飛行機のジェットエンジンはどこまで巨大化するのか?
By Clément Alloing
飛行機に使われるジェットエンジンのサイズは推進力と燃費の計算をもとに設計されています。近年は大径化の傾向にある飛行機のジェットエンジンですが、「一体どこまで大型化できるのか」「そもそもジェットエンジンはどんな仕組みなのか」、ということがイラスト付きムービーで解説されています。
Why Are Airplane Engines So Big? - YouTube
飛行機のジェットエンジンは、新しくなるにつれてどんどん大きくなっています。
一方で、飛行機のサイズもいっしょに大きくなっているわけではありません。ボーイング747全長が70.6メートルであるのに対し、最新鋭のエアバスA350の全長は60.7メートルしかありません。しかし、機体が小さいにもかかわらず、搭載しているジェットエンジンは747型機よりも大きなものとなっています。
飛行機のエンジンをどんどん巨大化すればいいか?と言えばそうではなく、高い効率を保てるのは、ある一定のサイズまで。
現代のジェットエンジンは、2つの推進機構を組み合わせています。コアとなるターボジェットエンジンに、ファン(プロペラ)を追加したもので、「ターボファンエンジン」と呼ばれています。
一方で、大昔の旅客機や戦闘機などに使われていた純粋な「ジェットエンジン」は、超高速を実現する代わりに恐ろしく非効率です。運動エネルギーは速度の2乗に比例するため、旅客機の2倍の速度にまで加速するとなると、実に4倍のエネルギーを要することになります。
強力なパワーを得る代わりに、エネルギーの大部分を膨大な熱エネルギーとして吐き出すため、燃料効率が悪くなってしまいます。
もちろん、ジェットエンジンで推進力を得るためには、エンジン後部から燃焼ガスを排出する必要がありますが、必ずしも大量のエネルギーを必要としない方法もあります。
ジェットエンジンより効率を良くするにはどうすればいいでしょうか。少しの空気を取り込んで超高速で排出する代わりに、大量の空気を取り込んでそこそこの速度で排出することができれば、エネルギーの消費を抑えながら希望の推進力を得ることができるはず。それがターボファンエンジンの狙いというわけです。
飛行機のエンジンのサイズは上記のような効率を計算して作られており、エンジンが小さすぎれば、加速するために大量の空気をエネルギーとして放出せざるを得なくなります。例えるなら、自動車の推進力を得るために後方へマシンガンを撃つようなもの。
反対にエンジンが大きすぎれば、エンジンそのものが生みだす空気抵抗が大きくなりすぎてしまい、効率が下がってしまいます。
つまり理想的なエンジンのサイズは「大きすぎず、小さすぎず」という中間をとったもの。概算では「直径4メートル」のエンジンが最も高効率とされています。
直径4メートルといえば、現状で世界最大のエンジンより少し大きなサイズ。従って、ジェットファンエンジンは今後も大きくなることが予想されますが、永遠に大型化するわけではありません。
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