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なぜアメリカ大統領専用機「エアフォースワン」の冷蔵庫の改修に26億円もの費用がかかるのか?

By Andrew W. Sieber

アメリカ合衆国大統領が移動の際に搭乗する専用機「VC-25」、通称「エアフォースワン」は、大統領の仕事を支えるための特別な装備や保全性、作戦遂行能力を備えるための改造を施すために多額のコストが投じられています。老朽化が進んだ現行機の代替となる新型エアフォースワンの製造コストは2機で4500億円とも言われるほどなのですが、そんなエアフォースワンをめぐって、新しい冷蔵庫の交換のための費用が2400万ドル(約26億円)にものぼるという試算が話題となっています。

Why Will it Cost $24 Million to Install New Fridges on Air Force One?
http://www.newsweek.com/why-will-it-cost-24-million-new-fridges-air-force-one-793089

現行型のエアフォースワンは1990年にボーイングによって製造されたもので、登場から約28年がたって機体や装備品の老朽化が指摘されています。また、近代的な設備への換装の必要性も唱えられており、2018年1月27日にはアメリカ空軍が声明で「食糧貯蔵に対する任務要求を効率的にサポートするため」に機内に搭載される冷蔵庫を交換する必要性を述べています。


空軍は声明の中で、VC-25の冷蔵庫は「1990年に就任した当時の技術に基づいており、短期間の食品貯蔵用に設計された冷蔵庫である」とすると同時に、「現在は定期的にメンテナンスをしているが、故障が増えるにつれて信頼は低下している」と述べ、やはり交換の必要性を主張。見積もられた26億円もの費用については、「製造に必要な技術開発と環境試験、製造、そしてアメリカ連邦航空局からの認定取得費用が全て含まれている」としています。

国防関連メディアのDefense Oneによるとエアフォースワンには、一切の食糧補給がなくても数週間にわたってクルーと搭乗者に食糧を提供し続ける能力が必要であり、そのために機体の客室の床下に約3000食分の食糧が貯蔵可能な新しい巨大冷蔵庫を作る必要があるとのこと。冷蔵庫の容積は約70立方フィート(約2000リットル)にも及び、個別に温度調節が可能な26の区画に分かれます。また、それらを冷やすための冷却装置を5台搭載する計画が立てられており、ボーイングではこの換装作業を2018年10月からスタートし、2019年12月に完了する予定で契約を受注しました。

By Chairman of the Joint Chiefs of Staff

エアフォースワンの費用をめぐっては、2017年1月に大統領就任前のドナルド・トランプ氏が、新型エアフォースワンの2機の費用として4500億円の製造費用が高すぎるとして「注文をキャンセルする!」と異議を唱えていたこともありました。トランプ氏はTwitter上で、「あの飛行機は完全に制御を失っている。エアフォースワン計画の予算は40億ドルを超えようとしている。そして私はそれがおかしいと考えている。ボーイングは数字の操作をしているんじゃないのかとも思う。ボーイングには大きな売上を手にしてほしいと思っているが、この金額ほどではない」発言していました。

By Benjamin Schudel

しかし、トランプ氏大統領は、就任後にエアフォースワンで初飛行をした後、「素晴らしい飛行だった」と発言し、エアフォースワンの存在を好意的に受け入れたようにも見受けられます。

By North Charleston

エアフォースワンには、大統領が軍事的な指令を行う「指揮発令所」としての役割を持たせるために通信設備や防護壁などの装備が搭載されていますが、これに加えて新型冷蔵庫は、有事の際に国内の空港に安全に着陸できず食糧補給できない場合でも作戦遂行を可能にするなど、アメリカの国防にとって必要な装備となりそうです。

By North Charleston

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in メモ,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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