なぜゲームの設定は人類の文明崩壊後の終末世界「ポスト・アポカリプス」であふれているのか?
By Steven Guzzardi
多くのゲームの世界観は、人類の文明が崩壊した後の世界を舞台にした「ポスト・アポカリプス」で描かれていますが、なぜ世界の終末はゲームの世界観に合っているのか、BBCが解説しています。
BBC - Future - Why video games are obsessed with the apocalypse
http://www.bbc.com/future/story/20170815-why-video-games-are-obsessed-with-the-apocalypse
BBCによると、ゲームの世界観を描く上で、ポスト・アポカリプスはある意味で完璧な設定を持っているとのこと。文明が崩壊した後の世界で、ゲームの主人公は厳しい自然の中を生き抜くことを余儀なくされ、そこにはおのずと暴力が必要不可欠な要素となります。文明崩壊後の世界に法律はなく、その他の社会的制約に縛られることもなくなるため、主人公はモンスターや外敵にに対して暴力を繰り返すことに対する「言い訳」を得ることができるわけです。
最も初期のポスト・アポカリプスを取り入れたゲームとしては、1982年のシューティングゲームである「ロボトロン2084」が挙げられます。人間を不要なものと判断したロボットが反旗を翻して文明が崩壊した世界で、遺伝子操作実験から超能力戦士となった主人公は、人類最後の希望としてロボットに立ち向かいます。同時期にイギリスのデザイナーであるサンディ・ホワイトは、巨大なアリに占拠された世界で、少年と少女がエッシャーという都市で爆弾を投げてアリと戦うモノクロのゲーム「3D Ant Attack」というゲームを開発しています。
3D Ant Attackは以下のページからプレイすることが可能です。
Ant Attack • ZX Spectrum online
初期のポスト・アポカリプスゲームはロボットや巨大アリとの戦いを描いていたわけですが、ゾンビ映画の生みの親であるジョージ・A・ロメロの登場以降、ゾンビと戦うポスト・アポカリプスが増加していきました。代表的な作品は1996年から現代まで新作が登場している「バイオハザード」シリーズであり、生物兵器用ウイルス「T-ウイルス」によってゾンビ化した人間と戦うストーリーが描かれています。
近年では最終戦争により人間が住めなくなったモスクワの地下鉄で、放射線で変異したミュータントと戦う「メトロ2033」や、チェルノブイリ原子力発電所が再び大爆発して荒廃した世界を生き抜く「S.T.A.L.K.E.R. SHADOW OF CHERNOBYL」、ナゾの寄生菌のパンデミックで滅びた世界を描いた「The Last of Us」といった作品が評価を受けています。
ゾンビを描いたポスト・アポカリプスの流れはオンラインゲームにまで発展しています。リアリティを追求したゾンビサバイバルゲーム「DayZ」では、大量のゾンビから生き延びることはもちろん、別のオンラインプレイヤーから攻撃を受けることもあり、「誰も信じるな」がルールという、疑心暗鬼の中でプレイするという心理学的な要素を含んだゲームになっています。
多くのゲームがポスト・アポカリプスによって暴力がはびこる世界観を生み出しているわけですが、ルイス・ダートネルの著書「Knowledge(この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた)」では、文明崩壊後に産業社会や科学社会を再構築するマニュアルが記されており、ゲームとは異なる「楽観的なアポカリプス」を提供しています。BBCは「文明崩壊後に生き残った少数の人類が、文明の栄光を再構築するビデオゲームがないのはなぜですか?」と締めくくっています。
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