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世界最大級のビジネス特化型SNS「LinkedIn」が成長を続ける秘密とは?


自分のプロフィールを作成することで世界中のプロのネットワークからコンタクトをとって優れた人材やビジネスパートナーを探したり、雇用したい人材を求めたりと、ビジネスのネットワークを広げられるSNSが「LinkedIn(リンクトイン)」です。2003年にサービスを開始してから11年経った2014年現在、2億2500万人以上のユーザーを持つ世界最大級のビジネス特化型SNSへと成長を遂げてきたわけですが、一体どのような優れた戦略を掲げて、創業から現在に至るまで成長を続けることができたのでしょうか。

LinkedIn Growth Engine: The Never Ending Viral Loop - GrowthHackers
http://growthhackers.com/companies/linkedin/

◆ユーザー増加数1日20人から世界的企業への道


LinkedInの創業者であるリード・ホフマン氏は2002年、「専門家同士がネットワーク上でコネクションを見つけ出す」というアイデアを実現するため、1997年に設立した企業SocialNet.comと最高執行責任者として勤務していたPayPalの同僚を集めました。

ホフマン氏とチームの仲間たちは、「人は自分の知り合いを6人以上介すと世界中の人々と間接的な知り合いになることができる」という仮説に基づいた「『六次の隔たり』理論」・アイデンティティ・コネクションにより専門家のネットワークを作り出す、という新しいビジネスを共同で開始。ホフマン氏は自身の資産を使って初期のLinkedInのプラットフォームに資金援助を行い、2003年5月5日にLinkedInは公式にサービスを公開しました。

その後1週間でLinkedIn登録者は1万2500人を超えましたが、日によってはユーザー増加数は20人に満たない日もあったなど、経営陣が考えていたよりも成長スピードは遅かったとのこと。しかしながら、サービス開始から4か月以内にユーザー数は5万人を突破し、Sequoia Capitalから初めての大規模な融資ラウンドとして470万ドル(約4億7600万円)を調達しています。2006年には利益を上げることに成功し、2011年には株式公開企業へと到達。2014年現在では200以上の国々から2億2500万人以上のユーザーを持ち、180億ドル(約1兆8257億円)の時価総額を持つ企業へと変貌を遂げています。

◆六次の隔たり理論の採用


2003年にLinkedInがサービスを開始した時、オンライン上のソーシャルネットワークは友人とのつながりやデートに特化したものであり、ビジネスに効力を発揮する場所ではありませんでした。共同創業者のコンスタンチン・ゲーリケ氏は、「当時、雇用する側とされる側の間はアンバランスな関係にあり、その結果、職を求める人と人材を求める人たちは、外部と接触をとる前に紹介などの『信頼できる知り合い』というフィルターを張っていました」と、当時の実情を語ります。

信頼できる人からの「紹介」は、職探し・求人・ビジネスパートナー探しにおいて有力な手段ですが、ツテがなければ相手と知り合うことはできないため、常に最善というわけではありません。そこでLinkedInは「六次の隔たり」理論に目を付け、6回の紹介で望みの人物にたどり着くことができるというシステムを構築しました。正確にはこのアイデアは、アンドリュー・バインライヒ氏が1997年に設立した世界初のSNS「SixDegrees.com」に着想を得たもので、バインリヒ氏は「六次の隔たりコンセプト」に対して特許を取得しています。SixDegrees.comは閉鎖していますが、LinkedInは2003年に70万ドル(約7000万円)でこの特許を取得しています。

さらにその他の主要なSNSと区別するため、LinkedInユーザーが個人的な専門家ネットワークに制限して信頼できるコネクションを確立できる「ゲートコネクションシステム」を採用。不要な招待やスパムをはじきつつ、必要な専門家ネットワークからの紹介を得ることができるため、人気のある著名人でも、安心してプロフィールを登録できる場所になっているとのこと。

◆初めての難関と挑戦

By Richard Parmiter

全てが成功に覆われているように見えるLinkedInですが、2002年はちょうどドットコム・ブーム崩壊で経済不況のまっただ中だったため、起業するかどうかについては多くの議論があったとのこと。ホフマン氏は「私は経済不況の中で起業するのは正しい選択であると強い確信を持っています。資金調達は難しくなりますが、その中で活路を見いだすことができれば、あなたの強みとなるでしょう」と話します。

2003年に起業したことは、果敢なチャレンジであったとともに、LinkedInのコンセプトを問われる結果になったとのこと。共同創業者ゲーリケ氏は「スタート直後のLinkedInは、まるで10代の友人同士が写真を交換するSNSのように受け取られており、ビジネスに特化したSNSとしては『キュート過ぎた』」と話しています。さらに「何人かの初期ユーザーは『先行者利益に欠く』と感じており、当時のSNS最大手だったFriendsterが、ビジネス部門を加えれば我々は死ぬしかなかったでしょう」と振り返ります。

共同創業者アレン・ブルー氏は、「もし本当に良い戦略を持っていると感じるなら、その戦略を保持すること」と話しており、予想より遅い成長速度でもパニックにならずに、焦点を合わせ続けることが重要であるとLinkedInの長期的アプローチに対して助言を行いました。その結果、LinkedInは難関と挑戦を乗り越えて成長を続けることができています。

