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スタートアップのプロが起業に関するアドバイスをまとめた「Startup Playbook」

By Paul Miller

スタートアップに対し投資するベンチャーキャピタルのY Combinatorの代表を務めるサム・アルトマン氏が、今までスタートアップに行ってきた多数のアドバイスから一般化できるものだけを抜粋しまとめて「Startup Playbook」として公開しています。

Startup Playbook
http://playbook.samaltman.com/

◆1:アイデア
Y Combinatorがスタートアップを考えている人に絶対に聞くのは「何を作っているのか?」と「なぜ作っているのか?」です。この2つの質問は起業しようとしている人物とアイデアを見定めるために非常に重要な役割を持ちます。質問に対する答えが簡潔であればあるほど評価は高く、反対に答えがスラッと出てこない、アイデアが複雑すぎて理解できないという場合は、起業しても問題が発生する可能性が高いとのこと。


次に質問するのは「誰がその製品を心の底から欲しがるのか?」です。この質問に対するベストの答えは、製品を欲しがっているのは起業家自身であることで、2番目にベストなのは、ターゲットユーザーをものすごく理解しているのがわかる回答。そして最後に聞くのが市場に関してです。市場の大きさ・成長速度・10年後に市場が拡大する理由などを聞き、その市場が新しく会社を立ち上げるのに向いているかどうかを理解するとのこと。

Y Combinatorが起業を考えている人に聞く質問は、全てスタートアップのアイデアに関するものです。つまり、スタートアップを考えているなら、何らかのアイデアを先に考えて製品・製品を作った理由・ターゲット・市場を徹底的に理解する必要があるということ。アルトマン氏はアイデアを持たずに起業しようとしていたスタートアップを手がけたことがあるそうですが、全てが失敗に終わったため、「アイデアがないのなら起業すべきではないかもしれない」とコメントしています。

◆2:優れたチーム力
可も不可もないチームによるスタートアップが素晴らしい成功に結びつくことはなかなかありません。素晴らしいチームワークを共同創設者や従業員と築くには、起業家自身の能力が大きな役割を担います。まず、起業家には行動力・決断力・屈強であること・機知に富んでいることが優先的に求められ、その次に知性や情熱が求められます。また、成功する起業家は、従業員が一緒に仕事をしていてもストレスを感じないという性質も見受けられるとのこと。


頑固さと柔軟性がバランスよく共存しているのも優れた起業家に多いそうです。会社の理念を信じて行動しつつ、時には新しいことを取り入れる柔軟性が必要。反対に悪い起業家は、従業員が話しかけるのにとまどうような人物です。コミュニケーション能力は起業家にとってとても重要なスキルで、アルトマン氏自身は「コミュニケーション能力こそが起業家に最も必要な能力かもしれない」と話しています。

◆3:優れた製品
成功した全てのスタートアップに共通しているのは「優れた製品」を有していることです。優れた製品を開発することは、会社が長期的視点から見て成功する唯一の方法。もう限界というところまで成長した会社をさらに成長させるには、優れた製品を実際に使いたいユーザーの存在が絶対に必要とのこと。例えば、ソフトウェアの場合、ソフトウェアを使ってもらうユーザーを雇い、フィードバックをもらい問題点を改善することはもちろんのこと、「フィードバックから改善」というサイクルを何度も何度も繰り返し行うことが大事になってきます。


このサイクルを適切にこなすには、ユーザーとの距離が重要で、実際にソフトウェアを使っているところを観察するくらいユーザーとコミュニケーションをとるのが良いとのこと。ユーザーを見つけるのが困難であれば、コーヒーショップに行って赤の他人に使ってもらうのでもかまいません。Pinterestのベン・シルバーマンCEOは、実際にコーヒーショップで赤の他人にサービスを使ってもらって製品をブラッシュアップしたそうです。

問題を抱えているスタートアップのほとんどのケースに言えるのは、製品の質が良くない、ユーザーを満足させられるレベルではないこと。そういったスタートアップにY Combinatorがアドバイスするのは「ユーザーの意見をもっと聞いてきてください」であるそうです。

◆4:成長
優れた製品を準備して起業した後、大事になってくるのは会社が成長し続けているかどうかです。会社が成長しているとき、CEOは勝利を味わい従業員は幸せを感じますが、会社が成長していないときは、敗北感が社内に漂い、従業員が離れる可能性があります。


