ビットコインが50%値下がりしても中国はバブルを享受可能、一方で中国政府の措置によりバブルは終焉か
2017年だけで14倍に取引価格が跳ね上がった仮想通貨のビットコインは今や、その大部分が中国でマイニング(通貨の発掘)が行われています。その背景には、中国の非常に安い電気料金のおかげでマイニングにかかるコストを抑えられているという状況があり、中国のマイナー(発掘者)はビットコインバブルの恩恵を世界で最も享受できているともいわれています。一説によると、ビットコインの価格がピーク時の半分に下落してもまだ利益が出るというほど「濡れ手に粟」状態の中国のビットコインですが、ついに政府が乗り出して規制がかけられる事態にも発展しています。
Bitcoin Can Drop 50% and China Miners Will Still Make Money - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-01-10/bitcoin-can-drop-50-and-china-s-miners-will-still-make-money
ブルームバーグ・ニュース・エネルギー・ファイナンス(BNEF)の報道によると、中国のビットコインマイナーは価格高騰による恩恵を受け大きな利益を上げているとのこと。ビットコインを発掘するためには、大量の電力を消費して高性能なコンピューターをブン回すことで膨大な量の処理をさばく必要があるのですが、今の中国では電気料金が非常に低い水準にあるため、電気を使えば使うほど利益が上がるという構造が成り立っています。
2018年1月10日現在のビットコイン価格は1BTCあたり1万3900ドル(約155万円)ですが、BNEFのアナリストであるソフィー・ル氏のリポートによると、電気料金を最も高く見積もっても、ビットコイン採掘の損益分岐点は6925ドル(約77万円)となるとのこと。さらに、中国の正規の電力料金は最高でも、1kWhあたり0.13ドル(約14円50銭)ですが、電力業界が供給能力過剰の状態にあるため、交渉によっては単価を0.03ドル(約3円40銭)にまで下げることすら可能になるとのこと。この場合の損益分岐点は、3869ドル(約43万円)にまで下がります。
BNEFによると、ビットコインマイニングに関連する電力需要は2017年末までに年間約20.5TWh(テラワット時)に到達。これは、実際に鉱山を採掘している世界最大の鉱業企業、BHPビリトンが年間に消費している38TWhの電力の半分を超えるレベルに相当。注目すべきはビットコインマイニングにおける消費電力の中で中国が占める割合です。中国でビットコインマイナーが消費者電力は15.4TWhにも及び、なんと世界全体のビットコイン電力需要の75%にも達しています。ここからも、いまやビットコインマイニングの主戦場は、完全に中国にあることがわかります。
ビットコインの価格は2017年12月17日に日本の主要取引所で1BTC=220万円に達しましたが、その後急落して翌週には140万円台を割り込んでしまう状況も。その水準でもなお中国のビットコインマイナーは大きな利益を上げているというのも驚きですが、あまりのボラティリティー(価格変動の度合い)の高さからバブルを通り越して無謀なレース状態に突入し、「ビットコイン狂想曲」とも呼ばれるほどになっています。
ビットコイン:価格乱高下 適正水準見極めにくく - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20171226/k00/00m/020/069000c
まさに中国のビットコインマイナーは「この世の春」を享受してきたわけですが、ついに中国の当局がこれにストップをかける動きに出ています。中国では既に規制によってビットコイン取引所が閉鎖されていましたが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると2018年1月10日、インターネット金融のリスクを監視する政府の対策本部がビットコインマイニング活動の停止を「監督する」よう地方当局に通達しました。通達は期限を設けておらず「秩序ある打ち切り」が指示されているだけですが、マイニング活動の盛んな西部・新疆ウイグル自治区の当局者はこの通達を受け取って「国の要請」を実行すると語ったとのこと。
ビットコイン、中国での「採掘」に終止符 当局が停止命令 - WSJ
http://jp.wsj.com/articles/SB12417666850591433362304583630302583260698
また、これに先立つ1月4日にはビットコインマイナーへの電力供給を制限する計画があることも報じられていました。
中国:一部のビットコイン採掘者への電力供給制限へ-関係者 - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-04/P20D7B6JIJUO01
また、これに前後して「投資の神様」と呼ばれたウォーレン・バフェット氏は仮想通貨について「悲惨な最後を迎える」と否定的な見解を発表。バフェット氏はかねてより仮想通貨のシステムには否定的な見解を示しており、2014年にはビットコインの送金システムが「実際は存在しない蜃気楼である」と批判しています。
Buffett says cryptocurrencies will almost certainly end badly
https://www.cnbc.com/2018/01/10/buffett-says-cyrptocurrencies-will-almost-certainly-end-badly.html
仮想通貨「ビットコイン」は誰の支配をも受けない独立した通貨としてもてはやされましたが、あまりの過熱ぶりについに大きな転換点を迎えるに至っています。中国では規制が強められてきましたが、関係者は逆境をものともせずに規制をくぐり抜けて取引所運営の再開を目指すなど、抵抗を見せている状況。とはいえ、「マイニング禁止」という首根っこを締め上げられる一撃を受けた中国のビットコイン界、そしてそこから先の世界のビットコイン界がどのような影響を受けるのか注目が集まりそうです。
もし中国人がビットコインのマイニングを辞めた際の大きな影響 | イーサリアム・ジャパン
https://ethereum-japan.net/bitcoin/what-if-chinese-miners-stop-its-bitcoin-mining/#5
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