ボーイング737型機がわずか9日間で組み立てられて完成するまで
「世界で最も成功した旅客機」とも呼ばれているボーイング・737型機シリーズは、誕生から50年がたった現在でも世界中の航空各社からの注文が舞い込むベストセラー機となっています。ひっきりなしに続く受注をさばくためにボーイングでは737型機を平均して一月あたり40機程度生産する態勢を整えており、1機の737型機はバラバラの部品で納入されてからわずか9日間で空を飛べる状態に組み立てられています。
How Boeing Builds a 737 in Just 9 Days | WIRED
https://www.wired.com/2016/09/boeing-builds-737-just-nine-days/
希代のベストセラー機・ボーイング737型機が9日間で組み立てられる様子は、以下のWIREDが作製したムービーにまとめられています。
How Boeing Builds a 737 in Just Nine Days | WIRED - YouTube
737型機が生まれる場所、アメリカ・シアトルにあるレントン工場。この工場では、常時7機の737型機が生産ラインに乗せられており、一月あたり42機がラインオフしています。
1967年4月に初飛行を行った737型機は2016年で満50歳を迎えました。これまでに生産された機体は9000機を超え、他の追随を許さない生産機数を誇っています。
そんな737型機も、完成する前はただの部品。最も大きい部品である胴体部分は、カンザス州ウィチタの工場から列車などでレントン工場に輸送されてきます。
生産初日から3日目までは、内装部品の組み付けが行われます。金属がむき出しの胴体にプラスチック製パーツを取り付け……
断熱材が隙間なくビッシリと貼り付けられていきます。
4日目には翼との合体が行われます。なお、翼も別の工場で作られ、レントン工場に搬入される仕組みになっています。
垂直尾翼もここで合体。巨大な機体ですが、接合にはレーザー照準器を使って非常に精密な取り付けが行われます。
ランディングギア(着陸装置)もこの段階で取り付け。
5日目には水平尾翼が取り付けられます。
コックピットでは、エンジンを操作するスロットルレバーが取り付けられ……
複雑な配線作業も行われます。
客室の床にはカーペットが敷かれ……
座席が次々に取り付けられ、徐々に飛行機の雰囲気ができあがってきました。
6日目、機体システムの電源が投入され、各部の動作チェックが始まります。
コクピットまわりの装置やディスプレイが全て点灯され、問題がないかチェック。
飛行中の旅客機は必要な電力をエンジンで発電していますが、組み立て中の737型機にはまだエンジンやAPU(補助動力装置)が取り付けられていません。そのため、工場に備え付けられた電源から電力を供給して動作チェックが行われています。
主脚を上下させる油圧系統のチェック
7日目には、機体の重量が初めて主脚にかけられるようになるとのこと。
そして、最大の重量物であるジェットエンジンの取り付けを行います。
8日目、機体の主な操作系統である翼の動作チェック。
離着陸時に作動するフラップの展開テストや、垂直尾翼、水平尾翼の動作チェックが実施されています。
この段階まで来ると、機体はほぼ完成の領域に。
9日目は、最終的なチェックが行われます。
納入先の航空会社による動作確認が行われて……
機体はついにラインオフ。
完成した機体は空港に運ばれて……
実際に機体を飛ばしてのチェックが行われ、ここで問題がないことを確認して機体は完成。あとは納入先のデザインに塗装され、世界の空へと飛び立って行きます。
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