています。例えば、ハートなど単純な形のものでも難しい技術が必要なのですか?

今野:
やはり作り方のノウハウというのがあります。花火が爆発する際にも、内側と外側で広がり方が違うので、簡単に断面にハートを並べればいいというものではありません。粒(爆発用の火薬)の中に粒(光る火薬)を置くというのはやり方がありまして。

G:
置き方に秘密があるのですね。もう1点、型物を見ていて不思議に思っているのが、逆さまに見えることが少なく、上下がコントロールされているのでは?という疑問があるのですが、実際のところどうなんでしょうか?

参考、作品の上下がばっちり決まっている様子。


今野:
当然、コントロールしていまして、100%ではないですけれども、上下はある程度コントロールできます。

G:
正面に見えるかどうかまでは、制御は不可能なのですね。

今野:
正面だけに見えたとした場合、横の方のお客様は一直線になって見えてしまうので、ある程度ぶれている方がいろいろな方向から見えるので、それはそれで良しとして考えています。同じ場面で、2つ同時に上げて「1個見えたらいいなぁ」と上げ方の工夫もしています。

(実際、どのように花火の姿勢を制御しているかは、企業秘密とのこと)

◆花火には花火師の気持ちが現れる
今野:
花火って不思議なくらい作る人の気持ちが出ちゃうんですよ。以前、スマイルを納品した時に、作った人間が考え事をしていたのか、そのスマイルはゾンビ笑顔ができてしまいまして、目玉が顔の輪郭から飛び出してしまって(笑)

G:
心の闇が(笑)

今野:
「幼稚園児が怖がってしまった」と、返品されたことがありました。(笑)

G:
今だと、ハロウィンの商品で売れるかもしれませんね(笑)

今野:
いやぁ、ハロウィンの時期に花火少ないから(笑)。スマイルを作る時はね。いやいやじゃなくて、心もハッピーにして作らないと笑顔にならない、笑ってくれない。花火に負けちゃうと駄目ですし、かといって、力入れ過ぎると歪みが出ちゃうし、玉詰め(花火の火薬を並べる作業)というのは、作り手の気持ちが一番反映されるところです。

G:
本当、細かい所に差が出るのでしょうね。花火を作る際に、1mm星の置く位置がずれると、実際花火が開いた際には1mずれると言いますし。

今野:
単なる1000倍の誤差だけじゃなくて、そういう目に見えないところの作用が出てしまう。花火屋同士でこういう話をすると「そうだ、そうだ」ということになるんですよ。ただ単に同じ作業を続けているように見えますけども、気持ちの置き方っていうのは、出ちゃうんですよね。

G:
気持ちを込めて作っているのですね。

今野:
型物などでは、見てる子どもたちの笑顔を想像しながら詰めるのが1番です。


G:
1週間前に行われた土浦全国花火競技大会の創造花火の部で優勝した「ダイエットわんちゃんビフォーアフター」という作品で、痩せた犬の顔と丸い犬の顔が見事に上げられていました。アナウンスが聞こえない席では「キツネ」とか「タヌキ」とかいろいろな感想を言う観客も居ました。

今野:
そういうお客様の歓声というのはとても有り難いです。じゃぁ、あれはキツネで売り出せるでしょ?ちょっと色変えたりして。キツネとタヌキで、うどんの宣伝に使えますよ(笑)

G:
商品の背景にキツネとタヌキの花火の映像で演出とか使えますね。

今野:
素直な方々、特に子どもさんとかが「あれは○○だ」と言ってくれるほうが、非常に参考になりますし、私たちも他社の花火を見ていて、これはこういうネーミングにしたら面白いだろうなと考える訳ですよ。それが面白いですね。

G:
ネーミングセンスというのが、とても大事ですね。

今野:
そうだと思います。花火を見る前から引きつける。興味を持ってもらわないといけないですからとても大切です。特にこの大曲では創造花火というジャンルの花火がありますけれども、花火のクオリティだけでなくネーミングとのマッチングが問われます。

◆花火は役者
2017年においては、伊勢神宮奉納全国花火大会では、打ち上げ花火の部で優勝、ふくろい遠州の花火でも8号玉2発とスターマインの部で優秀賞、赤川花火大会ではデザイン花火で第1位を獲得しています。

G:
伊勢をはじめ、袋井や赤川などでの受賞作品は、キャラクター花火ではなく、芸術性の高い色彩の八方咲きや、その八方咲きを主体としたスターマインでも受賞されていますが、これらの作品のどういった部分が高い評価を受けているのでしょうか?

参考、八方咲きの変化の一部をキャプチャーしたもの。


今野:
弊社の花火の意外性、そして最近の作品に組み込んでいる色彩の面白い花火に対して評価されてるのかなと思っています。

G:
2017年は、特に入賞の数も多いですし「今年はいけるぞ」というような自信はあったのですか?

