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MITが自走式の3Dプリンターロボットを作成、14時間で建物を組み立て将来的には宇宙での運用も


3Dプリンターで出力可能な素材は年々増えており、初めはプラスチック系素材ばかりだったのが、今では金属やガラス、さらには食べ物まで使用できるようになっています。そんな中、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者たちは3Dプリンターをさらに進化させるべく、建築物本体を出力できる自走式の3Dプリンターを作成しました。

3-D printing offers new approach to making buildings | MIT News
http://news.mit.edu/2017/3-d-printing-buildings-0426

Autonomous robot 3D printers like this could help build homes for us on other planets - The Verge
https://www.theverge.com/2017/4/27/15447578/autonomous-robot-3d-printers-mit-homes-planets

MITが新しく作成した3Dプリンター「Digital Construction Platform(DCP)」は机の上に置いて使用するようなものではなく、ロボットアームとキャタピラが搭載された自動で建設現場まで移動し、そのまま作業に取りかかることができるようなロボットです。その有用性を示すために撮影されたのが以下のムービーで、ドーム状の壁をわずか13時間超で出力しています。

System can 3-D print an entire building - YouTube


MITのDCPは「理想の建設ロボット」を目指して設計がスタートしました。建設現場で発見した物質を使用したり、氷やホコリまみれの環境を自分で掃除したりできることがDCPには求められており、操作する人がいなくても自動で建物を出力できるようになるのが目標となっています。つまり、資源の限られた火星のような遠隔地でもこの3Dプリンターを使って建築物を出力できるようにするがMITの目標というわけ。


実際に出力している際の様子はこんな感じ。


キャタピラ搭載なので……


自走可能。最初に設計した際はディーゼルエンジンを搭載する予定でしたが、試作機ではソーラーパネルとバッテリーパックが採用されています。なお、試作機の重量はなんと8100ポンド(約3700kg)で、製作費用は約25万ドル(約2800万円)です。


巨大な油圧式のロボットアームを伸ばして円を描きます。


ロボットアームの先端には細かい作業が可能な小型のアームがついており、ここに出力用のアタッチメントを装着して建物を作ります。


ムービー中のDCPが製作したドーム型の建物は、高さ12フィート(約3.7メートル)、直径50フィート(約15メートル)。もしも本物の建設計画であれば、「DCPが製作したドームにコンクリートを流しこんでいたでしょう」と海外ニュースのThe Vergeは記しています。


出力が終わったら、DCPは空けておいた隙間から出て行きました。


DCPのロボットアームの先端部分にはさまざまなアタッチメントを装着可能。発泡断熱ガンや溶接装置、溶融プラスチックを噴出させるための熱可塑性押出機、ショベルなどを取り付けることでさまざまな作業をDCP1台でこなせるようになっています。


なお、MITの3Dプリンターは概念実証の段階にありますが、ロボット技術関連の科学誌であるScience Roboticsに掲載された論文によると、3Dプリンターを用いた自動建設により建設作業のコスト削減が可能で、労働者の安全性を高めることも狙っているとのこと。また、MITはこの自走式3Dプリンターが月や火星でのミッションにも役立つとしており、人間が将来地球以外の惑星に移住することとなれば、DCPが作った建物で暮らすこともあるのかもしれません。


3Dプリンターで建造物を作成するといえば、巨大な3Dプリンターを使って家を丸ごと出力する「Contour Crafting」やロシアでの事例をGIGAZINEでは取り上げてきました。しかし、そのどちらとも異なる、より汎用性の高い3Dプリンター型ロボットがMITのDCPで、今後どのような進化を遂げていくことになるのか期待が高まります。

巨大な3Dプリンタを使い一軒家を20時間で建ててしまう「Contour Crafting」 - GIGAZINE


3Dプリンターを使ってわずか24時間で家を一軒まるごと極寒のロシアで建造することに成功 - GIGAZINE

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in ハードウェア,   動画, Posted by logu_ii

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