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日本のキャンディを月2回発送する「Candy Japan」が利益を上げるまで

by Leonard Chien

日本に住んでいるとありふれていて面白味を感じないようなものでも、海外に住んでいる人の目から見ると面白いというものは少なくありません。その一つがキャンディ(駄菓子)です。この日本のキャンディを使って、半年で3万6000ドル(約276万円)、純利益を6000ドル(約46万円)も稼ぎ出した、とあるベンチャーがあります。その起業家が、どうしてこのサービスを始めたのか、どのようにして大きくしていったのか、そして現状はどうなっているのかを、赤裸々に語っています。

Candy Japan
http://www.candyjapan.com/



「Candy Japan」は日本のキャンディを月に2回発送してくれるというサービスで、月額24ドル(約1800円)で運営されています。このサービスを立ち上げたのはフィンランド出身のBemmu Sepponenさん。

Shipping $36000 worth of Japanese candy - I make stuff
http://bemmu.posterous.com/first-year-of-candy-japan

Sepponenさんがこのアイデアを思い付いたのは、休暇でタイに行ったときでした。旅行中にネット上で仕事をするというアイデアに刺激されたSepponenさんは当時、MySpaceアプリを運営していて、毎日数時間を費してお金を稼ぎ、後は残りの時間でビーチと太陽を満喫するという生活を送っていました。


「新しいことを始めるための時間はあまりなかった」というSepponenさんですが、友人との間で、面白半分でいろいろなアイデアを出し合いました。その中で試そうと考えたのが、ある種の購入サービスです。当初は、世界中を旅して回り、行く先々でブログを書くことを考えたそうですが、生活費用をまかなうために、「行った先のお土産を購入者へ配送する」へとアイデアは変化。Sepponenさんは日本に落ち着いたことで自由な時間ができて、このアイデアを形にすることになりました。

問題は「自分が発送し続けられる何か」を何にするかで、購入した人にとってかさばらない消耗品のようなものである必要がありました。Sepponenさんはソフトドリンクや食べ物などを考えましたが、実際に送ることはできなかったため、今の「キャンディ」に落ち着きました。

サービス開始にあたり、本当にこんなサービスにお金を払う人はいるのか、Sepponenさんはメールで何人かに聞いてみました。すると何件かお金を払うという答えが帰ってきたので、SepponenさんはさっそくPayPalの購入ボタンを作って彼らに送付しました。最初の発送時点の購入者は一握りでしたが、システムがきちんと機能していることを確認したのち、SepponenさんはThe Hacker Newsに、日本のキャンディ購入サービスについての投稿を行いました。これによってユーザーはさらに増加し、最初の売上増に繋がりました。特に、日本に関する話題を扱うブロガーがThe Hacker Newsでサービスのことを知って記事にしてくれたのが効果的だったとのこと。

2011年の6か月間で、Sepponenさんらは6000パック以上のキャンディを販売。売上はおよそ3万6000ドル(約276万円)、粗利は約6000ドル(約46万円)でした。最も費用がかかったのは発送料だったそうです。

購入者数が数百人にまで膨れあがると、梱包を手伝ってもらうために、Sepponenさんの奥さんと、その友人たちが仲間に加わりましたが、それでも発送準備には朝から夜遅くまでかかったとのこと。


しかし、発送をこなすごとに状況は好転していき、やがてラベルを自動的に印刷する機器を導入。さらに、梱包の時間を数時間単位で短縮する方法も見つかりました。

発送に関しても、長らく、国際郵便物をほとんど扱った経験がないような地方の郵便局に、数百もの荷物を預けるという方法でしたが、郵便局の業務が滞ることになってしまったため、郵便局の側から、直接家に集荷に来るサービスを教えてくれて、荷物を郵便局まで運ぶ手間が省けるようになったそうです。

購入したキャンディの箱をスーパーマーケットから、エレベーターのないアパートの3階の部屋まで運ぶという手間についても、このスーパーマーケットの店長との仲がどんどん深まっていったことで、店長の側から、店内でキャンディの梱包作業をできないか調べてくれたとのこと。自分たちが梱包で手間取っていたことから、きっとスーパーマーケットでもこの作業には手を取られるだろうと考えたSapponenさんは、1梱包ごとに梱包手数料を月額制で支払うことで合意。おかげで、お店の人は喜んでSapponenさんたちのためにキャンディの梱包をしてくれているとのこと。

しかし、購入者数は最大で300名に達したあと、下降線に入っていったとのこと。初動で「良質なアクセス」を大量に手に入れたSapponenさんですが、この初期のユーザーたちは激しいネットの動きの中でCandy Japanを離れてしまって、戻ってきてくれないそうです。


SapponenさんはReddit adsなどの有料広告を試しましたが、顧客1人を獲得するために60ドル(約4600円)ほどかかってしまい、利益率の低いCandy Japanでは効果を得られませんでした。

そのため、今でもSapponenさんはさまざまな試行錯誤を重ねているとのこと。キャンディを送るというプロセスの部分はよくできているので、できるだけサービスを長く続けたいと望んでいるそうです。

ちなみに、Candy Japanで取り扱うキャンディの発送先は世界中どこでもOK。どんなキャンディを発送しているのかということは毎回サイトで報告されており、たとえば1月は14日にヤタイマンぎょうざやさん、28日にぷっちょボール(ソーダ)生ラムネを発送しています。

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in ネットサービス, Posted by logc_nt

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