今野:
いやぁ、それはないですよ。特に大曲(2017年は10号玉自由玉の部で入賞)は難しい。大会提供やスポンサー花火なども考えないといけませんし、その上で競技花火もとなると大変です。

G:
袋井の競技大会で、北日本花火興業のスターマインを見たのですが「時を超える祈りの花」というタイトルと曲の雰囲気に合わせた神秘的な色彩の花火を見て胸が熱くなるほどでした。正解かどうかはわからないのですが、花火で表現したい世界というのを感じた気がします。

北日本花火興業「時を超える祈りの花 」【袋井遠州の花火2017】 - YouTube


今野:
制作側としても、曲を選び・歌詞を自分なりに考え技術的なことも含め曲と花火のマッチングを考えます。その中で、ここはこの花火で見せたいとか考えます。そういうところから、1つの柱というか「何を思って花火を上げるのか」ということまで考えてスターマインを上げています。

G:
単に曲のリズムに合わせて上げるということではなく、歌詞もしっかり読み込んで理解をして作品を作っていると。

今野:
私のところでは、それを大事にしています。

G:
もちろん、コンサートやイベントなどの演出・効果として、バンバン上げる花火というのもありますが、作品としての花火では、花火が主役となり演じていますよね。

今野:
花火は役者。我々は黒子で役者をどう登場させるか、二枚目俳優の役者もいる、美人さんの役者もいる、その他大勢もいる。それから、田舎の体育館でやるような芝居もあれば、国立劇場のような大舞台の出し物もある。そういうさまざまなシチュエーションがあって、我々は花火の光り具合とか形を見せるのですが、どのシーンでどの役者を登場させるのか、プロデュース力というのも花火屋の腕の見せ所だと思っています。ただ、美しい花だけたくさん並べても、これは花火1つの見せ方としては良いかもしれませんが、やっぱりもっと面白い見せ方があると思います。

G:
花火師は演出家でもあるのですね。主役はこの花火だ。脇役はこの花火だ。エキストラはこの花火たちだとか。

今野:
登場するのはこのタイミングとかね(笑)

G:
曲の編集や花火の打ち上げに使うコントローラーなど、PCの操作にも詳しくないといけませんね。

今野:
そうそう。ずっとやってきてると、自分は作曲家だったり、プロデューサーだったり、演出家だったり、むしろそっちの方の役目が大きいかなぁと思いまして。

G:
花火師というのは、花火を作ることだけが仕事ではないのですね。

今野:
それが、何十年か前の花火とは違っているところです。昔は、ストップウォッチを持って、花火を見ながら点火ボタンを押していたのですが、たまにタイミングを見失ってしまう(笑)。それが、ここ15年で打ち上げがコンピューター制御になり、音楽と花火を正確なタイミングで打ち上げることができるようになりました。

G:
打ち上げ技術の進化にもついていかないといけないと。

今野:
だからといって、正確に花火を打ち上げれば良いというものではなく、どの花火をどこで打ち上げるかをしっかりと考えないといけませんし、一方でアナログにはアナログの良さがあると常に思っています。

G:
テーマ性のある作品について、改めて伺います。2017年の大曲の花火競技大会の作品「めんそーれ沖縄~首里城に現る謎の集団~」では、途中、おじさんの顔が打ち上がってましたね。

[4K]2017年 大曲の花火 入賞 ㈱北日本花火興業「めんそーれ沖縄~首里城に現る謎の集団~」全国花火競技大会 - YouTube


今野:
皆さんは、変なおじさんと言われますけれども(笑)面白おかしくやらせてもらいました。

G:
おなじみのハイサイおじさんが、BGMとして使われていましたが、実はこの曲は「平和を願う歌」でという話を後で調べて知りました。

今野:
沖縄というと、戦争だったり、基地問題だったりとそういう話題も多く取り上げられますが、もっと面白い琉球王国を表現したいなと思いました。観光旅行をしている団体さんが、伝統の踊りをやっているところになだれこんでいって、結局みんなで踊ってしまうという楽しい沖縄の雰囲気を伝えようと思って作りました。

