次世代超高速移動手段の「Hyperloop」が世界で初めて実現するのはあの場所?
より速く、より低コストで移動できる交通手段を追求するイーロン・マスク氏が提唱する次世代の超高速移動手段が「Hyperloop(ハイパーループ)」です。これを実現するべく大きく分けて2つの陣営が競争するように技術開発を進めているのですが、その片方の陣営であるHyperloop Oneが「世界で初めて実現するハイパーループはアラブ首長国連邦のドバイ・アブダビ間を結ぶものになるだろう」ということを明かしました。
Hyperloop may become reality in Dubai - BBC News
http://www.bbc.com/news/technology-37908915
ハイパーループは電力で動く高速移動体で、乗客や荷物を載せたカーゴポッドをチューブの中に入れて走らせるというものです。このチューブ内の気圧を変化させることでポッドの空気抵抗を減らし、さらにチューブ下部に空気を入れてポッドを浮かせます。簡単に言えば、エアホッケーの原理でチューブの中を浮きながら爆走する電車がハイパーループというわけです。そのスピードは時速700マイル(時速約1100km)以上にもなると考えられており、新幹線の最高速度の3倍以上で走行可能な移動体となっています。
Hyperloop Oneの開発するハイパーループ技術はまだテスト段階にあり、その詳細はまだ大ざっぱなものしか明かされていなかったのですが、新たに公開されたムービーから世界で最初にハイパーループが実現するのはドバイ・アブダビ間の約124kmになることが明らかになりました。ムービーによると、この約124kmという距離をわずか12分で移動可能になるようです。
Hyperloop Oneが公開した新しいムービーは以下から見ることができます。
The Hyperloop One System - YouTube
アラブ首長国連邦のアブダビ
ここで働く1人の男性のもとに……
メールが届きます。メールの内容は「お母さんの誕生日忘れたの?!」「あと30分でお母さん来るから遅れないでね!」というものでした。
待ち合わせ場所まで移動するべく経路検索すると、選択肢の中に「Hyperloop」の文字。このハイパーループを使えばアブダビからドバイまでの約124kmをわずか12分で移動できてしまうとのことで、飛行機よりもはるかに高速に目的地まで移動できます。
ハイパーループに乗るには専用のターミナルへ移動する必要があるようです。
そのターミナルまで移動し、指定のゲートへ。
ゲートの中にはさまざまなタイプのポッドが止まっており、これに乗ってドバイまで移動することとなります。
ポッドは円状に配置されており、ポッドの出入り口となるゾーンへ移動。
ここでポッドは4台1組にまとめられ、移動用のカプセルに収納されます。
移動用カプセルは中に乗客をのせたポッドを3つ、積荷用のポッドをひとつ載せる模様。
そして以下のようなチューブの中を高速で移動します。
乗客がまるでオフィスで仕事をしているかのように優雅なひとときを満喫している間に……
ドバイに到着。ドバイのハイパーループターミナルは世界一高い建物であるブルジュ・ハリファの足元にできるようです。
到着すると、カプセルの中からポッドが出てきて……
アブダビのターミナルによく似た円状のターミナルに入っていきます。アブダビのターミナルはそのままポッドが屋外の道路に出て行ける設計になっており……
ポッドに乗ったまま目的地まで移動することも可能なようです。
従来の移動手段ではドバイからアブダビまでの移動には約1時間かかるのですが、ハイパーループが実現すれば移動時間を約48分も短縮可能であり、ドバイからドーハまでの移動は約23分もカットできることになります。
アストン・ビジネス・スクールのデイビッド・ベイリー教授はアラブ首長国連邦で計画されているHyperloop Oneのプランについて、以前にアナウンスされたロサンゼルスとサンフランシスコをハイパーループで結ぶという計画よりも「実現できる可能性が高い」と語っています。ただし、ハイパーループを実現するには技術的なハードルが複数残っているとも指摘しています。
なお、Hyperloop Oneの競合相手であるHyperloop Transportation Technologiesも、2016年3月にハイパーループの建設でスロバキア政府と合意に達しています。
・関連記事
東京・大阪間なら1時間未満でつなげる超高速移動体「Hyperloop」の建設費用の詳細が公開される - GIGAZINE
時速1200kmの超高速移動体「Hyperloop」が初の屋外走行テストに成功、実走行ムービーも公開される - GIGAZINE
ロシアが超高速移動体「Hyperloop」計画へ参戦決定、プーチン大統領も乗り気なわけとは? - GIGAZINE
時速1200kmで走る「ハイパーループ構想」が一歩前進、その仕組みは磁石を特殊な「ハルバック配列」に並べて浮上することにアリ - GIGAZINE
時速1000kmオーバーの次世代移動体「Hyperloop」の試験用チューブが砂漠に建造される - GIGAZINE
時速1000キロ超の高速移動手段「Hyperloop(ハイパーループ)」の実地試験に考案者のイーロン・マスクがGOサイン - GIGAZINE
・関連コンテンツ