◆テクノロジーにフォーカスした牽引力を手に入れること


LinkedInが成功したのは、起業に際してシリコン・バレーに精通した人物を雇用するなど、シリコン・バレーのテクノロジーに注目したことが1つの理由になっています。さらに、起業に関係した13人の人物は自らのネットワークを通じて合計112人の人材を雇い入れるなど、同僚や友人などからドットコム・ブームで活躍したパワープレーヤーを雇い入れたことも成長を助けた要因の1つです。

40年間シリコンバレーで勤務しているジャック・シュワルツ氏は、ユーザーが10万人未満だったころからLinkedInを使っている1人。LinkedInの創業について「LinkedInはテクノロジーに関連づけられた知識とリソースを発見する最適の場所でした」と話しています。シリコンバレーでは転職によって連絡先が変わってしまうことが頻繁に起きていたため、プラットフォームを通じて人脈を維持することができるLinkedInは、多くの人脈を持つビジネスヒーローを介し、人々の繋がりを爆発的に広げることに成功しました。

フリーミアム
LinkedInではプロフィール作成・他人との交流・専門家とのネットワーク構築など、主要な機能はほとんどが無料のベーシックアカウントで利用可能です。LinkedInはマネタイズのために2004年から広告の表示を始め、現在はプレミアムアカウントとして、「Business(一般ユーザー向け)」「Job Seeker(求職ユーザー向け)」「Sales Professional(営業関係者向け)」「Recruiter(個人および法人リクルーター向け)」といった有料アカウントを設けています。

◆弱点より長所を伸ばす

By Michael Heiss

LinkedInのElliot Shmukler氏は、2012年のGrowth Hackers Conferenceで、LinkedInの「メールでの招待によるアカウント登録」と「ホームページからのアカウント登録」の成長指数を発表。

・メール招待によるアカウント登録: 4%(2万5000人)→2年で7%(4万4000人)+1万9000人
・ホームページからのアカウント登録:40%(5万)→4か月で50%(6万3000人)+1万3000人

「弱点を改善するより長所に注目する方が簡単です」と話すShmukler氏は、「メール招待」という弱点の改善に力を尽力するのではなく、伸び率の良い「ホームページからのアカウント登録」に狙いを絞ってユーザーエクスペリエンスからウェブサイトに到着したユーザーがより登録を行いやすいように改良することが重要とのこと。

◆成長速度の指針:バイラリティ

By Pablo Fernández

バイラルマーケティングとは、口コミや紹介を通じて製品を新規ユーザーから拡散できる仕組みのことですが、LinkedInでは専門的ネットワークの形成とともに、ユーザー数を伸ばすことができる仕組みを設けています。

特に2003年はバイラリティ(バイラル機能)を伸ばすために最大限の努力を行ったとのことで、「100万人のユーザー」という目標を掲げて、いかにして新規ユーザーが他の知り合いに招待メッセージを送ってくれるのか多くのテストを実施。その結果、招待メッセージを送るセクションは「4ページ」が最適で、多くしても少なくしてもユーザーのスキップ率が上がってしまうとのこと。さらにユーザーのメールアドレスから招待メールを送りやすくするために、Outlookの連絡先アップロード機能や、Outlookプラグインを設けるなどしており、2012年にはGmailプラグインも導入しています。

これらの努力によって、送信された招待メールの数は30%増加し、全体的なPV数は41%増加したとのこと。

◆公開プロフィール


2006年にLinkedInは「公開プロフィール」機能をリリースしました。それまで作成したプロフィールはオーガニック検索で表示されませんでしたが、公開プロフィール機能を設定することで、氏名を検索しただけで検索結果にLinkedInのプロフィールが表示されるようになりました。また、非LinkedInユーザーでもLinkedInプロフィールを読むことができるようになり、Googleの検索結果で数々のプロフィールが上位にのぼるようになったとのこと。しかし、いくつかのプライバシー問題からGoogleの検索結果に表示されるプロフィール情報には制限がかかっています。

◆素早い方向転換


ホフマン氏は、ユーザー数100万人を達成するまでにあれこれと挑戦を行ったわけですが、「初期の戦略がビジネスモデルの後半部分まで適応できるものではないとわかっていました」と話します。初期のLinkedInはプライバシー管理は厳重で、ユーザーが閲覧できるプロフィールを制限していましたが、「サーチ機能」を導入してプライバシー・レベルを落とすことなく望む人とつながるようにしたり、相手のLinkedInアカウントを知らなくても、LinkedInにアップロードしたアドレス帳が一致すればユーザー同士がつながることができる「アドレス帳アップロード機能」を導入するなど、ユーザーのニーズに合わせて素早く問題を解決しています。

このようにして1日20人のユーザー獲得数から、LinkedInは2億2500万人以上のユーザーを持つ大企業へと成功を収めてきた、というわけです。さらに、スマートフォンやタブレットの利用率の上昇に伴い、2014年2月時点のモバイルのトラフィックは41%を記録していおり、LinkedInのモバイル製品部門のジェフ・レッドファーンVPは、「我々はモバイル・カンパニーになりつつあります」と、今後はモバイル業界に焦点を当ててさらなる成長を目指していくとのことです。

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