G:
私は、この作品で最初に見えた青色の花火を「沖縄の海か空」赤色の花火は「花か首里城の色なのだろうか」と想像していました。

今野:
赤などの暖色系を基本に、伝統舞踊の笠の雰囲気だとか、衣装の配色などを表現してたものです。

G:
あぁ、予想が外れてしまいました(笑)でも、勝手に想像するのも楽しいですよね。

今野:
そうそう(笑)先日もある方がいらしてくれて「北日本花火興業の花火は、花火にお手紙を添えて打ち上げているようだ」とお話をしてくれたんですよ。

G:
素晴らしい表現ですね。

今野:
「こういうことを伝えたいんだろうな」と、くみ取ってくださいながらご覧になられる方もいらっしゃいます。

G:
先ほど言われた北日本花火興業の意外性というのは、ホームページの新年のあいさつで引用された岡本太郎氏に影響を受けていると。


今野:
そうですね。2017年は「形を整えよう」とか「きれいなものを見せよう」とは意識せずに、なるべく気持ちの中で、画面をはみ出すようなことを考えようと。人間が作るのだから泥臭さというか「人間のそういう部分を花火で表現できたら面白いだろうな」と、いろいろな想いがある中で今がそのチャンスだなと思いました。大曲の大会提供に対しては、この命題を特に意識したものになっています。

【4K】大曲の花火2017 大会提供「生命のまつり」Omagari Fireworks - YouTube


◆万人にやさしい花火大会
G:
北日本花火興業が関わる花火大会のいくつかはホームページで告知されていますが、中でも秋田県男鹿市で毎年8月14日に行われる「男鹿日本海花火」が特徴的な大会と聞きました。

今野:
男鹿の花火は、劇場花火というか、私の頭の中を好き放題やらせて頂いているという世界で、まったく制約がございません

G:
北日本花火興業が好き放題できる花火大会ということですね。

今野:
男鹿の花火はですね、今年で15回目になるのですが、「男鹿に来なければ見られない花火をやってください」ということで、要するにオンリーワンですよね。「どこぞの花火大会のような」とか「花火師を集めて日本一の花火大会をやろう」ということではなく、目的は男鹿に人を呼びたい・地域の活性化・地域の誇りなんですよ。秋田県の観光地と言えば男鹿ですが、もっと活性化したいということで、オンリーワンのものをやってくれと。ただし、進化は求められます。

G:
2015年「Rhythm&Dance~世界の踊り~」、2016年「光のブロードウェイ~ミュージカルへの誘い~」、2017年「スターズ オン ステージ~真夏の紅白歌合戦~」と毎年テーマを決めて行われているようなのですが、テーマは話し合って決めているのですか?

今野:
はい、こちらからプレゼンテーションさせてもらって。

G:
今野氏から提案されると?

今野:
はい、私の方から提案しています。

G:
大会自体がエンターテインメントショーという構成で、会場からは笑い声も聞こえるユーモアにあふれている大会ですよね。これらの元となるお考えはあるのでしょうか?

今野:
これはですね。幸せな空間。花火大会を「見に来る」「見に行く」去年も今年も来られるというのは、花火大会の花火がきれいだとかもありますが、それ以上にあの空間の幸福感。例えば、昨日まで一生懸命仕事してきてつらい思いをしたり、あるいは子供さんでも勉強して大変だったり、あるいは病を抱えている人とか、そういう人がですね、花火を見る瞬間というのは、すべて忘れるんですって。花火を見ている瞬間というのは、辛い事や嫌な事から離れることができるんですよね。それが、人々の幸福につながる。

それから、1つの方向性として「笑い」。笑えるというのは幸せなことです。だから、そういうエッセンスも大切にしたい。とにかく、花火大会で1番気になるのが、花火大会が終わってお客さんたちが帰る時の表情。これがやっぱりね。簡単な言葉なんだけど、ニコニコ笑顔で帰っていけるかどうかってことですよね。「幸せな空間味わってもらえましたか?」と。ですから、見てる方々が安全に気持ち良く「花火大会来て楽しかったなぁ」というようなことを作ってあげたい。空間・時間、これが根底です。

G:
それこそが、男鹿日本海花火の特徴として言われる万人にやさしい花火大会なんですね。来年の夏は、男鹿日本海花火を見に行ってレポートしたいと思います。

数あるトロフィーと一緒に大事に飾られているイラストは、男鹿日本海花火を見たファンから毎年送られてきているものとのこと。


2016年「光のブロードウェイ~ミュージカルへの誘い~」のイラスト。男鹿の花火がいかに楽しいものであるか伝わってきます。真ん中で踊っているのは、今野氏?


◆型物花火はピエロ
G:
今野氏自身がお持ちのユーモアというのは、一体どこから来ているのですか?バラエティ番組を見るのが好きだったとか?

今野:
滑稽なことを言う、ジョークを言ったり、突っ込んだりというのは、割とそういうタイプです。

G:
幼少期の頃から?