成長し続けるのに必要なのは、会社の勢いや推進力です。では、推進力をなくさないためにはどうすれば良いのかというと、きちんとした目標を定めて従業員を目標達成に集中させる必要があります。例えばAirbnbの創始者は今後の成長予測を記したグラフをデスクや冷蔵庫、トイレの鏡など、従業員が目にする至る所に貼り付けまくり、社員が目標達成に集中するように工夫したそうです。

会社の成長を妨げているのは何か、急速な成長を遂げるのに必要なことは何か、などをしっかりと考え、それに基づいた行動を従業員に見せるべき。設定する目標は高くてもかまいませんが、達成できるくらいのところに目標を定めるのが良いそうです。また、優れた製品とフィードバックに基づいてたくさんの成長戦略のテストを繰り返し行うことも重要とのこと。

起業家が成長戦略を考える上で犯しがちなミスとして「他社との取引」「プレス向けの大きな発表会」が挙げられています。この2つは、起業家が会社の成長につながる要素と信じていることが多いそうですが、起業したての会社ではほとんどの場合うまくいかないのでやめておくべきとのこと。

◆5:集中
アルトマン氏が知っている優秀な起業家は執ようなほど「製品」と「成長」に集中して仕事に取り組み、その他のことをやろうとはしないそうです。起業してすぐに別の事業に取りかかるのではなく、今ある製品をブラッシュアップしたり、目標を達成したりするのが先決。さまざまな仕事の中から今やるべきことを選択し、それだけに集中して全力を注ぎます。今やるべきことが終わったら、次の仕事に素早く移ることも、優秀な起業家に欠かせない要素です。


◆6:CEOの仕事
会社のトップに立つCEOは孤独なもので、心理状態を常に正常に保つのは難しいですが、これはとても重要なこと。そのためにも、何か問題が起きたときに相談できる他の会社のCEOと仲良くなっておくのも1つの手です。また、会社のプロジェクトチームに問題が起きたときには常に笑顔で対応し、チームメンバーを安心させるよう心がけます。問題に対してごにょごにょと言い訳をたてるのは御法度。CEOという仕事には、不条理な出来事がつきものです。不条理なことが起こっても、自分やプロジェクトチームに「もしもう少し予算があれば……」「もう1人エンジニアがいれば……」などと言い訳を述べるのはオススメできません。言い訳が多いCEOが率いるスタートアップは、失敗の確率が高いそうです。


最初の製品を早々に諦めて次の製品の開発に入るのも良くないとのこと。最初の製品がダメだったなら、その原因を徹底的に調査することが大事。スタートアップが成功するのにかかる時間は多くの人が考えているよりも長いため、CEOは初志を貫く一貫性を持っておくべきであるそうです。

◆7:雇用とマネジメント
雇用に関するアルトマン氏のアドバイスは「社員を雇わないこと」です。アルトマン氏が手がけたスタートアップの中で最も成功したのは、1人目の社員を雇うまでものすごく長い時間をかけた企業でした。雇用にかかる費用は決して安くありません。社員を雇うと社内の人間関係が複雑になり、「共同経営者には言えるけども社員には言えないことがある」という状況が必ずでてきます。会社が成功すれば、おのずと優秀な人材が集まってくるので、それまで待っていても大きな問題はないとのこと。


もし社員を雇う状況になれば、社員の質に妥協することはせず、できるだけポジティブな人間性を持った人を選ぶべき。自分の知っている人ではなく、全く知らない人を雇う場合、雇い入れる前にプロジェクトチームに入れて一緒に仕事をしてから雇用を決めても大丈夫です。

◆8:競合他社
多くの起業家は競合他社こそがスタートアップをつぶしていると考えているそうですが、スタートアップが失敗した原因で最も多いのは、会社自身が抱える問題によるものです。競合他社がリリースを出したり、多額の出資を得たりしても無視するのがベター。本当に競合他社の動向を気にするのは、競合他社が自分の会社に対して攻撃をしかけてきたときだけで問題ないとのことです。プレスリリースを書くことはコードを書くのより簡単で、コードを書くのはアイデアを生み出すよりも簡単なのを忘れてはいけません。


Startup Playbookにはスタートアップを多く手がけてきたアルトマン氏ならではのアドバイスが多数書かれており、スタートアップを目指す人だけではなく、社会人にも役立つものが多数なので、一度目を通しておくとよさそうです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log