BlackBerryが「特許を侵害された」としてFacebookやWhatApp、Instagramなどに対する裁判を起こす

by mxmstryo

BlackBerryが、自社の「BlackBerry Messanger」の技術および特徴を模倣したとしてFacebookやWhatApp、Instagramといった主要SNSサービスプロバイダーを相手とする訴訟をアメリカで起こしました。

BlackBerry sues Facebook, WhatsApp, Instagram over patent infringement
https://www.reuters.com/article/us-blackberry-lawsuit/blackberry-sues-facebook-whatsapp-instagram-over-patent-infringement-idUSKCN1GI2J2

BlackBerry Sues Facebook, Instagram and WhatsApp, Alleging Patent Infringement – Variety
http://variety.com/2018/digital/news/blackberry-sues-facebook-instagram-whatsapp-patent-infringement-1202719360/

BlackBerryは2018年3月6日、「被告はBlackBerryが開発したセキュリティ技術やユーザーインターフェース、機能性向上技術などを取り込んだモバイル・メッセージング・アプリケーションを作成した」としてSNS各社に対する訴えをロサンゼルスの連邦最高裁に起こしました。

この訴訟はBlackBerryの現CEOであるジョン・チェン氏が進めている戦略の一つで、特許侵害に対する訴訟を起こすことで同社の収益、つまりはお金を確保しようとする動きの一環といえるものです。BlackBerryの広報担当者であるサラ・マッキンリー氏はロイターの取材に対し、「株主の資産および知的財産を守るのは全てのCEOの仕事です」と返答し、同時にこのような訴訟は「BlackBerryの戦略で主となるものではない」とも述べているとのこと。

BlackBerryは「スマートフォン」というジャンルの生みの親ともいわれ、オバマ元アメリカ大統領がBlackBerryを使っていたことなどで高い知名度を誇っていました。他社からスマートフォン端末が登場するまでは大きな市場占有率を誇っていましたが、Android端末やiPhoneなどの攻勢に競り負けてスマートフォン市場における存在感がほぼ消滅するに至っています。マッキンリー氏はまた、この訴訟は数年に及ぶ被告各社との交渉の結末であり、BlackBerryは適切な法的解決策を取る義務を株主に対して負っているとも述べているとのこと。

Facebookは訴訟に対して争う姿勢を見せており、同社の次席法務顧問であるポール・グレウォル氏は声明の中で「BlackBerryが起こした訴訟は、もはやイノベーションを追求することをやめてメッセージング事業を進めている同社の現状が反映されたもので、BlackBerryは他者のイノベーションに対して税金を徴収しようとしている」と冷ややかなコメントを述べています。

スマートフォン事業が大きく縮小しているBlackBerryは、同社が所有する4万件以上の国際特許に対するロイヤリティの支払いを求める動きを強めているとのこと。それらの技術の中には、OSやネットワークインフラ、音響技術、メッセージング、サイバーセキュリティなどの分野のものが含まれています。また、同社は自動運転車向けのサイバーセキュリティ技術を販売する取り組みも進めています。

UEM、モバイル生産性、コラボレーションを保護
https://jp.blackberry.com/

かつてのBlackBerryの勢いを知っていると切ない思いに駆られる今回の訴訟ですが、企業が持つ特許技術に対する対価を正当な方法で求めることはある意味で当然の戦略であるとも受け取れます。果たしてBlackBerryの訴えが巨大SNS各社を相手に認められることになるのか、訴訟の行方が気になるところです。