今野:
まぁ、中学生の頃からかな?おやじ(先代)は堅い職人という人なんだけれども、うちのおふくろがねぇ、人を笑わせるのが大好きなタイプだったんですよ。おふくろの実家は、芸達者なほうでね。踊りとか尺八を吹いてた人がいたりと、人を集めてやったりするのが楽しい、そういう家でしたね。

G:
楽しいお母さんがいる家庭環境を今野氏は引き継がれているのですね。

今野:
そうそう、型物花火、笑いのある花火というのはですね。子供からお年寄りということなんですよ。やはり、特に小さい子供さんは30分も見ると飽きてくるんですよ。そこに「僕でも分かるよー」という花火が上がると、花火大会全体としてのメリハリもできるし。型物というのは主役にはなかなかなれないけども「サーカスのピエロ的な要素」として、場を和ませるということでですね、ちょっとしたいい役回り、二枚目じゃないけど必要な役回りですよね。

◆カエルに込められた思い
G:
私が北日本花火興業を知るきっかけとなった、カエルの型物について聞かせてください。

カエル花火のデザイン画。


実際に打ち上がっているカエル花火たち。


今野:
カエルはですね。2011年、東日本大震災の年ですね。その年の春に行われた新作花火コレクションにカエルを打ち上げようと作りました。ただ、どうやって打ち上げたら面白いのかなということを考えていた訳ですけれども「アナウンスの方がかんじゃって何度も読み直す」ということがあれば、最高にインパクトがあるなと思って「カエルぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ」とわざと早口言葉をタイトルにしたんです。だけど、アナウンスの方がよっぽど練習したのでしょうね、するっと間違えずに言っちゃった。それは想定外でした(笑)

G:
そんな遊び心を(笑)

今野:
面白いでしょ。でも、震災が起こってしまって……「無事に帰る」だとか「元に返る」だったり、そういう語呂合わせから、カエルたちに無事に帰りますようにという気持ちを込めて、8月の大曲の競技大会にはエントリーしました。いろいろ帰れない事情の方がたくさんおられる中で、そういう意味での「カエル帰る、きっと帰る、無事帰る」っていうのをね。言葉に期待して作りました。

2011 大曲全国花火競技大会 「カエル帰る、きっと帰る、無事帰る」 - YouTube


G:
その競技花火を見て、北日本花火興業を知りました。その時は「カエルがたくさん上がって面白いなぁ」という印象でしたが、改めてそのお話を聞いて「あのカエルたちにそのような深い意味があったのか」と驚きました。

今野:
この年の大会提供「奥州曙光」も担当させて頂いて、震災前から世界遺産にも登録されている平泉の黄金文化を表現したいということで、考えていたのですが、震災がありまして、犠牲者への鎮魂と復興の願いも合わせて作りました。

祈りと鎮魂 2011大曲の花火-大会提供花火「奥州曙光」fireworks Requiem tsunami earthquake. - YouTube


今野:
福島で毎年正月に花火を上げていたのですが、それも震災の影響で中止になりました。花火大会は中止になりましたが、カエル30匹くらい連れて行って、避難所のほうで上げてきたんですよ。私にとってのカエル花火というのは「無事に帰ってきてください」という意味を込めた花火です。

G:
花火は常に進化していますし、カエルの花火もいつかは見られなくなるとさみしいなと思っていたのですが……

今野:
いやいや、カエルはね。そういう意味もあって無くならないです。


◆花火鑑賞士へのメッセージ
このインタビュー当日、北日本花火興業のある大仙市大曲では、2017年度の花火鑑賞士の試験が行われていました。

G:
最後に、私はちょうど1年前の2016年に花火鑑賞士の試験を受けたのですが、今野氏は2015年まで試験前に行われる講師をしていたと伺いました。今野氏の講義では、どのような講義をされていたのですか?

今野:
2015年まで講師をしていたのですが、講義の最後にですね、こういう締め方するんですよ。知識があることによって素直に見られない場合もあるので、花火を鑑賞するときは自然体でご覧頂きたいな、一緒に楽しんでね。勉強することによって、花火の悪いところが見えてきちゃうというのもあるので、純粋な目で見て頂きたい。花火は一瞬ですからね。日本の美学というのは「儚さ」の一瞬をめでるというか。今ではビデオとかで記録もできますが、あの本番の感動だったり、空間だったり、臭いだったり、そういうのはその時だけの一瞬ですから。

◆GIGAZINE読者へのメッセージ
G:
GIGAZINE読者へのメッセージをお願いします。

今野:
北日本花火興業では、競技大会の作品やテーマ性のあるスターマインなどでは、隠しテーマみたいなものをいれて花火を作っています。その花火が打ち上がっている間に、メッセージや想いが伝わる瞬間があるかもしれないということ。伝わらないこともあるかと思いますが、伝わった瞬間というのが、その花火がやっとちょっぴり芸術に近づく瞬間かなと思っています。どうかそのようなことも併せて花火をお楽しみ下さい。

G:
ありがとうございました。

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in 取材,   インタビュー, Posted by darkhorse_logmk

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