冬は暗い朝ではなく明るい時間に起きた方が脳がブーストする

by Sarah Horrigan

冬は日の出が遅くなるため、朝の暗い時間に起きて登校したり通勤したりする人も多いはず。しかし、生物学的に見ると、遅い朝・明るい時間に起きた方が脳がブーストして1日のキックスタートが切れ、暗い時間に起きると1日を通して脳の機能が落ちるとして、ウェストミンスター大学のAngela Clow氏がその仕組みを解説しています。

Why the clocks changing are great for your brain
https://theconversation.com/why-the-clocks-changing-are-great-for-your-brain-86003

イギリスではグリニッジ標準時(GMT)を採用していますが、3月最終日曜日1時から10月最終日曜日1時までイギリス夏時間(BST)を実施しており、GMTから1時間進ませた時間が標準時となっています。つまり、10月最終日曜日の2時になった瞬間にGMTの1時に戻るので、実際の時間は変わらないものの、感覚的には1日が1時間早くなるような形になり、より明るい夕方を迎えられるようになるわけです。

しかし、より明るい夕方を迎えることよりも、より「明るい朝」を迎える方が生物学的に非常に重要だとウェストミンスター大学のAngela Clow氏は語ります。

光の強度は網膜の中にある特定の細胞で検知され、全身の体内時計を統合する視床下部の視交叉上核へと伝えられていきます。このとき、視床下部は内分泌システムの制御を行う部分であるため、目から入った光は、体内のホルモン分泌に大きく関係することになります。例えば「ストレスホルモン」として知られるコルチゾールも光の影響を受けるものの1つ。コルチゾールは脳や体に大きな影響を及ぼし、私たちが健康的にな生活を送れる基礎となる、1日24時間というパターンを作り出すものです。

人間が起床してから最初の30分にコルチゾールが爆発的に分泌されることを「起床時コルチゾール反応(CAR)」と呼び、朝起きた時の光の量が多いほどCARは大きくなり、その影響で1日の脳の働きがよくなると言われています。そして、これまでの研究で、冬のまだ暗い時間に起床している人は季節の変化によって悪影響を受け、CARのレベルが低かったことが判明しています。つまり、秋や冬になると季節性情動障害になったりストレス・不安に襲われる人々はCARが低い可能性があるわけですが、人工的な光を使うことでCARの状態を元に戻すことが可能であるということも研究によって(PDFファイル)示されています

by Osman Rana

冬の暗い気分を治すには特に朝に、光を浴びることが効果的であるというのはこれまでの研究で判明しているところ。さらに、2014年の研究によると、CARは脳の可塑性や機能と関係があり、目標設定・意志決定・計画といった実行機能の能力を上げる働きをします。逆のことも言え、加齢とともにCARがさがることで実行機能が下がってしまうとも報告されています。

上記から見ても分かるように、朝の目覚めは生物学的に非常に重要であり、1日のキックスタートが切れるかどうかはコルチゾールがブーストするかどうかに左右されます。コルチゾールの受容器は体中に存在するため、十分に分泌されたコルチゾールがそれらの受容器に受け取られ、そこから連鎖反応が起こることで、私たちの体は1日の課題に取り組む準備ができるわけです。

by Toa Heftiba

暗い朝はコルチゾールをブーストできないので、生物学的な連鎖反応を縮小させ、光をしっかり浴びた日に比べ十分に体を機能させることができなくなります。生物学的に見れば、冬の朝は日の出ていない暗い時間に起きるよりも、太陽がしっかり上って光があふれる遅い時間に起きた方が、脳や体の働きが向上すると言えるわけです。

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in サイエンス, Posted by logq_fa