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新たに提供開始したサービスでいち早く10万人のアクティブユーザーを獲得するには?


世の中のニーズに答える新しいサービスをアプリやネット上でローンチしたとしても、人々の目に留まらずユーザーの数が増えないようではサービスは正当に評価されず、ビジネスとしても成り立たないものになってしまいます。小さな子どもをもつ親の情報交換サイトとして2016年にスタートした「Winnie」は2017年に「10万人のアクティブユーザー」という節目をクリアしており、そこに至るまでの成功のポイントを振り返ってブログで公開しています。

How to Get Your First 100k (Active) Users – Winnie
https://blog.winnie.com/how-to-get-your-first-100k-active-users-909fa4292a27

Winnieは、子育てに必要な情報を欲していたり、悩みを抱えている親がスマートフォンアプリやウェブサイトで情報交換することができるサービスで、公開されている情報は「この近くにあるオープンスペースで子どもを預けられるデイケアサービス」という地域的な情報に関するものや、「授乳の方法」などのより一般的なトピックなど多岐にわたります。

Winnie - Inspiration & Insight for Modern Parents
https://winnie.com/


Winnieで公開されている情報は、そのほぼすべてがユーザーによって提供されるものとなっています。そのため、Winnieはネットワーク効果が強く現れるサービスです。新たにユーザーが増えるたびに情報が追加されてサービスの利用価値が向上し、また新たなユーザー獲得につながるという効果が期待できる反面、成長の原動力がユーザーによる情報に依存することになるので、いかに初期段階から多くのコンテンツを確保するかが重要になってきます。そんな課題をクリアして成長できた要因について、Winnieは「機能したこと」と「機能しなかったこと」に分けて解説しています。

◆機能したこと
・その1:「正式ローンチの前から成長させる」
新規サービスの多くは、正式ローンチの前に身近な人だけを対象としたベータ版テストを実施する場合が多いものです。家族や友人などが対象になることが多いのですが、実はこの段階から成長するための仕組みを備えておくことが大切とのこと。Winnieは最初の3カ月でユーザー数を10人から400人以上に拡大しているのですが、それはすべて紹介か個人的なつながりによって獲得されたユーザーとのこと。

これらのユーザーは「アーリーアダプター」であり、サービスに有用な情報を多くもたらしてくれます。また、サービス提供側にとってもユーザーの数が増えることでモチベーションを得られるという効果もあるそうです。

・その2:「とにかく大きくする」
初期段階のWinnieにとって、サービス提供のエリアを狭く絞り込んで2~3カ所をターゲットに開発を進めることは非常に魅力的に映ったそうですが、そのようなアプローチをとると新規ユーザーが流入してくるチャンネルがごく限られることになってしまいます。そうなると、Winnieのようなネットワーク効果が高いサービスにとっては拡大や改良の妨げとなり、成長につなげることができなくなってしまいます。

Winnieがとった方策は、バージョン1をリリースした段階で、たとえ情報がほとんどないエリアであってもユーザーを集めてしまうというものでした。しかし、初期においては当然有用な情報が寄せられていないため、ユーザーにとっての利用価値は非常に低いものとなっています。そこでWinnieは、情報のないエリアでサービスを使い始めたユーザーに対しては、最初の段階で情報を提供してもらう代わりに、サービス提供が始まった際に優先的に使い始めることができる「アーリーアクセス制度」を用意することで、より効率的に情報が集まる仕組みを作りました。つまり、まだ満足に情報が得られないエリアであっても、ユーザーに対してある種の「報酬」を用意しておくことで、ユーザーが離れていってしまうことを防止するようにしたというわけです。


・その3:「広告を打つ、ただしそれは改良点をテストするために」
自社の製品がどのような立ち位置にいるのかが理解できていなければ、うまく成長することは非常に難しいもの。Winnieは、新しく開発した機能を試す際に、GoogleやFacebookに幾ばくかの費用を払って広告を打ち、うまく機能するかどうかを確認する作業を行ったとのこと。これにより、有用なフィードバックが得られたことに加え、ユーザーが実際にはどのような機能を望んでいるのかを把握することもできたそうです。ある時、ユーザーが「子どもは無料で食事できる場所」という項目に強く反応することを認識したWinnieは、この分野にリソースを投入。この機能は今でもWinnieの目玉機能の一つに数えられるほどの存在感を持つに至っているそうです。

