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スタートアップの失敗から学ぶ7つのレッスン


ウェブサイトでレシピを調理に必要な材料を全て当日宅配するデリバリーサービス「Dinnr」はイギリスのスタートアップです。投資クラウドファンディングのSeedrsから投資を受けていましたが、2014年1月12日に投資第2ラウンドの受理を辞退して事業は失敗に終わっています。そんなDinnrのCEOであるMichal Bohanes氏が、スタートアップの失敗から得たいくつかの経験談を「7つのレッスン」としてまとめています。

Seven lessons I learned from the failure of my first startup, Dinnr — Medium
https://medium.com/@michalbohanes/seven-lessons-i-learned-from-the-failure-of-my-first-startup-dinnr-c166d1cfb8b8


◆1:現実的なニーズを解決しているか


入念な市場調査の結果、250人を対象にしたアンケートで70%が「Dinnrの製品を買うと思う」と回答しており、10人に1対1のユーザーインタビューを実施したところ良い反応が得られました。Bohanes氏は「人々が我々のアイデアを認めている」と感じ、大量の注文がなだれ込んでくることを期待していましたが、営業初日の実績はたった3件、最初の1週間の総注文数は12件でした。市場調査に際して大きな間違いだったのは、「このアイデアを気に入ったなら製品を買いますか?」と尋ねたことです。

Bohanes氏は人々の「はい」という回答が意味するのは「始業したらきっと買う」と捉えていましたが、実際には「いつの日かオンラインスーパーマーケットの『Ocado』のトラックがガス欠になって、全てのスーパーのドアは灼熱の溶岩でふさがれてしまい、レストランのキッチンからは放射性ガスが漏れているとリークがあり、ゾンビが人々の脳みそを食べるようになったら、もしかするとあなたの製品を買う可能性があるかもしれない」ということだった、とBohanes氏は話しています。

「全ての良いアイデアが良いビジネスとは限りません」と話すBohanes氏は、誰かの実際的なニーズに応えているかが重要であるとわかったとのこと。Dinnrの場合、事前調査で「これを買ってもらえませんか」と尋ねるのではなく、「最後に新しいレシピで料理したのはいつか?」「テイクアウトの食事は嫌いか?」「食品を廃棄/腐敗してしまう時に気まずく感じるか?」といったことを質問し、もしこれらに当てはまるなら「問題を最小限に抑える対処法として何を行っているか?」と尋ねます。「何も行っていない」が多数派である場合、Dinnrが有効な解決策になるわけです。

◆2:「起業経験がないこと」は簡単な道を選ぶ理由にならない
オーストラリア人のBohanes氏は、「将来に仕事に向けてしっかりと勉強と準備を行う」というオーストラリアの学習システムに染まっており、事業を始める前の下調べや準備に多くの時間を割く必要があることを体で感じていました。Dinnrを始める時、Bohanes氏はeコマースの価値命題や顧客のことを理解するように努めました。1年に10億ドル(約1000億円)規模のビジネスにならないことはわかっており、現実的には数年間で会社を数百万ドルで売却することを目標にしていたとのこと。

Bohanes氏のアドバイスとしては、「市場専門知識や技術的支援が必要であれば、自ら学習するか専門家を探す」ということ。職を持っていたとしても、夜と週末は起業のために時間を割くことができる、と話しています。

◆3:コンセプトの成功は全て小さなヒントの積み重ね。成功は道中に転がってはいない


良い起業の方法は、外国で成功した例を自分自身のいる場所にうまく「移植」することであるとのこと。Dinnrに似たビジネスは北欧のスカンジナビアに存在しますが、ロンドンには存在していなかったため、うまく軌道に乗せられると考えたそうです。

北欧とイギリスでは異なる文化的特性がありますが、イギリスと日本ほど大きな隔たりではありません。スカンジナビアにはイギリスのような大規模なオンライン・スーパーマーケットは存在しませんが、北欧の人々はイギリス人よりも「夕食を家族で食べる」という文化を愛しています。そのように小さなヒントを見つけていくことで、スタートアップのコンセプトが見つかっていくとのことです。

◆4:早い段階で最悪の自己批判家になること
詳細で的確な批判には市場調査データなどが必要になるため、誰かに1時間を要するストレステストを頼んだり、他人から理論的・実際的な批判を受けるのは難しいもの。投資などで関わるスマートな人たちに同様のお願いをする価値はありますが、自分自身ができるだけ早い段階で最悪の批評家になり、数多くの質問をさまざまな角度から投げかけて、自らのアイデアを撃ち落とすことが重要です。

◆5:開発とデザインで会社をしっかりと管理する


Dinnrには投資家から推薦されて参加した海外の開発者とデザイナーがいます。Bohanes氏はそれを知ってからチームの中核に2人を加えて、同じ部屋で働くことで、思いついたことを即座に実行できるようにしました。Dinnrのようにテクノロジー重視の会社でなくても、開発者がすぐに連携できる距離にいることが有効的とのことです。

◆6:プロのデザインがビジネスの基本を改善する
Bohanes氏は家庭向けビジネスの起業家女性と話し合う機会があり、彼女はDinnrの問題が素人っぽいウェブサイトにあると伝えました。彼女の指摘点は「職に関して必要なのは信頼性であり、プロがデザインしたウェブサイトは顧客獲得率の上昇につながる」ということ。センスが必要とされますが、写真撮影術を改善して大きめの写真を使うと良いそうです。アドバイスを受けた5か月後、ウェブサイトの外観を変えて視覚的に訴えたことで、低下を続けていた再購買率は回復を見せたとのこと。

◆7:達成できなかったゴールは見切りを付けて成果を急ぐ


Dinnrをスタートさせた当初、Bohanes氏は毎月のゴールを設定していました。目標が高すぎて達成できないことがしばしばありましたが、最後まで軌道修正をあまり行わなかったとのこと。そのため、例えば「100人の顧客を得る」というゴールをセットして達成したら、新規顧客の獲得に向かうのはいったん中止します。次に「獲得した100人の再購入を○月までに得る」という目標を設定し、達成できなければ目標達成を素早く放棄し、目前まで達成できていたら軌道修正を行う、という風にするべきだったとBohanes氏は考えています。1つの目標にこだわり過ぎないことが重要です。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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