ハードウェア

不倫検知マットレスや睡眠管理マットレスなど、マットレス業界がこんなにも多様化したのには理由がある

by Kayla Kandzorra | Flickr

オーガニックの素材を使ったマットレスや、テクノロジーで質のよい睡眠へと誘導できるスマートマットレス、浮気・不倫で自宅のベッドが勝手に使われていないか通知するスマートマットレスなど、インターネットではさまざまなマットレスが販売されており、アメリカでマットレスを作るスタートアップの数は500に上るともいわれています。多くの人はマットレスを頻繁に買い換えないはずなのに、なぜこんなにもマットレスが注目を集めているのかというと、そこにはある理由がありました。

Online mattress-in-a-box brands: Why are there so many? - Curbed
https://www.curbed.com/2018/3/28/17164898/bed-in-a-box-online-mattress-brands-why-so-many

使っているマットレスがあまりに古くなってしまった時や、あるいは結婚や新生活のスタートなど人生の節目にマットレスを買い換えることはありますが、そのサイクルは8~10年ほどです。それなのになぜ数多くの企業がオンラインでマットレスを販売しようとしているのかというと、「マーケットに入るのが非常に簡単」という理由がまず1つあります。製造メーカーさえ見つけることができれば、自社ブランドのラベルを貼るだけでビジネスがスタートできるためです。

これまでマットレスは家族経営の小さなお店やデパート、あるいはマットレス販売に特化したチェーンで扱われるのが主流で、eコマースで扱われるようになったのは他の製品に比べて遅い時期でした。しかし、マットレスは250ドル(約2万6000円)ほどで製造でき、1000ドル(約10万円)で販売することも可能です。利益率が高く、数個のマットレスを売れば十分にコストの回収が可能であるため、アメリカでは企業による「マットレスブーム」が到来したわけです。

by Toa Heftiba

低反発マットレスのパイオニアであるテンピュールを除き、オンラインブランドが急増する前は、人々はマットレスのブランドを指定することはほとんどありませんでした。通常の製品であれば、人々はまずブランドを認識し、実店舗を回ることで価格や製品の比較を行います。しかし、家族経営の小さな店などは大手チェーンとの価格競争を避けたかったので、それぞれのお店が微妙に異なる製品を扱いました。このため消費者が商品を比較することが難しくなり、同時にブランドを認識するのも難しくなったとのこと。

このような状況が数十年続いた中で、オンラインブランドの浸透に成功したのが「Casper」のマットレスです。Casperのマットレスの特徴は「箱に入って発送されてくる」ということ。マットレスは発送コストが高く付くのが慣習でしたが、Casperはここに着目し、オンラインマットレス産業のうち150億ドル(約1兆6000億円)のシェアを占めるまでになっています。

YouTubeには「Casperのマットレスの箱を開けてみた」というムービーがいくつもアップされています。

New Casper Mattress | Bed Unboxing! - YouTube


オンラインでマットレス販売を展開している企業の多くは「マットレス会社」というより「デジタルマーケティング会社」と考えた方が理解しやすいとのこと。多くの企業はマットレスの製造を下請けしています。もちろん、デザインや素材、どのような構造にするかについて考えている企業もあり、ゆえに市場にはさまざまな種類のマットレスが存在しますが、通常、製造は別の会社が請け負っています。そして、実店舗で売られていた時代と同様に、2018年現在のマットレスも利益率も高く、さらにオンライン販売なので店舗を持つコストが不要で、Casperのマットレスの場合は送料も少なくて済むなど、企業にとっては非常に魅力ある製品となっています。

Forbesによると、2016年のオンラインマットレスのシェアはマットレス産業全体の5%でしたが、2017年にはその倍に膨れあがっています。今後も大きな成長を見込めるものの、一方でマットレスを購入する高齢の消費者は購入前に試用したがるため、どれほどの成長を見込めるのかは予測が難しいとされています。また、オンラインでの売り上げが上がることは、実店舗の売り上げが下がることを意味し、マットレス業界全体に大きな成長を見込めないことも指摘されています。

スタートアップの多くはベンチャーキャピタルから資金を得ていますが、マットレス開発・販売はコストが低くて済むため、利益を出すのに苦心しても投資家たちは目をつぶっているそうです。これらのスタートアップにとってのコストは広告・カスタマーサービス・ウェブサイトの維持費が主なものであり、失敗する企業もありますが、失うお金も多くありません。

しかし、Bear Mattressの創業者であるScott Paladini氏は「次の2~3年で、人々はブランドが消え始めるのを目にするはずです」「これまでは成長する余地がありましたが、成長が標準化し始めると、顧客を得るためのコストは増えていきます。多くの人はプレッシャーにさらされるでしょう」と語っています。

オンラインマットレス業界の競争はすでに熱を帯びてきています。オンラインでマットレスを購入する場合、「試しに使ってみる」ということができないので、人々はレビューサイトに頼ることになります。しかし、Recodeが報じた内容によると、マットレスレビューサイトの「Memory Foam Talk」はマットレスブランドのNECTARと金銭的なつながりがあることが判明しました。このようなことは、成長速度が遅くなっているマーケットにおいて、企業が限りあるシェアを獲得しようとする時に見られるとのこと。一方で、マットレス産業に入るための扉は広く開かれており、「箱入りマットレス」よりも革命的なアイテムが出てくる可能性もまだ十分に存在するとみられています。

by Chris Abney

・関連記事
「ベッドシーツはどれくらいの頻度で洗濯するべきなのか?」微生物学者が説明 - GIGAZINE

呼吸・心拍・寝相を把握して自動で最適な睡眠環境に整えてくれるスマートベッド「it」 - GIGAZINE

浮気・不倫で自宅のベッドが勝手に使われていないか通知するスマートマットレス「Smarttress」 - GIGAZINE

安眠できるようにベッドを温め睡眠時間も記録してくれる世界初のマットレスカバー「Luna」 - GIGAZINE

ぐちゃぐちゃのベッドを自動的にきれいに整えてくれ「ベッドメイク」を過去のものにするスマートベッド「SMARTDUVET」 - GIGAZINE

40日間無料体験できる寝心地抜群のマットレス「Casper」 - GIGAZINE

布団を引っ張り合う仁義なき戦いに終止符を打つ「Cover Clamp」 - GIGAZINE

in ハードウェア,   動画,   デザイン, Posted by logq_fa