・その4:「GoogleやAppleの方針に沿ったことをやってみる」
新しいユーザーを獲得するうえで、GoogleのPlayストアやAppleのApp Storeでアプリの露出を増やすことは非常に重要になります。Winnieはこれまでに、App Storeの「今日のアプリ」にも何度か選ばれたことがあり、ユーザー拡大のうえで大きな効果があったのですが、その背景には「選ばれやすいアプリの作り方をしていた」というものがある模様。例えば、GoogleやAppleが定めるデザインガイドラインを詳細にまで順守した設計を行ったり、アイコンのデザインに労力を注いで目に留まりやすいものにしたりという工夫を行い、場合によってはApple Pay機能のように、各プラットフォームがその時に力を入れている機能をあえて取り入れることで「アプリストアの神様の目に留まる」ことを狙ったりしたそうです。


・その5:「『シェアすること』はコミュニケーションでもあると理解する」
提供されている情報をシェアすることは非常に重要なことといえますが、その方法をどのようなものにするかによって、ユーザーの反応は完全に違ったものになるとのこと。初期のWinnieでは、すべての記事に「シェアする」のボタンが用意されていたのですが、実際にはあまり使われることはなかったといいます。代わりにユーザーから要望されたのが「保存する」という機能だったとのこと。Winnieはこの声を受け、「保存する」機能を開発し、その画面に「シェアする」ボタンを実装したところ、記事がシェアされる機会が増加したそうです。

ここからわかったことは、ユーザーは必ずしも自分が「シェアする人」であるとは考えてないにもかかわらず、実際には友人や家族には情報をシェアしているという事実だったとのこと。Winnieでは、ユーザーに対してまずは記事を「保存」してもらい、その後についでに「シェア」してもらうという順番を作ることで、ユーザーが自然に記事をシェアする流れを作ることに成功しています。その結果、記事がシェアされる確率が300%もアップしたとのことです。

・その6:「常に要望のあることからスタートする」
Winnieでは、ごく初期の段階からサービスを「親たちがつながって情報交換できる場所」に加えて「子育てに関するビジネスやサービスプロバイダともつながれる場所」にすることをターゲットにしていましたが、そのような機能を同時に開発するというのはリソース面が限られるスタートアップにとって容易なことではありません。そこでWinnieは、要望のあるサービスから順番に形にしていくことで、この難題を乗り切ったとのこと。

Winnieにとって初期の成長の原動力となったのが、サンフランシスコのベイエリアに5000カ所あるデイケアサービスや幼稚園に関する詳細な情報をリスティングするというもの。後にこの情報は、サービスに強く結びついたロイヤルカスタマーを多く集める材料となり、そのカスタマーが広告主を誘い寄せてお金の流れができるという好循環を生みだすに至っているとのことです。

・その7:「すでにいるユーザーだけに向けた開発を行わない」
Winnieでは、「今ある製品を繰り返し触ることに注力しすぎない」という原則を定めているとのこと。最初のWinnieは、小さな赤ちゃんがいる親のために有用な情報を提供するサービスでしたが、これは一方で、大きな子どもがいる親にとってはあまり有用なサービスではありません。そこでWinnieは、赤ちゃんよりも少し大きな3歳から5歳ぐらいの子どもを持つ親をターゲットとしたサービスを開発。その一例が「デイケアと幼稚園の情報」というもので、後にWinnieでも重要な機能の一つに成長しています。また、ユーザーが関心を持っているトピックについて交流できる「トピック」のページも多くのユーザーを引きつける機能として成功しているとのことです。


◆機能しなかったこと
・その1:「ユーザー参加型イベントの開催」
サービスを利用しているユーザーが参加して、運営側と交流できるイベントはブランディングの面では実施する価値があるものですが、「投資利益率」という観点においてはあまりメリットがなかったとのこと。

・その2:「モバイル専門サービスに特化すること」
Winnieでは一時期、サービスをモバイル向けに特化しようとしていた時期があったのですが、これは完全に機能しなかったとのこと。その原因は「ミレニアル世代はアプリを通じてサービスを利用する」という誤ったターゲティングを行っていたことで、ウェブからの流入の影響力を正確に把握できていなかったためとのことです。Winnieは、「『モバイルファースト』は正しいが、『モバイルオンリー』は間違い」と振り返っています。

・その3:「アプリのプッシュ通知だけに頼ったこと」
アプリ関連でおかしたもう一つの過ちが、アプリのプッシュ機能を頼りにしすぎたこと。アプリを開発し、情報をプッシュ通知で配信できるようになると、運営側はいくらでもユーザーにアプローチできる気持ちになるものですが、実際には「無視されて終わり」という結果に直面したそうです。そこでWinnieが気付いたのが、「メールを使ったユーザーへのアプローチ」という手法だったとのことです。

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in メモ,   モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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