オバマ大統領はいまだにBlackBerryを使っている

スマートフォンの草分けBlackBerryはAppleやGoogleの攻勢に押されて売上高が大幅減収していますが、オバマ大統領は今でもBlackBerryユーザーであることが明らかになっています。

Obama runs back into the White House because he forgot his BlackBerry
http://mashable.com/2014/11/21/obama-blackberry/

これは2014年11月21日にオバマ大統領が国内の短距離間を移動するときに利用するヘリコプター・マリーンワンに乗る際の出来事。「忘れ物をした」と報道陣に対して言い放った大統領はホワイトハウスに走って向かい、BlackBerryを掲げながら「君たちも忘れ物はするだろう？私はBlackBerryを忘れた」と戻ってきたそうです。

「BlackBerryを忘れていたよ」と報道陣に向かってBlackBerryを掲げるオバマ大統領の写真がコレ。

Twitter上では「時々、私は自由世界のリーダーがまだBlackBerryを使っているのだという事を忘れる」というコメントも見られました。

QWERTY配列キーボードを搭載した機種が人気のBlackBerryは業績を回復しつつも、2015会計年度第1四半期の売上高は前年同期の3分の1ほどに縮小しています。「確かにオバマ大統領は『Blackberryの大統領』として当選したけれど、それは2008年の話。そろそろスマートフォンも変える時期では」とコメントする海外メディアも出ていますが、オバマ大統領がスマートフォンを変えるのは一般人がスマートフォンを変えるのと比べものにならないほどの重要事項であり、「絶対的な機密保持」を実現する大統領用BlackBerry開発を行ったNSA(アメリカ国家安全保障局)の元技術部長リチャード・ジョージ氏は「皆、本当に大変だった」とCNNの取材に答えています。

CNN.co.jp : 絶対の機密保持を目指して――オバマ大統領のブラックベリーを作った男 - (1/3)
http://www.cnn.co.jp/tech/35049255.html

オバマ大統領のスマートフォンを開発するためにNSAは研究室を設立し、「数十人の専門家が集まり数カ月にわたって改良を重ねた。端末の内部に手を加え、通信の安全を脅かす要素をすべて取り除く作業を行った」とのこと。ジョージ氏はアルゴリズムの検査や端末の設計などを手掛け、少しでも情報漏れの危険がある機能も全て排除したため、大統領用のスマートフォンは人気ゲームアングリーバードもプレイできないようになっています。

どんな機能が大統領のスマートフォンに搭載されているのかNSAは明らかにしていませんが、大統領補佐官は「大統領専用リムジンの中で、愛機ブラックベリーをスクロールさせているときが、唯一オバマ大統領がストレスから解放される時間」と語っています。また2013年にオバマ大統領は自身の推し進める医療保険制度改革(通称オバマケア)を若年層向け集会で説明する中で、セキュリティが脆弱であるとの理由でiPhoneの利用が許されていないことを認めました。

オバマ大統領がセキュリティを理由にiPhoneの使用を禁止されていることを認める - GIGAZINE

BlackBerryは強固な暗号化機能によるセキュリティの高さ故に、ホワイトハウスでは人気があったそうすが、一方で米国家運輸安全委員会など政府機関では「信頼性の欠如」を理由に2012年にBlackBerryからiPhoneへの切り替えが行われていました。

米政府機関、ブラックベリーからiPhoneに切り替え　写真1枚　国際ニュース：AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/2913021

一時は「オバマ大統領はBlackBerryを信頼している」という記事も掲載されましたが、iPadは使っているようです。

by The White House

なお、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたところによると、ホワイトハウスはiPhoneではなくAndroid端末に乗り換えるテストを行っており、LGやSamsung端末を検討していたとのこと。大統領が民間人ならBlackBerry社はオバマ大統領に約45億円を支払っても見合うような広告効果があると考えられているため、もしオバマ大統領のスマートフォンがAndroid端末に切り替えられたらBlackBerryにとっては大きな痛手となりそうです。